Zapf 2004-2011

2000年代の暮らし。自転車・ゴルフ・Yセツ・城・リコーダー....
今に続くいろんなことが芽吹いた季節

KERA・MAP「砂の上の植物群」

2005年05月14日 | act

keramap_03
年末に見たナイロン100℃の「消失」が案外妻には好評だったようで、今回は特別贔屓の役者もいないのにケラに期待でチケットを取ってくれてました。新宿シアターアプル(新宿高校卒業の私が、アルタからコマ劇場に向かって歩き始めて、数分後に道に迷うという信じがたい一幕あり)

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:筒井道隆/常盤貴子/渡辺いっけい/温水洋一/西尾まり/猫背椿/池谷のぶえ/赤堀雅秋/つぐみ/山本浩司/喜安浩平/他

普通にテレビドラマでも作れそうな豪華キャスト。

日本へ帰国途中の飛行機が、墜落。乗客9人とスチュワーデス(常盤)ひとりの計10人が生存。近くの「島」に救助される。A国とB国の激しい戦闘が繰り広げられているその島の廃墟のビルで生き延びている10人。
その数日前、日本では関東地方に巨大地震が発生し、更に島の戦争の一方に日本が加担したせいで国内にテロの嵐。混乱の日本から生存者の救出が来るあてはなし。島で救助してくれた日本人は姿を見せなくなり、代わりに現われたのは得体の知れない代理人(渡辺いっけい)。生存したものの日本に帰国の予測も立たない暮らしの中で、元々壊れかかった人たちは次々と狂気の世界に落ち込んでいく。
050513_222258舞台セットは海の見える荒地に立つ廃ビル。大掛かりな回り舞台で1階建物外と、ビル室内のセットが交互に。舞台下手には未来から来た大きなロケットが逆さまに地面に突き刺さっている。 

いやー、すごいものを見てしまいました。私の拙いあらすじ書では、なんかえらいダークで不条理な芝居を想像されるかもしれません。確かに極限状態になって現われる人間の暗黒面を赤裸々に表現するシーンもあり、ダークといえばダークなんですが、そこはケラさんのお芝居ですからベースは、なんだかおかしなひとたちのおかしなやりとりです。休憩はさんで3時間15分という長い上演時間の間、スリルと緊張感を保持しながら観客を笑わせ続けるというケラ・マジック。普通に面白いという領域を超えた脚本でした。

常盤貴子は舞台初だとか。この濃いメンバーの中で埋もれない芝居をするのは相当困難と思えますが、凛とした芝居はまずまず。というかギリギリセーフ。筒井道隆。正直、この人の茫洋とした演技を見ていて、なぜこれほどまでに多くの作家に珍重されるのかはなはだ不思議。けして嫌いではないのですけど。今回も気弱で無神経なオタク青年を好演。確かにこれを他の誰かがやれるかと言えば、誰もやれないという気はするのですが。
渡辺いっけい。温水洋一。ある意味今回の主役二人と言っても過言ではないでしょう。いかにも周囲にいそうな嫌われキャラを、完璧に具現化。

他の演劇の人たちもそれ以上に良かったです。特に常に笑いながら話すいやーな奴の赤堀雅秋、頭がおかしくなり狂気と正常のあいだをほのぼのと行き来する池谷のぶえには感心しました。

KERA MAP見逃がせないなあ。


2 コメント

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未来から来たという少女が「何年生まれ?」と聞か... ()
2005-05-16 12:11:41
未来から来たという少女が「何年生まれ?」と聞かれて、「2063年」と答えたら、おばちゃんが「平成!」とたたみかけるところが好き。
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爆笑になったシーンだけど、それを後で文字で表現... ()
2005-05-16 12:41:26
爆笑になったシーンだけど、それを後で文字で表現するのは難しいやね。
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