
北朝鮮のミサイル開発が、ICBMの発射実験成功の段階に達しました。
トランプ政権は、中国による北朝鮮への抑止を促していますが、ミサイル開発実験は止まりません。中国によるガソリンの供給制限などの制裁、中国企業による北朝鮮への関連資材・部品交易への制裁も進めていますが、中国からの制裁にもかかわらず、ロシアからの支援が進められてきていて、中国の制裁効果が無力化されつつある。更に、北朝鮮のミサイル開発速度が速いのは、ロケットエンジンや制御技術の提供、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、直接的な支援が疑われると、プーチン大統領のしたたかな戦略に注目する記事があります。
北東アジアの覇権をめぐる、米中露の攻防。日韓はそこに生じる荒波に、その安全保障は揺らぐばかり。
かつて、ソ連は共産主義国家の拡大と、南下政策で、中国や朝鮮半島に覇権を拡大し、中国共産党を産み、朝鮮半島(古くは南下するロシアと日本との間で日露戦争もあった。)では中共を交えての戦争が展開されました。
国連決議に反し、核とミサイルの開発を止めない北朝鮮に対し、トランプ政権は。すべての選択肢がテーブルの上にあると、中国および北朝鮮に圧力をかけ、中国に北朝鮮への説得責任を押し付けました。
習近平側は、北朝鮮の地政学上の必要性があり、その消滅は望まないことから決定的ダメージを与えることは躊躇せざるを得ず、また、窮鼠となり北が暴発することは、日韓への被害の大きさを含め、米中も避けたい事態です。
元々南下政策で北朝鮮とは長い歴史上の繋がりがあるロシア。南下政策はロシアの今も変わらぬ政策ですし、成長市場のアジアへの関与を深めたいプーチン大統領。対中戦略、対米戦略ともに鑑みて、力のバランスの穴が生じている北朝鮮の現状は、願ってもない現状変更打開のチャンスであり、関与を深めてきたのですね。
中国の制裁で最も効果がある、ガソリン供給の管理は、ロシアが供給することで、その効力は無力化しています。
極東開発に、中国人の流入で悩んでいるところに、北朝鮮からの出稼ぎ労働者を迎えいれることで、一定の歯止めにはなります。北にとっては貴重な外貨収入源。
問題なのは、経済的な制裁を受ける北朝鮮に手を差し伸べて影響力を強めるだけではなく、核やミサイル開発でもロシアが支援しているとみられる事。
記事での、人的技術の流出や交流もさることながら、ロケットエンジンや制御技術の提供や、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、直接的な支援もなされている。人材も資金も乏しい北朝鮮で、急速な自力開発には限界があり、世界では既知の技術が直接導入されているとの説は、納得できるものですね。
ロシアの支援で、ICBMはもとより核も含め、早い時期に配備可能になると考えられる北朝鮮。そうなれば、〇〇〇〇に刃物。危険極まりない状況が、お隣の国で発生します。北東アジアにとっても危険な状況です。
その事態を招くロシアの関与。記事の指摘する米中に限らず、日韓やアジア諸国、さらには北と国交のある世界各国は、ロシアの関与にもっと注目し、抑止力を働かせる必要があります。フーチン大統領と対話が出来るとされている安倍首相。難題ですが、プーチン大統領に自制を求めることは出来ないものでしょうか。
# 冒頭の画像は、G20で記念撮影に臨む各国首脳

ノコンギクと蝶
↓よろしかったら、お願いします。





トランプ政権は、中国による北朝鮮への抑止を促していますが、ミサイル開発実験は止まりません。中国によるガソリンの供給制限などの制裁、中国企業による北朝鮮への関連資材・部品交易への制裁も進めていますが、中国からの制裁にもかかわらず、ロシアからの支援が進められてきていて、中国の制裁効果が無力化されつつある。更に、北朝鮮のミサイル開発速度が速いのは、ロケットエンジンや制御技術の提供、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、直接的な支援が疑われると、プーチン大統領のしたたかな戦略に注目する記事があります。
北東アジアの覇権をめぐる、米中露の攻防。日韓はそこに生じる荒波に、その安全保障は揺らぐばかり。
世界の問題児、北朝鮮を密かに支えようとするロシア 北朝鮮の核・ミサイル開発にロシアが関与? | JBpress(日本ビジネスプレス) 2017.7.7(金) 阿部 純一
北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐる米・中・韓の認識にはどうにもならない乖離が見られる。
6月30日にワシントンで行われた初めての米韓首脳会談で、直後の記者会見に臨んだトランプ大統領が、北朝鮮に対する「忍耐の時期は終わった」とし、今後は北朝鮮に対する圧力の強化を示唆した。一方、韓国の文在寅大統領は「制裁と対話を活用し、段階的で包括的なアプローチに基づく解決」を力説し、柔軟な対話を含む対応の重要性を主張し、韓の北朝鮮に対する「温度差」が浮き彫りにされた。
それ以前の6月21日にワシントンで開催された米中外交・安全保障対話では、北朝鮮の核・ミサイル問題で、米国側は中国に、北朝鮮に対しより強力な圧力をかける責任があると要求し、逆に中国側は米国に軍事演習などの軍事圧力を停止することで北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制させる外交ルートによる対話路線を主張した。北朝鮮問題に関わる米中の「温度差」はすでにここでも露呈し、両者の意見が噛み合わなかった。結局、共同文書の作成は見送られ、米国側のティラーソン国務長官、マティス国防長官が記者会見を開いただけで、中国側はノーコメントであった。
こうした米韓、米中の認識の乖離をあざ笑うかのように、7月4日、北朝鮮は弾道ミサイル発射実験を行った。ミサイルは約40分の飛翔で高度2802キロメートルに達し、933キロメートル離れた日本のEEZ(排他的経済水域)に着弾した。当日午後3時半、北朝鮮は「特別重大発表」を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表した。
米国は当初、このミサイル発射実験は「中距離弾道ミサイル」であるとし、米国本土への直接の脅威となるICBMではないという評価を発表していたが、後にティラーソン国務長官は北朝鮮を強く非難する声明を出し、その中で発射されたミサイルをICBMであると認定した。米軍の定義では、射程5500キロメートル以上をICBMとしており、アラスカやハワイなどが射程に含まれるものと見られる。
北朝鮮の弾道ミサイル開発が米国に対する直接的な脅威になったことで、トランプ政権の対北朝鮮政策が見直しを迫られる事態となったのは疑いない。しかし、米国だけでできることは限られているのが現実だ。
■北朝鮮問題は緊張状態のまま膠着化?
<中略>
たしかに、トランプ政権は武力行使を含めたすべての選択肢がテーブルの上にあると北朝鮮を恫喝し、4月には日本海に空母2隻の戦力を展開してみせた。だが、マティス国防長官は5月19日の記者会見で、北朝鮮への武力行使は「信じられない規模での悲劇が起こる」と述べ、武力行使が現実的な選択肢ではないことを印象づけた。米国から戦争を仕掛ける意図がないことを明らかにしたと言ってよいだろう。
そうなると、当然予想されるのは状況の膠着化である。今後、北朝鮮問題は増大する緊張下で推移していくことが予想される。
こうした状況は、米中関係にも長く影を落とすことになり、決してプラスに作用することはないだろう。日本も韓国も、状況が打開されなければ閉塞状態に置かれる。韓国の文在寅大統領にしても、こうした状況を突破したいだろうが、北朝鮮と米国、さらに中国も受け入れられるような解決策を提案できるようには思えない。
■ロシアが北朝鮮に「関与」する理由
そうした中で、膠着化する朝鮮半島問題に利益を見出している国があることを想起しなければならない。すなわちロシアである。
観点を整理してみよう。中国は北朝鮮が崩壊し、朝鮮半島が米国のコントロール下に置かれるのを受け入れたくはないから、「緩衝国家」としての北朝鮮の存続を望む。それはロシアも共有する観点であろう。同時に、ロシアにしてみれば、中国の「傀儡」となる北朝鮮も望むところではない。ロシアから見れば、「独立し、中国の干渉も受け付けない北朝鮮」が望ましい姿ということになる。これに関して言えば、ロシアのプーチン大統領は、6月2日にサンクトペテルブルグで開催された経済フォーラムで発言し、「(北朝鮮のような)小国は独立や安全、主権を守るために核兵器を保有する以外に方法がないと思っている」と述べ、北朝鮮の核保有を容認するかのような発言をしている。
ロシアにとってみれば、朝鮮半島の緊張は、米国の同盟国である日本、韓国に対する米国の安全保障コミットメントを高めることにつながり、それは米国の東アジアへの軍事コミットメント強化という形で台頭する中国への牽制にもなる。東アジアで政治的かつ経済的に覇権を確立したい中国にとっては、米国のコミットメント継続ないしその強化は迷惑極まりない話であり、話を飛躍させれば台湾統一の願望さえ思いとどまらなくてはならなくなる。結果として重要なことは、北東アジアの勢力バランスは緊張の度合いを高めながらこれまで通り維持されることになるということである。
ロシアは、目立たない形で北朝鮮への関与を進めてきた。2011年8月、脳梗塞後の病身をおして列車でモスクワを訪問した金正日に、当時のメドベージェフ大統領は北朝鮮の抱える対ロシア債務の軽減交渉を受け入れた。その結果、プーチンが大統領に復帰した後の2012年9月に「旧ソ連時期に提供された借款により北朝鮮がロシアに負った債務の調整に関する協定」によって、総額110億ドルの90%を棒引きし、残りの10%は20年間の均等割償還でロシアと北朝鮮の共同事業への投資に回すという「寛大な」措置を取った。以来、北朝鮮が極東ロシアに派遣する「出稼ぎ労働者」も増加し、これは北朝鮮にとって貴重な外貨収入源となっているとされる。今年の5月からは北朝鮮の羅津とロシアのウラジオストクを結ぶ定期フェリーも就航した。中国が北朝鮮の貿易において9割という圧倒的シェアを占めているのは事実であっても、ロシアが北朝鮮との経済関係を深めようとしていることは事実である。
ただし、中国がそうしたロシアの思惑や行動を察知したところで、ロシアに対して強硬な態度に出るわけにはいかない。
経済制裁回避の見返りで北朝鮮への制裁強化である程度の協力をしなければ体裁が取れない中国にとって、北朝鮮をロシアが経済的に支えてくれることは、(中国の北朝鮮に対する影響力が下がるという意味で外交的に好ましくないとはいえ)北朝鮮の崩壊を防ぐという意味で地政学的に望ましいことだろう。また、直接的な中露関係で言えば習近平のナショナルプロジェクトである「一帯一路」を成功に導くためには、中央アジアやインドに一定の影響力を持つロシアの協力が絶対に欠かせないことも指摘できる。
米国はどうだろうか。対北朝鮮武力行使が現実的でないなかで、北朝鮮を巡って中国と米国が政策的対応で「綱引き」をしている状況は、米国にとってやるべきことはやっていることを内外に示す意味で「悪くない」かもしれない。しかし、米国の要求に従う形で中国が北朝鮮に対する圧力を強化し、その結果北朝鮮が「暴発」するのも米国の望むところではない。
中国に代わってロシアが北朝鮮を経済的にバックアップし、「暴発」を未然に防いでくれるなら、表面的には「制裁の効果を減じる」として反対ないし批判が出てくるだろうが、「黙認」する結果になるだろう。2016年の大統領選挙でロシアの関与が取り沙汰され、トランプの選挙陣営との関係が疑われて「ロシアゲート」などと揶揄されているトランプ政権にとって、ロシアは積極的に「関わりたくない」相手でもある。
■北朝鮮のミサイル開発にロシアが関与か
ただし、問題なのは北朝鮮へのロシアの関与が、経済的バックアップだけではないことだ。今年に入ってからの頻繁な北朝鮮のミサイル試射の背後にもロシアの関与が疑われる。もちろん、明白なエビデンスが出てくれば米中のみならず国際的な糾弾の対象となる行為であろう。だが、国際的に孤立し、経済的にも人材的にもリソースが豊かでない北朝鮮が、どんどん弾道ミサイルの開発を進め、ついにICBM発射実験成功まで到達した現実は、とても北朝鮮が独力で行ってきたとは思えない。
日経新聞の記事では、ロシアが北朝鮮のロケット技術者を留学させたり、ソ連崩壊後失業したロシアのロケット技術者を受け入れてきたこと等が指摘されているが、人材の交流が北朝鮮による今年に入ってからの急速なミサイル開発の進展ぶりを説明するのは無理がある。ロケットエンジンや制御技術の提供や、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、もっと直接的な支援があったことが疑われる。
北朝鮮の核技術やミサイル技術はロシア(ソ連)由来であり、ロシアとしても技術的にサポートしやすいのは事実だろう。その意味で言えば、ロシア由来という点では中国も似たようなものだが、もし中国が北朝鮮の核・ミサイル開発に秘密裏に関与していた場合、それが露呈したらとんでもないことになる。その意味で中国の関与の蓋然性は低いと思われる。
もちろん、ロシアも北朝鮮問題の6者協議のメンバーであり、北朝鮮の核保有には基本的に反対の立場を取ってきたから、中国ほどではないにしても、それなりに外交的リスクを抱えた対北朝鮮ミサイル協力と言える。
核・ミサイル大国の北朝鮮をもしロシアが演出しているとするなら、その狙いが何なのか。中国への牽制なのか、米国への牽制なのか、あるいは北東アジアにおける「現状維持」あるいは「現状固定」なのか。直観的に言えば、ロシアにとっては、北朝鮮のICBMが米国にとっての新たな脅威となることは米ロの戦略関係から見てもプラスになる。現状、ロシアが直面しているのは米国の脅威だけだが、米国は、ロシア、中国に加えて北朝鮮も脅威になるからだ。これに直接関わる米国も、そして中国もロシアの関与に言及しないのが不可解である。
北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐる米・中・韓の認識にはどうにもならない乖離が見られる。
6月30日にワシントンで行われた初めての米韓首脳会談で、直後の記者会見に臨んだトランプ大統領が、北朝鮮に対する「忍耐の時期は終わった」とし、今後は北朝鮮に対する圧力の強化を示唆した。一方、韓国の文在寅大統領は「制裁と対話を活用し、段階的で包括的なアプローチに基づく解決」を力説し、柔軟な対話を含む対応の重要性を主張し、韓の北朝鮮に対する「温度差」が浮き彫りにされた。
それ以前の6月21日にワシントンで開催された米中外交・安全保障対話では、北朝鮮の核・ミサイル問題で、米国側は中国に、北朝鮮に対しより強力な圧力をかける責任があると要求し、逆に中国側は米国に軍事演習などの軍事圧力を停止することで北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制させる外交ルートによる対話路線を主張した。北朝鮮問題に関わる米中の「温度差」はすでにここでも露呈し、両者の意見が噛み合わなかった。結局、共同文書の作成は見送られ、米国側のティラーソン国務長官、マティス国防長官が記者会見を開いただけで、中国側はノーコメントであった。
こうした米韓、米中の認識の乖離をあざ笑うかのように、7月4日、北朝鮮は弾道ミサイル発射実験を行った。ミサイルは約40分の飛翔で高度2802キロメートルに達し、933キロメートル離れた日本のEEZ(排他的経済水域)に着弾した。当日午後3時半、北朝鮮は「特別重大発表」を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表した。
米国は当初、このミサイル発射実験は「中距離弾道ミサイル」であるとし、米国本土への直接の脅威となるICBMではないという評価を発表していたが、後にティラーソン国務長官は北朝鮮を強く非難する声明を出し、その中で発射されたミサイルをICBMであると認定した。米軍の定義では、射程5500キロメートル以上をICBMとしており、アラスカやハワイなどが射程に含まれるものと見られる。
北朝鮮の弾道ミサイル開発が米国に対する直接的な脅威になったことで、トランプ政権の対北朝鮮政策が見直しを迫られる事態となったのは疑いない。しかし、米国だけでできることは限られているのが現実だ。
■北朝鮮問題は緊張状態のまま膠着化?
<中略>
たしかに、トランプ政権は武力行使を含めたすべての選択肢がテーブルの上にあると北朝鮮を恫喝し、4月には日本海に空母2隻の戦力を展開してみせた。だが、マティス国防長官は5月19日の記者会見で、北朝鮮への武力行使は「信じられない規模での悲劇が起こる」と述べ、武力行使が現実的な選択肢ではないことを印象づけた。米国から戦争を仕掛ける意図がないことを明らかにしたと言ってよいだろう。
そうなると、当然予想されるのは状況の膠着化である。今後、北朝鮮問題は増大する緊張下で推移していくことが予想される。
こうした状況は、米中関係にも長く影を落とすことになり、決してプラスに作用することはないだろう。日本も韓国も、状況が打開されなければ閉塞状態に置かれる。韓国の文在寅大統領にしても、こうした状況を突破したいだろうが、北朝鮮と米国、さらに中国も受け入れられるような解決策を提案できるようには思えない。
■ロシアが北朝鮮に「関与」する理由
そうした中で、膠着化する朝鮮半島問題に利益を見出している国があることを想起しなければならない。すなわちロシアである。
観点を整理してみよう。中国は北朝鮮が崩壊し、朝鮮半島が米国のコントロール下に置かれるのを受け入れたくはないから、「緩衝国家」としての北朝鮮の存続を望む。それはロシアも共有する観点であろう。同時に、ロシアにしてみれば、中国の「傀儡」となる北朝鮮も望むところではない。ロシアから見れば、「独立し、中国の干渉も受け付けない北朝鮮」が望ましい姿ということになる。これに関して言えば、ロシアのプーチン大統領は、6月2日にサンクトペテルブルグで開催された経済フォーラムで発言し、「(北朝鮮のような)小国は独立や安全、主権を守るために核兵器を保有する以外に方法がないと思っている」と述べ、北朝鮮の核保有を容認するかのような発言をしている。
ロシアにとってみれば、朝鮮半島の緊張は、米国の同盟国である日本、韓国に対する米国の安全保障コミットメントを高めることにつながり、それは米国の東アジアへの軍事コミットメント強化という形で台頭する中国への牽制にもなる。東アジアで政治的かつ経済的に覇権を確立したい中国にとっては、米国のコミットメント継続ないしその強化は迷惑極まりない話であり、話を飛躍させれば台湾統一の願望さえ思いとどまらなくてはならなくなる。結果として重要なことは、北東アジアの勢力バランスは緊張の度合いを高めながらこれまで通り維持されることになるということである。
ロシアは、目立たない形で北朝鮮への関与を進めてきた。2011年8月、脳梗塞後の病身をおして列車でモスクワを訪問した金正日に、当時のメドベージェフ大統領は北朝鮮の抱える対ロシア債務の軽減交渉を受け入れた。その結果、プーチンが大統領に復帰した後の2012年9月に「旧ソ連時期に提供された借款により北朝鮮がロシアに負った債務の調整に関する協定」によって、総額110億ドルの90%を棒引きし、残りの10%は20年間の均等割償還でロシアと北朝鮮の共同事業への投資に回すという「寛大な」措置を取った。以来、北朝鮮が極東ロシアに派遣する「出稼ぎ労働者」も増加し、これは北朝鮮にとって貴重な外貨収入源となっているとされる。今年の5月からは北朝鮮の羅津とロシアのウラジオストクを結ぶ定期フェリーも就航した。中国が北朝鮮の貿易において9割という圧倒的シェアを占めているのは事実であっても、ロシアが北朝鮮との経済関係を深めようとしていることは事実である。
ただし、中国がそうしたロシアの思惑や行動を察知したところで、ロシアに対して強硬な態度に出るわけにはいかない。
経済制裁回避の見返りで北朝鮮への制裁強化である程度の協力をしなければ体裁が取れない中国にとって、北朝鮮をロシアが経済的に支えてくれることは、(中国の北朝鮮に対する影響力が下がるという意味で外交的に好ましくないとはいえ)北朝鮮の崩壊を防ぐという意味で地政学的に望ましいことだろう。また、直接的な中露関係で言えば習近平のナショナルプロジェクトである「一帯一路」を成功に導くためには、中央アジアやインドに一定の影響力を持つロシアの協力が絶対に欠かせないことも指摘できる。
米国はどうだろうか。対北朝鮮武力行使が現実的でないなかで、北朝鮮を巡って中国と米国が政策的対応で「綱引き」をしている状況は、米国にとってやるべきことはやっていることを内外に示す意味で「悪くない」かもしれない。しかし、米国の要求に従う形で中国が北朝鮮に対する圧力を強化し、その結果北朝鮮が「暴発」するのも米国の望むところではない。
中国に代わってロシアが北朝鮮を経済的にバックアップし、「暴発」を未然に防いでくれるなら、表面的には「制裁の効果を減じる」として反対ないし批判が出てくるだろうが、「黙認」する結果になるだろう。2016年の大統領選挙でロシアの関与が取り沙汰され、トランプの選挙陣営との関係が疑われて「ロシアゲート」などと揶揄されているトランプ政権にとって、ロシアは積極的に「関わりたくない」相手でもある。
■北朝鮮のミサイル開発にロシアが関与か
ただし、問題なのは北朝鮮へのロシアの関与が、経済的バックアップだけではないことだ。今年に入ってからの頻繁な北朝鮮のミサイル試射の背後にもロシアの関与が疑われる。もちろん、明白なエビデンスが出てくれば米中のみならず国際的な糾弾の対象となる行為であろう。だが、国際的に孤立し、経済的にも人材的にもリソースが豊かでない北朝鮮が、どんどん弾道ミサイルの開発を進め、ついにICBM発射実験成功まで到達した現実は、とても北朝鮮が独力で行ってきたとは思えない。
日経新聞の記事では、ロシアが北朝鮮のロケット技術者を留学させたり、ソ連崩壊後失業したロシアのロケット技術者を受け入れてきたこと等が指摘されているが、人材の交流が北朝鮮による今年に入ってからの急速なミサイル開発の進展ぶりを説明するのは無理がある。ロケットエンジンや制御技術の提供や、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、もっと直接的な支援があったことが疑われる。
北朝鮮の核技術やミサイル技術はロシア(ソ連)由来であり、ロシアとしても技術的にサポートしやすいのは事実だろう。その意味で言えば、ロシア由来という点では中国も似たようなものだが、もし中国が北朝鮮の核・ミサイル開発に秘密裏に関与していた場合、それが露呈したらとんでもないことになる。その意味で中国の関与の蓋然性は低いと思われる。
もちろん、ロシアも北朝鮮問題の6者協議のメンバーであり、北朝鮮の核保有には基本的に反対の立場を取ってきたから、中国ほどではないにしても、それなりに外交的リスクを抱えた対北朝鮮ミサイル協力と言える。
核・ミサイル大国の北朝鮮をもしロシアが演出しているとするなら、その狙いが何なのか。中国への牽制なのか、米国への牽制なのか、あるいは北東アジアにおける「現状維持」あるいは「現状固定」なのか。直観的に言えば、ロシアにとっては、北朝鮮のICBMが米国にとっての新たな脅威となることは米ロの戦略関係から見てもプラスになる。現状、ロシアが直面しているのは米国の脅威だけだが、米国は、ロシア、中国に加えて北朝鮮も脅威になるからだ。これに直接関わる米国も、そして中国もロシアの関与に言及しないのが不可解である。
かつて、ソ連は共産主義国家の拡大と、南下政策で、中国や朝鮮半島に覇権を拡大し、中国共産党を産み、朝鮮半島(古くは南下するロシアと日本との間で日露戦争もあった。)では中共を交えての戦争が展開されました。
国連決議に反し、核とミサイルの開発を止めない北朝鮮に対し、トランプ政権は。すべての選択肢がテーブルの上にあると、中国および北朝鮮に圧力をかけ、中国に北朝鮮への説得責任を押し付けました。
習近平側は、北朝鮮の地政学上の必要性があり、その消滅は望まないことから決定的ダメージを与えることは躊躇せざるを得ず、また、窮鼠となり北が暴発することは、日韓への被害の大きさを含め、米中も避けたい事態です。
元々南下政策で北朝鮮とは長い歴史上の繋がりがあるロシア。南下政策はロシアの今も変わらぬ政策ですし、成長市場のアジアへの関与を深めたいプーチン大統領。対中戦略、対米戦略ともに鑑みて、力のバランスの穴が生じている北朝鮮の現状は、願ってもない現状変更打開のチャンスであり、関与を深めてきたのですね。
中国の制裁で最も効果がある、ガソリン供給の管理は、ロシアが供給することで、その効力は無力化しています。
極東開発に、中国人の流入で悩んでいるところに、北朝鮮からの出稼ぎ労働者を迎えいれることで、一定の歯止めにはなります。北にとっては貴重な外貨収入源。
問題なのは、経済的な制裁を受ける北朝鮮に手を差し伸べて影響力を強めるだけではなく、核やミサイル開発でもロシアが支援しているとみられる事。
記事での、人的技術の流出や交流もさることながら、ロケットエンジンや制御技術の提供や、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、直接的な支援もなされている。人材も資金も乏しい北朝鮮で、急速な自力開発には限界があり、世界では既知の技術が直接導入されているとの説は、納得できるものですね。
ロシアの支援で、ICBMはもとより核も含め、早い時期に配備可能になると考えられる北朝鮮。そうなれば、〇〇〇〇に刃物。危険極まりない状況が、お隣の国で発生します。北東アジアにとっても危険な状況です。
その事態を招くロシアの関与。記事の指摘する米中に限らず、日韓やアジア諸国、さらには北と国交のある世界各国は、ロシアの関与にもっと注目し、抑止力を働かせる必要があります。フーチン大統領と対話が出来るとされている安倍首相。難題ですが、プーチン大統領に自制を求めることは出来ないものでしょうか。
# 冒頭の画像は、G20で記念撮影に臨む各国首脳

ノコンギクと蝶
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