Zapf 2004-2011

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今に続くいろんなことが芽吹いた季節

疾走 重松清

2005年06月14日 | book

johZZZgeZZZZZZZ
2冊並べると強烈ですよね。
ちなみにこのカバーデザインも鈴木成一デザイン事務所。一般の人にはピンとくるのか来ないのかわかりませんが、ここ数年の間、日本のブックデザインの世界を席捲してると言ってもいいくらいこの人のデザインした本は書店中にはびこってます。私の家でもここ一ヶ月でも「明日の記憶」とか「失踪日記」とか、いっぱいいっぱい。とにかく仕事やりすぎ。
今年、テレビの「情熱大陸」でこの人が取り上げられてましたが、驚くなかれ月間50冊だそうです。人間技とは思えませんね。私の係わった仕事だと、去年の「革のカバン」がそう。
でもまあ、今日は鈴木成一について書くわけではなくて。疾走。

重松清の中でもスーパーヘビー級の重さ&暗さ。過去にも家庭崩壊やいじめなど、日常の中の「暗黒面」を描くことは多かったけれど、それでもここまではやらない。先に読んだ妻が「途中で村上龍になる」と言ってたけど本当だ。この人がここまで粘膜や体液について書くとは思わなかった。

主人公「シュウジ」の人称は「おまえ」。
「おまえは~をする」という文体の違和感が最期まで抜けない。開発に失敗したリゾート跡地の廃墟の風景は赤茶色。「疾走」というタイトルとはあまりに裏腹な登場人物たちの行き詰まりぶり。終盤、破滅に向かっての疾走と言えなくもないが、それでも最期まで感情が突き抜けることはない。

面白かった。重松清の中でも重要な作品になるだろう。でも、今は読みたくなかったな。


2 コメント

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そうかぁ、表紙を見て今はかかわらないようにしよ... ()
2005-06-14 22:22:23
そうかぁ、表紙を見て今はかかわらないようにしようと思った直感は正しかったのかな
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1巻目は、昔スピリッツで連載してた「奈緒子」に似... ()
2005-06-15 11:07:58
1巻目は、昔スピリッツで連載してた「奈緒子」に似た感じの青春スポーツ小説ぽくて、悪くない感じでした。ラストは私みたいなハッピーエンダーには辛いお話です。

飢餓とか貧困とか疫病とか戦争とかいじめとか、世界の暗黒面には目を向けないようにして生きています。どうせ何もできないし。とか言って背を向けたり、食事中にあまりに悲惨なニュース映像が流れたりすると、チャンネルを変えてしまいます。

この小説にもたくさんの不運や不幸が出てきます。悲惨なニュース映像を見る目で文字を追ってしまいました。
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