『見上げればジェノサイド ー 「脱炭素」に殺される』MV
第106回
幸福実現党 党首
釈 量子
日本の山をソーラーで埋め尽くすな
静岡県熱海市伊豆山地区で、豪雨により大規模な土砂災害が起きました。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
土石流の原因については、「違法な盛り土」と共に、「メガソーラー(大規模太陽光発電)の開発で山の保水力が失われたのではないか」との見方も出ています。一般的に、山の斜面でのメガソーラー開発が、敷かれた防草シートで雨水の流れが変わるなどして、がけ崩れなどに繋がることは、指摘されてきたことです。
こうした災害が今後、全国各地で起きる可能性が一層高まってきました。菅政権は「2030年の温室効果ガス46%削減」を表明し、火力発電比率を4割まで引き下げる方針です。
しかし、廃炉が進む原発は、全部再稼働したとしても2割程度。残りの4割以上を、太陽光を中心とした再生可能エネルギーで賄わざるを得ないのです。これは、日本中の山の斜面を太陽光パネルだらけにしても、なお達成できないでしょう。
もっとも「46%」という削減目標については、小泉進次郎・環境相がニュース番組で「おぼろげながら浮かんできた」と発言し、ひんしゅくを買いました。この「おぼろげな数字」とつじつまを合わせてエネルギー政策を策定するには、わずか9年間で太陽光発電を中心とする再エネが「爆増」するという、荒唐無稽な計画を立てるしかありません。
これにより、日本中にメガソーラーが敷き詰められれば、「災害を減らす」どころか、むしろ深刻な土砂災害を増やすことになりかねません。
しかも、「脱炭素」は日本経済にも大打撃を与えます。これまでも、日本の「再エネ」普及は、国民の莫大な代償によって成り立ってきました。民主党政権が導入した「再エネ固定価格買い取り制度(FIT)」により、太陽光発電のコストを、国民全体が負担する仕組みです。一般家庭用(使用量260kWh/月)の場合、2021年は年間で1万476円となっています。この国民負担の総額は、2030年に4.5兆円に達し、「46%削減」でさらに大幅に膨れ上がると見られます。
一般家庭はまだしも、企業では、地道な節電などでは追いつかない再エネ賦課金の負担に耐えかね、野菜工場などは倒産を余儀なくされたところも少なくないと聞きます。
さらに危惧すべきは、ウイグル人の強制労働との関係です。
現在、太陽光パネルの中でも最も安価であり、大量に普及しているのが「多結晶シリコン方式」です。この心臓部にあたり、太陽光を反射する多結晶シリコンの8割が中国製であり、さらにその半分が新疆ウイグル自治区で生産されているのです。全世界で見れば、同シリコンのウイグル産のシェアは約45%と推計されています。
こうした指摘を受け、米商務省はすでに、ウイグルにある太陽光パネル5社を、「ウイグル族らへの強制労働や人権侵害に関与した」として、禁輸措置対象に指定しました。この結果、多結晶シリコンの価格は5倍に高騰。太陽光発電は「強制労働だから安かった」のです。
日本政府は、総額2.4兆円(2019年)もの賦課金で、太陽光パネルを普及させ、中国製パネルの輸入につなげてきました。これでは「グリーンな成長戦略」の本質は、「中国を太らせる」ことに他ならなかったのではないでしょうか。
このまま中国製パネルの輸入が増えれば、山々の斜面に並ぶメガソーラーを見上げるたびに「ジェノサイド」を思い出す──そんなことにもなりかねません。
そもそも、「CO2温暖化犯人説」はアメリカでも党派性の強い問題で、国民の半数近くの共和党支持者は、温暖化はフェイクだと考えています。
壮大な虚構を前提とした国策としてのCO2削減、再エネ推進は、百害あって一利なしです。冷静な国民の声で、政府に方向転換を迫る必要があります。
スイスでは6月、CO2削減に向けた法律が、国民投票で否決されました。脱炭素の莫大なコストを、炭素税や航空券への課税強化で賄うことに反対する国民が、過半数を超えたのです。
「脱炭素は世界の避けられない潮流」との言説に騙され、中国を利し、国家の経済やエネルギー安全保障、国土の安全を危険にさらすことは、断じてあってはならないのです。
2021.07.26
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《本記事のポイント》
2012年11月に習近平政権が誕生して以来、中国経済は概ね右肩下がりである(下図表1、2参照)。
(図表1)
(図表2)
その主な理由は、(1)活きのいい民間企業とゾンビまがいの国有企業を合併させる「混合所有制」を導入した、(2)「改革・開放」の「トウ小平路線」を捨て、「第二文革」(文化小革命)を開始したからではないか。
どちらの政策も、国有経済の増強(国有企業の発展)と民有経済の縮小(民間企業の衰退)を意味する「国進民退」を招来した。政府による企業への干渉・介入は、どうしても自由な経済活動を阻害する。
おそらくその結果も大きいだろう。近年、中国の国有企業はデフォルトと倒産が相次いでいる。
直近では7月9日、国有企業の半導体大手である清華紫光集団が、債権者の徽商(きしょ)銀行から「同集団の破産・再編を進めるよう裁判所(北京市第一中級人民法院、地裁に相当)に申請した」旨の通知を受けたことを明らかにした。
この国有企業は清華大学系で1988年に創設された。昨年11月以来、同集団は何度もデフォルトを起こしたが、結局、倒産した形となる。一時、同集団は他国企業の買収を試みたが、ほとんど失敗に終わっている。
2019年11月、エルピーダメモリ(現・マイクロンメモリジャパン)社長を歴任した坂本幸雄氏が紫光集団の高級副総裁に就任した。それでも、同集団を救うことができなかった。
現代社会では、半導体があらゆる生産の要となっている。その重大な任務を担っていた紫光集団の倒産は、中国共産党にとっては痛手だったのではないか。
ちなみに、紫光集団の傘下企業には、長江存儲科技(長江ストレージ、YMTC、武漢市)がある。この会社は、世界をリードするメモリー装置ソリューション企業である。
他には、西安紫光国芯半導体(紫光国芯、Unigroup Guoxin)もある。同企業は、2009年に破綻したドイツ半導体大手、キマンダ(ミュンヘン)の西安工場を継承した西安華芯半導体を前身としている。
紫光集団の倒産は、これら傘下企業にあまり影響しないとも言われているが、今後の展開次第では、この2企業にもダメージがあるかもしれない。
昨年2月には、IT企業の北大方正集団も破産している。同集団は、北京大学が100%出資し、その研究成果を産業化するため1986年に設立された国有企業だった。
北大方正集団が満期になった債務のデフォルトを起こしたため、「明白に同社には返済能力がない」と判断した北京銀行が、裁判所(北京市第一中級人民法院)に同社の再建手続きを申し立てた。
同集団の傘下には、(1)英特克信息技術(武漢)有限公司(インテック武漢)、(2)方正株式(武漢)科技開発公司(2018年1月、同集団がオフショア開発を円滑に推進するため武漢市に子会社として同社を設立)、(3)24ABC株式会社(18年6月、同集団が越境ECプラットフォーム24ABCを展開することを目的として設立)、(4)方正国際軟件(江蘇)有限公司(江蘇省江陰市、08年に設立か)等が存在する。
実は2020年11月、BMWとの合弁企業、中国華晨汽車(遼寧省瀋陽市の国有企業)も破産した。
「SankeiBiz」(11月20日付)によれば、「新型コロナウィルスの影響で自主ブランド車の販売が低迷。ドイツ大手BMWとの合弁事業は順調だが、全体の経営悪化をカバーできなかった。中国の破産法に基づき、事業を継続しながら負債を整理し、経営再建を目指す」という。
確かに、「新型コロナ」が同社の経営悪化に拍車をかけたことは間違いないが、原因は他にもあるのではないか(例えば、「親方"五星紅旗"」など)。
同月、国有資源会社の永城煤電控股集団(河南省)がデフォルトを起こした。この集団も先行きが不透明である。
ところで、以前まで中国では、デフォルト寸前の企業に、どこからとなく「ホワイトナイト」(友好的な買収者)のような存在が現れ、破産寸前の企業を救っていた。
けれども、「国有企業改革」を掲げる習近平政権は、ゾンビ化した国有企業を救うことができなくなったのか。あるいは、同政権はゾンビ企業をこのまま残せば、さらに財政赤字が逼迫すると考えて、助けようとしないのだろうか。
しかし一般的に、国有企業の労働者は多いので、いったん倒産すると大量の失業者が生まれる。
江沢民時代の朱鎔基首相は、「国有企業改革」を推進した。当時は国有企業が倒産しても、失業者は、まだ別の業界で活躍することができた。だが現在、産業が高度化したせいか、失業者が簡単に別の分野で働けなくなった。国有企業の倒産が増えれば、ますます社会不安が増大するだろう。
習近平政権肝煎りの国有企業が相次いでデフォルトを起こして倒産している。何たる皮肉だろうか。
アジア太平洋交流学会会長
澁谷 司
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2021年7月12日付本欄 コロナ不況、人口減、寝そべり族……もう下り坂の中国経済【澁谷司──中国包囲網の現在地】
幸福実現党 江夏正敏の闘魂メルマガ vol.171 2021年7月20日発行 ━━━━━━━━━━━━━━ 江夏正敏 幸福実現党 幹事長のオフィシャルブログ http://enatsu-masatoshi.com/ ※このメルマガは購読申込をされた方、江夏正敏とご縁のあった方にお送りしております。 メルマガが不要な方は最下部のURLをクリックして解除して下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━ 1、江夏正敏の「闘魂一喝!」 「中国を利するだけの脱炭素―自由主義国家の崩壊を防げ」 ━━━━━━━━━━━━━━ 菅首相は2020年10月26日の所信表明演説で、「日本は2050年までに(CO2等の)温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言しました。 その後、2020年12月に日本政府は「グリーン成長戦略」を公表。経済と環境を両立させて、「2050年までにCO2排出の実質ゼロ」を目指すことを表明しました。 そして、2021年4月22日、米国主催の気候サミットで菅首相は「2030年にCO2等の温室効果ガスを2013年比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける」と発言しました。 これは既存の目標である26%に20%以上も上乗せするものです。 この46%という削減目標について、小泉進次郎環境相がテレビで「おぼろげながら浮かんできたのです。46という数字が」とコメントして顰蹙を買いました。 そもそも、2050年CO2ゼロや46%削減などの目標自体が、文化大革命時の毛沢東の大躍進の数値目標と同様で、科学、技術、経済を無視した荒唐無稽な目標に過ぎません。 日本はこの目標に縛られると没落の憂き目にあうこととなります。このように、脱炭素をはじめとする環境問題は、少し間違うと日本の存亡にかかわる重大事です。 今回のメルマガは、脱炭素についての危険性を、『「脱炭素』は嘘だらけ』(杉山大志著:産経新聞出版)を参考にしつつ述べていきます。 ●2050年CO2ゼロは経済を破壊する。 2050年のCO2ゼロという極端な目標は、経済を破壊しかねない恐ろしい目標です。 このままだと、政府は単純に安価な化石燃料の従来通りの利用を禁止し、CO2の回収・貯蓄を義務づける施策を進めるでしょう。 さらに、不安定な太陽光や風力などの“再生可能エネルギー”や、扱いにくい“水素エネルギー”で代替しようとするでしょう。 政府は2030年に年額90兆円、2050年に年額190兆円の経済効果があると試算していますが、これは「膨大なコスト」と見るべきで、「経済効果」という表現は適当ではありません。 結果的に、企業の競争力を削ぎ、家計を圧迫し、日本の経済を傷つけることになるでしょう。 そして、電気料金の上昇等で、企業や家庭の負担が顕在化すると、国民の支持を失い、グリーンバブルは崩壊していくと考えられます。 ●脱炭素の日本経済への影響。 日本では、2021年5月26日に改正地球温暖化対策推進法が成立しました。これを実現するためのコストはどれほどになるのでしょうか。 CO2ゼロというかけ声は威勢が良いのですが、驚くことに、技術的、経済的な実現可能性の検討が完全に欠落しているのです。 実は日本だけではなく、具体的な計画を持ち合わせている国は一つもありません。つまり、実現する確率はほぼゼロと言われています。とても心配になります。 とはいえ、何か未来技術があるのではと考えてしまいます。 しかし、CO2ゼロを実現するための技術として、CCUSや合成メタン技術なども俎上に上がりますが、世界中のどこかで普及に至ったものは一つもありません。机上計算や実験室の中のものばかりです。 このような状況で、RITE(地球環境産業技術研究機構)が2016年に行った試算があります。 かなり無理のある前提で試算すると、2050年における脱炭素のコストは54兆円から90兆円必要とのこと。これは国家予算に匹敵する規模です。 このように、実際にCO2ゼロの政策を推進すると、膨大な費用が掛かって、失業者は続出し、経済は大打撃を受けることになるでしょう。 少し考えるだけで、家庭の設備は全部電化、プロパンガス業者は廃業、都市ガスも全廃、建設機械も全部電化、工場は閉鎖、病院のボイラーも無くすということが想像され、様々な疑問が湧いてきます。 それで良いのでしょうか。電気だけのインフラは災害や危機の時に、危険でもあります。 ●太陽光発電の強引な普及の結果・・・。 このような脱炭素の理想論を振りかざして、痛い目に合った過去の政策があります。それは太陽光発電の強引な普及です。 詳しいことは省きますが、現在、年間2.4兆円の賦課金が国民負担になっています。 かつては、太陽光の普及は成長戦略の一環とうたわれていましたが、中国の産業を潤し、外資系企業が儲かって、国民は負担のみが増加したとも言えるでしょう。 同じようなことが、もっと大きなレベルで起きそうです。 ●日本の電気代が高くなり続けると・・・。 日本の企業は、長い間、エネルギーの内外格差に苦しんできました。産業用電力価格の内外格差によって、アルミ精錬、シリコン精錬などの工程は、ことごとく海外に依存するようになってきたのです。 化学工場は閉鎖される一方です。また、情報通信技術においても、データセンターは多くの電力を消費するので、電気代が高いと海外に移転する可能性があります。 環境保護運動の言動の乗せられ過ぎると、日本の産業が、今以上に空洞化することになるでしょう。 ●中国を利するだけの脱炭素。 2021年4月22日の気候サミットにおいて、中国、インド、ロシアなど国々は、目標の深掘りに応じませんでした。日米欧が一方的に膨大な経済的負担を負うことになったのです。 この結果、中国は内心、笑いが止まらなかったと思われます。中国は、環境問題を利用して、アメリカの国力を削ぎ、覇権国家としての力を弱めることができるからです。 中国は環境問題を語る際、自国を開発途上国と位置づけ、 「途上国は経済開発の権利があり、先進国は過去のCO2排出の責任を負って率先してCO2を減らすべきだ」と主張し、多数の途上国を先導して支持を取り付けようとします。 EUのリベラルな環境保護派やアメリカ民主党は、その中国の思惑通りに動いています。欧米諸国は自分たちで脱炭素を主導し、自滅的に経済を痛めつける約束をしてしまいました。 中国は事実上、CO2に束縛されないままです。さらに、中国は太陽光、風力、電気自動車など、大きな産業を有しており、欧米諸国が創る市場で経済的利益を得ることを目論んでいます。 その上、欧米諸国はCO2削減を理由に、途上国の火力発電から撤退する方向ですが、中国がすかさず火力発電市場を取っていくでしょう。 欧米諸国は石油消費を減らそうとしていますが、それは中国の産油国からの調達が容易になることを意味します。そして、化石燃料を取り上げられた途上国はこぞって中国を頼ることになるでしょう。 ●中国はどう転んでも得をする。 2020年9月22日の国連総会の一般討論で、中国の習近平主席が「2060年までにCO2ゼロ宣言」を行い、注目を浴びました。しかし、この中国の目標は、実現が難しいと言われています。 というよりも、欧米諸国や日本の2050年CO2ゼロからしても達成不可能とも言われているのです。どちらの目標も、具体的計画が伴わない不真面目なものです。 このままだと、欧米諸国や日本が、脱炭素のために膨大な予算をつぎ込んでいく可能性がありますが、経済的自殺行為と言えるでしょう。 中国は高みの見物で、先進国の脱炭素の悪戦苦闘ぶりを眺めておけば良いのです。「先進国で脱炭素が出来なければ、中国もできない」と言えばそれまでです。 もし、脱炭素の技術が奇跡的に確立すれば、その後の2060年までの10年をかけて、その技術を模倣して、ゆっくりと脱炭素を達成すれば良いのです。 どちらに転んでも、中国のリスクは限りなく小さいと言えます。 さらに、先進国が膨大な予算を環境対策につぎ込めばつぎ込むほど、中国の太陽光発電、風力発電、電気自動車など産業は潤うだけです。 さらに、中国製の製品を各国の電力網につなげると、サイバー攻撃が容易になるでしょう。 このまま行くと、アメリカは途中で脱落し、日本だけが真面目に取り組んで、大損をすることになりそうです。 ●地球温暖化のファクト。 脱炭素は日本の経済を崩壊させ、中国を利する可能性があると述べてきましたが、「そもそも地球温暖化は人類にとって脅威なのではないでしょうか」と感じる方も多いと思います。 そこで、杉山大志著『地球温暖化のファクトフルネス』より、参考事例を列挙してみます。 1.台風は増えていない。 2.台風は強くなっていない。 3.超強力な台風は来なくなった。 4.地球温暖化は30年間で僅か0.2℃であった。 5.猛暑は温暖化のせいではない。 6.短時間の豪雨は温暖化のせいではない。 7.集中豪雨は温暖化のせいではない。 8.寒さによる死亡の方が暑さによる死亡より遥かに多い。 9.東京は既に3℃上昇したが繁栄している。 10.山火事は温暖化のせいではない。 11.海面上昇は僅かでゆっくりだった。 12.シロクマは増えている。 13.砂浜の消失は温暖化のせいではない。 14.サンゴ礁の島々は海面上昇で沈まなかった。 15.エゾシカの獣害は温暖化のせいではない。 16.災害による損害額の増加は温暖化のせいではない。 17.食糧生産は増え続けている。 18.気象災害による死亡は減り続けている。 19.気候に関連する死亡は減り続けている。 20.CO2はすでに5割増えた(だが何も問題は起きていない)。 21.再生可能エネルギーの大量導入で豪雨は3ミクロンも減らなかった。 22.2050年CO2ゼロでも気温は0.01℃も下がらず、豪雨は1ミリも減らない。 23.気象予測の科学的不確実性は大きい。 24.被害予測の前提とするCO2の排出量が多すぎる。 25.シミュレーションは温暖化を過大評価している。 26.シミュレーションは気温上昇の結果を見ながらパラメーターを調整している。 これらの項目を見るだけでも、メディア報道が偏っていると感じられるのではないでしょうか。 ●地球温暖化で人類は困らない。 パリ協定に定める目標は、世界全体の気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするというものです。 現在の大気中のCO2濃度は410ppm。CO2濃度は毎年2ppm増加するので、2025年頃には420ppmになります。420ppmは産業革命前の1850年頃の280ppmの1.5倍ぐらいです。 IPCCによれば、地球の平均気温は産業革命前に比べて、約0.8℃上昇したとしています(CO2増加によるものかは分からない)。 つまり、穏やかな温暖化が起きたとされていますが、それで人類は困ったのでしょうか。 前項を前提とすれば、この170年間の技術進歩と経済成長で、世界も日本も豊かになりました。 緩やかな地球温暖化の影響など、あったとしても誤差の範囲とも言えるでしょう。 ●CO2増加で農産物の収穫が増えた。 CO2の濃度が高くなると、植物の生産性が高められ、農産物の収量が増えてくるのです。1850年は江戸時代の末期にあたり、1850年頃までは小氷河期と呼ばれ、中世(1300年頃)と比べて寒い時期でした。 1780年代には天明の飢饉、1830年代には天保の飢饉もありました。そもそも、地球の歴史において、CO2の濃度は大幅に下がり続けてきました。 恐竜の時代は、現在の数倍の濃度があったのです。それが、氷河期には180ppmまで下がった時もありました。そのときは植物が成長できずに大量枯死し、地球に砂塵が舞ったと言われています。 280ppmのCO2濃度は、植物にとってCO2欠乏気味とも言われているので、産業革命前の280ppmに戻すことが良いかは疑問です。 一説によると、CO2の濃度が630ppmぐらいで、植物の生産性がもっと増大するので、人口が増えている現代においては、もしかしたら有難いことなのかもしれません。 ●温暖化、脱炭素、環境問題の背後にある思惑を見抜け。 実は、小氷河期のような寒い時期の方が、豪雨などの激しい気象による災害は多かったと言われています。地球が温暖化すれば、極地の方が熱帯よりも気温が高くなる幅は大きくなります。 すると、南北方向の温暖化勾配は小さくなります。気象は温度勾配によって駆動されるので、温暖化した方が、気象は穏やかになると考えるほうが自然です。 このように、温暖化、脱炭素、環境問題において、現在は極端な言論が広まっている恐れがあります。 冷静に考えると、温暖化はゆっくりとしか起きておらず、その温暖化は危険ではないとも言えます。 さらに、温暖化は人為的CO2にも原因はありますが、それ以外の要因(太陽の黒点、雲など)も大きく、分かっていないことも多いのです。 ただ、言えることは、CO2の大幅排出削減は待ったなしではないということです。 温暖化、脱炭素、環境問題の背後にある中国の思惑や環境左翼の動きを冷静に分析に、ファクトに基づく政策を各国が取ることを願ってやみません。 特に、日本は国際世論に流されて、大損し、経済を崩壊させかねないので、注意が必要です。 環境問題は自由主義圏を弱体化させ、中国を利してしまいます。それは日本の存亡にかかわります。 2050年CO2ゼロは科学的にも技術的にも経済的にも人道的にも間違っていると気づかねばなりません。 『「脱炭素」は嘘だらけ』杉山大志著(産経新聞出版) 『地球温暖化のファクトフルネス』杉山大志著 ━━━━━━━━━━━━━━ 2、編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━ 環境運動家は中国に好意的で、反米的な人が多いと言われています。 下手をすると、ウイグル、チベット、香港を売ってまで、自分たちの運動を正当化しようとします。 歴史的に見れば、共産主義や社会主義としての反公害運動があり、その延長戦上に環境運動が起きました。 中国の環境破壊に目をつぶり、自由、民主を棄損する環境活動には注意が必要です。 ━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール 1967年10月20日生まれ。 福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。 広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、 HS政経塾・塾長等を歴任。 現在、幸福実現党・幹事長。 http://enatsu-masatoshi.com/profile