
中国は、米国が中国の内政に口出ししないなら経済発展に協力するとし、米国の干渉を強く拒否し、一方では、米国の財政赤字に対し、軍事費を削減して赤字を減らせと要求し米国の政策に要求つきつけています。
これまで日本に対して示していた態度と同じ様な態度を米国にも示し始めたのです。
中国を訪問しているバイデン米副大統領が18日、北京で、来年、共産党トップに就任する習近平・国家副主席と会談した。習氏は、世界第1、第2の経済大国である米中の関係について、政治体制や領土問題などに干渉しない前提条件の下で大いに発展させる考えを示した。強気の姿勢は、両国の力関係の変化を映し出している。(北京関泰晴、ワシントン黒瀬悦成)
協力強化
習副主席は、人民大会堂で向かい側に座るバイデン副大統領に穏やかな笑みを見せていた。
「協力こそ、双方の唯一の正しい選択である」
健康状態などに問題がなければ、2012年から10年間にわたって党総書記として中国を率いることが確実な習氏は、米中関係の基本方針をそう表現した。新華社電によると、習氏はその上で、両国関係をさらに発展させるための4項目の提案を行った。
協力・協調の強化と、相互不干渉がその柱だ。
協力について、米国を「パートナー」と呼ぶ一方、「中国は自ら選んだ発展の道と政治制度を大事にしている」と述べ、体制改革要求には一切応じない考えを示した。国家主権や領土の重要性も強調、台湾やチベット問題などの「核心的利益」を侵されれば、関係が損なわれると強く警告した。
1989年の天安門事件以来、国力で圧倒的に勝り、中国の経済発展の行方を左右する米国が、人権、民主化、経済などで改革、改善を強く促してきた両国関係とは様相が異なる。中国側が攻勢に出て、米国に圧力を加えている印象だ。
バイデン氏は「台湾独立を支持せず、チベットは中国の、一部であると完全に承認する」と語った。
国債保有
強気の背景にあるのは、世界1位の1兆1000億ドル以上の米国債保有国としての立場だ。
会談で、習氏は、米国債の格下げによる金融市場の混乱を念頭に、「世界経済の成長は厳しい挑戦に直面している」と懸念を表明。
「中米両国は世界の2大経済大国として、マクロ経済政策で協調を強め、共同で市場からの信頼を高めていく責任がある」と述べた。両国の「経済構造の転換」にも言及、米国に財政赤字の削減を促したとみられる。
これに対し、バイデン氏も「中国とともに努力し、世界経済の安定的な成長を確保したい」と応じた。
国営新華社通信は「中国は最大の債権者として、米国に構造的な債務問題への対処や中国のドル資産の安全確保を求める当然の権利を有する」と主張。その上で、「巨額の軍事費と社会保障費を削減しなければ、さらなる国債の格下げを招く」と財政再建の一環として、米国に軍事費の削減を求めた。かつての「帝国主義」「覇権主義」批判とは根本的に異なる。
北京の外交筋は「中国の本音が出ている。胡錦濤時代に比べ、習近平時代の対米外交は『米国と対等な立場で注文を付ける』という場面が増えていくだろう」と指摘する。中国にとって、経済力は政治力に等しい。
北京の民主活動家は「米国に失望している。米国の外圧が弱まると、共産党の横暴が強まる」と訴えた。別の外交筋によると、北京では今、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏の妻ら10人以上が自宅軟禁状態に置かれている。バイデン氏に直訴しようとした活動家の男性は17日、自宅を出たところで即座に拘束された。
中国軍はバイデン氏の訪中前、遼寧省大連で改修していた空母ワリャーグの試験航行を行った。内政不干渉の主張の裏で、中国は独自の道を歩み続けている。
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【米中関係を巡る習近平氏の4提案】
・両国の協力関係についての大きな方向性は動かさない。客観的、理性的に相手を見ることで、双方の戦略的意図を正確に判断し、信頼関係を深める
・互恵的な経済協力関係を深化させる。両国は世界の2大経済大国として、マクロ経済政策で協調を強化する責任がある・互いの核心的利益の尊重は、両国関係の健全で安定した発展のカギとなる。台湾、チベットに関する問題は中国の核心的利益だ
・中国は米国と協力し、地球的規模の課題に取り組む
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大統領選を控えたオバマ政権の足元を見た攻勢ですが、国債もドルも大量保有され、その価値が下落している今、攻勢に出られないのが米国の現実なのです。
来年再選を目指すオバマ米大統領は、米中関係に波風が立ち、外交上の「失点」として、共和党やメディアの攻撃材料となることを恐れている。バイデン副大統領訪中では、中国にひざを屈した印象を与えることなく、「友好ムード」を前面に打ち出して無用の摩擦を避けたいというのが本音だ。
政権としては、こうした態度が、国内で「事なかれ主義」と受け取られるのは避けたい。失業率が約9%と高い水準にある中、大統領選に向けて「中国の不公正な対米輸出が米国人の職を奪っている」とする対中非難が盛り上がり、政権の「融和」姿勢が攻撃される可能性もある。
オバマ政権高官は、副大統領が習氏との会談で「人権問題に関し懸念を表明した」と語った。同問題では、近年、米国が中国に状況改善を促しても、国力をつけた中国は動じずに自国の主張を展開している。米国がこの問題を持ち出すことは、むしろ、国内での「弱腰」批判をかわすという内政的意味合いが強い。
副大統領は通貨・人民元のさらなる切り上げも求めたとみられる。こちらも提起自体に意味がある。空母保有に関し説明を求めた可能性もある。オバマ政権高官によると、南シナ海の領有権問題は提起されなかった。
オバマ政権は今回、無難な外交を望んだ。もっとも、大統領は近く米中関係で重大な選択を迫られる。習氏が18日に改めて「核心的利益」と強調した台湾問題だ。政権は、台湾が求めるF16C/D型戦闘機の売却について10月1日までに結論を出し、議会に報告しなくてはならない。中国は「絶対反対」だ。
もし売却見送りを決めれば、共和党の対中強硬派などが「中国の圧力に屈し、アジアの同盟勢力を見殺しにするものだ」として激しい批判を展開するのは確実。逆に、供与に踏み切れば中国が反発し、米中冷却化につながりかねない。
「米国の外圧が弱まると、共産党の横暴が強まる」と訴えた民主化活動家の声が書かれています。共産党と言うか、人民解放軍の横暴と言ってよいのでしょう。
米国の中国への圧力に期待しているのは、民主化活動家だけではなく、日本をはじめとするアジアの国々も同じです。米国国民も中国の風下に立ち、財政の指示をされることを喜びはしないでしょう。
台湾の5年越しでのF16C/D型戦闘機の売却に米国がどう対応するかで、米国の直近の姿勢が示されることになります。ASEANとの連携で、南沙諸島への中国の覇権拡大を阻止しようとしいる米国ですが、南沙諸島で最大の島、大平島に空軍基地を持って実効支配をしているのは台湾ですね。その実効支配の危機を迎えている今、この台湾の要請を見捨てるのか否か。オバマ政権の解決策が注目されます。
多国間交渉を嫌い、二国間交渉でけりをつけたい中国とのせめぎあいも、米国の圧力なしでは潰されてしまいそうです。
米国の台湾を護る姿勢が注目される、台湾の戦闘機更新 - 遊爺雑記帳
中国の経済発展や軍備の増強は、なぜ独り勝ちの様に進んでいるのか。最近、毎回に近いくらい唱えている中国の輸出産業ですね。もちろん輸出先では米国、日本が1位と2位です。輸出が伸びている理由は安価なコストを強いる人権問題(貧富の格差)であり、自由化されていない人民元です。
為替管理をすることで抑えられた人民元により、ハンディ戦で戦う歪んだ仕組みで、富が中国へ流れ込んでいるのです。世界第二位の経済大国と自負するのなら、ハンディ戦ではなく自由化された舞台で戦うべきです。
それまでは、大国面して他国に物申す資格はなく、ハンディを認めていただいていることの感謝をすべきなのです。
今回の会談での米中の立ち位置の変動は、このまま歴史の流れとして刻まれていくのでしょうか。
中国人民解放軍への権力集中が進んだ、昔の中国に戻っていくのでしょうか。
日台は、中国の反発は覚悟の上で投資協定を結んでいますが。

セダム マトロナ
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