トランプが「国家祈祷日」にスピーチ 宗教は国の「セーフティネット」を担う
2018.05.07
《本記事のポイント》
- トランプ氏が「国家祈祷日」に宗教と福祉の関係に言及
- 宗教は国の「セーフティネット」形成に関わってきた
- 政治と宗教がいかにして素晴らしい国をつくるかを考えるべき
ドナルド・トランプ米大統領はこのほど、ホワイトハウスのローズガーデンで行われた毎年恒例の「国家祈祷日(National Day of Prayer)」のイベントに参加した。
同イベントには宗教指導者200人が招かれ、英国教会やモルモン教、ヒンドゥー教などさまざまな宗教・宗派のリーダーが、至高神に向けて祈りを捧げた。
トランプ氏はスピーチで信仰の力の偉大さに言及。宗教と福祉の関係について、このように述べた。
「信仰が私たちの家族をつくり、コミュニティーをつくってきました。信仰によって、私たちは慈善活動への参加や、自由を守ることを促されたのです。(中略)信仰を持つアメリカ人によって、病気の人のための病院が建てられ、高齢者のお世話をするための家ができ、孤児院での慈善活動や、奉仕活動が行われました。彼らは本当に、貧しい人に素晴らしく、愛情を持って奉仕しています」
「私たちは(信仰者の権利を守るという)一歩を進めます。なぜなら、多くの問題や大きな困難を解決する上で、信仰は政府より強く、神より強きものなど何もないということを知っているからです」
政治家の仕事を肩代わりしてきた
日本ではなじみが薄いかもしれないが、歴史的に見ても宗教と福祉の関係は深い。
インドにあるスラム街での慈善活動に生涯を捧げたマザー・テレサは、イエス・キリストを信仰する修道女だ。アフリカで現地住民に医療を提供したアルベルト・シュヴァイツァーもキリスト教の神学者である。
日本でも奈良時代には、仏教に深く帰依していた光明皇后が、貧しい孤児を住まわせる悲田院や病人や貧民を救う施薬院を建設。鎌倉時代の僧侶・忍性は病院を多数建設し、ハンセン病患者の救済に尽力した。
このように、国の「セーフティネット」形成に宗教は深く関わってきた。その規模の大きさは、時として政治家の仕事を一部肩代わりするほど。トランプ氏が一貫して信仰者の権利を守ると主張しているのも、宗教を公益に奉仕する存在だと考えるからだ。
日本では「政教分離」が誤って解釈され、いかにして政治から宗教を排除するかと考えられている。宗教の役割を公平に評価し、どうすれば政治と宗教が統合して素晴らしい国をつくっていけるかということにこそ焦点を当てるべきではないか。
(片岡眞有子)
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