G7が13日に閉幕。
対中包囲網が主題となり、様々な論評がなされています。
対中包囲網と言えば、安倍前首相が提唱し、トランプ前大統領が賛同・推進した「自由で開かれたインド太平洋戦略」。その基軸国が、日米豪印の4か国。
その豪印は、今回のG7に招かれ参加しました。
「クアッド」が、ここ数カ月間でようやく存在意義を手に入れつつあるように見えると言うのは、今回のG7主催国の英国のエコノミスト誌。
何故クアッドの存在意義が高まっているのか。クアッドの新しい存在意義はあらゆる面で中国と関係があるからだとエコノミスト誌。
トランプ政権時代の昨年10月に、第2回目の外相会議を東京で開催、今年3月にはバイデン大統領主催で、首脳会談がテレビ会議形式で開催されていたクアッド。
対中新冷戦時代に突入した米国。国境地帯で乱闘事件を起こし、死者が出たインド。中国が輸入制裁を科したオーストラリア、尖閣諸島の実行支配の攻防がエスカレートしている日本と、4か国はそれぞれが中国の覇権拡大と対峙していることは、諸兄がご承知の通りです。
3月のオンラインサミットで発表されたワクチン接種プログラムは、アジアの人々へのワクチン接種を目指していました。
元米政府高官のダニー・ラッセル氏は、中国の「一帯一路」構想に対抗することを目指す「ブルー・ドット」インフラネットワークという新しい取り組みは、透明性と環境面での持続可能性を促している。
取り組みのポイントは、アジアの小さな国々に選択を強いるのではなく、現実味のある選択肢がほかにも存在することを保証することにあると。
このスタンスは広く歓迎されている。アジア地域でクアッドを侮辱する国は事実上、中国だけだとエコノミスト誌。
ただ、クアッドには、事務局すらまだ置かれておらず、威力はまだ実証されていない。アジアでのワクチン接種の約束は、インドからのワクチン供給が前提になっており、そのインドが恐ろしい第2波に飲み込まれたことで頓挫。
クアッドのメンバー同士の安全保障面での協力にも温度差がある。
一方、ブレグジットを成し遂げた英国は、アジアでの貿易・安全保障の結びつきを強めたいと思っている。TPPへの加入も検討中。
英国の最新鋭の空母が今、軍艦数隻とともに太平洋に向かっていることや、南太平洋にフランス領があるフランスも感染を派遣し日米と合同訓練も実施しますね。
英国の最新鋭空母、インド太平洋地域向け出航 狙いは中国けん制 自衛隊と合同訓練も:東京新聞 TOKYO Web
仏、中国の攻撃的姿勢懸念 日米との訓練で「作戦関係強化」 - 産経ニュース
G7の各国の対中姿勢も、クアッドの各国の対中姿勢も、温度差は観られます。
しかし、軍事力や債務の罠での覇権拡大や、香港、ウイグル、チベットでの人権問題での対中包囲網が共通認識となってきているのも事実です。
エコノミスト誌は、強固な構造ではなく緩やかな連合――。
これが現代のアジア外交において最も効果的な言葉遣いであることを世に示すのはクアッドの役目となると。
G7もしかり!
# 冒頭の画像は、イギリス王室と面会したG7首脳
この花の名前は、アリウム・ギガンチウム
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対中包囲網が主題となり、様々な論評がなされています。
対中包囲網と言えば、安倍前首相が提唱し、トランプ前大統領が賛同・推進した「自由で開かれたインド太平洋戦略」。その基軸国が、日米豪印の4か国。
その豪印は、今回のG7に招かれ参加しました。
「クアッド」が、ここ数カ月間でようやく存在意義を手に入れつつあるように見えると言うのは、今回のG7主催国の英国のエコノミスト誌。
何故クアッドの存在意義が高まっているのか。クアッドの新しい存在意義はあらゆる面で中国と関係があるからだとエコノミスト誌。
ようやく目的を見つけたクアッド 日米豪印戦略対話、すべてが中国と関係する存在意義 | JBpress (ジェイビープレス) 2021.6.14(月) The Economist
民主主義国4カ国による非公式の軍事連合は気概を示さねばならない。
何年もの間なかなか軌道に乗らなかった安全保障の枠組み「クアッド」が、ここ数カ月間でようやく存在意義を手に入れつつあるように見える。
なぜか。
特に目立つのは、主要7カ国(G7)のメンバーではないオーストラリアとインドが6月11~13日に英国で開催されるG7首脳会議(サミット)に招かれ、メンバーである米国、日本に加わることだ。
今年3月にジョー・バイデン米大統領の呼びかけで開かれたクアッドのオンライン首脳会議は、同大統領が最初に行った外交活動の一つだった。
これについては、対面式の初のサミットを年内に開こうという話も出ている。
その一方で、米連邦議会も自らの権威を用いて、中国に対抗するための法整備を支援している。そのなかには、軍事やテクノロジー関連の協力強化によってクアッドを支援するものも含まれている。
なぜなら、クアッドの新しい存在意義はあらゆる面で中国と関係があるからだ。
40年間にわたる関与政策にもかかわらず、中国は友好的にもなっていないし穏健化もしていないとの指摘が一部にある。
かつて米国政府高官としてインド太平洋政策に関与し、現在はワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターに籍を置くリサ・カーティス氏は、中国の競争力は「軍事、経済、外交、テクノロジーの分野において高まった」と述べている。
中国の影響をもろに受けてきた4カ国
クアッドのメンバーである4カ国は、その影響を肌で感じ取ってきた。昨年には中国とインドが国境地帯で乱闘事件を起こし、死者が出た。
また中国はオーストラリアから輸出された貨物の入港を禁じたり、日本の尖閣諸島(中国はこの島を「釣魚島」と呼んで領有権を主張している)の周辺海域に軍艦を侵入させたりした。
かつては、「自由で開かれたインド太平洋」なるものをめぐるクアッドの話には中身がないように聞こえたものだ。
だが、係争中の領土問題がある南シナ海におけるプレゼンスの増大から不透明なインフラ整備取引を通じた影響力拡大に至るまで、ますます攻撃的になる中国の行動は、アジア太平洋地域で長らく行われてきた、比較的開かれたやり方に対する挑戦となっている。
中国・北京の指導者層は、クアッドは米国の覇権恒久化を決意した反中ブロックになっていると非難している。
トランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官などが何かと大げさな表現を用いたり、米国サイドに付くようアジア諸国に促したりしていた時期なら、そのような批判は容易にできた。
元米政府高官のダニー・ラッセル氏はディプロマット誌への寄稿で、バイデン政権になって米国側の雰囲気が変わったことで、クアッドのメンバー国は今、「反撃したいことだけではなく、自分たちが成し遂げたいことに集中する」ようになっていると指摘した。
米海軍は南シナ海でのパトロール活動を拡充した。
中国の「一帯一路」構想に対抗することを目指す「ブルー・ドット」インフラネットワークという新しい取り組みは、透明性と環境面での持続可能性を促している。
そして3月のオンラインサミットで発表されたワクチン接種プログラムは、アジアの人々へのワクチン接種を目指している。
問われる真価
ラッセル氏によれば、こうした取り組みのポイントは、アジアの小さな国々に選択を強いるのではなく、現実味のある選択肢がほかにも存在することを保証することにある。
このスタンスは広く歓迎されている。アジア地域でクアッドを侮辱する国は事実上、中国だけだ。
しかし、クアッドの威力はまだ実証されていない。
クアッドには、事務局すらまだ置かれていない。アジアでのワクチン接種の約束は、インドからのワクチン供給が前提になっており、そのインドが恐ろしい第2波に飲み込まれたことで頓挫した。
クアッドのメンバー同士の安全保障面での協力にさえ限界がある。
正式な同盟に加わることをずっと嫌っているインドが、南シナ海でのパトロール活動「航行の自由」への参加に消極的なだけではない。
米国と条約を結んだ同盟国であるオーストラリアや日本もこれには消極的だ。
スタンフォード大学フーバー研究所のマイケル・オースリン氏は、必然的に「クアッドプラス」と呼ばれる非公式なパートナーの重要性が増してきていると指摘する。
ブレグジット(欧州連合=EU=からの離脱)を成し遂げた英国は、アジアでの貿易・安全保障の結びつきを強めたいと思っている。
英国の最新鋭の空母が今、軍艦数隻とともに太平洋に向かっているところだ。
先日にはフランスの潜水艦が南シナ海をパトロールした。オースリン氏は、こうした行動自体には大した効果はないかもしれないと述べている。
しかし、クアッドの中核メンバーによるパトロールやそのほかの取り組みと合わせれば、クアッドは「非常に堅固なプレゼンス」を手にし、中国に強いシグナルを送れるようになるという。
強固な構造ではなく緩やかな連合
比較的小さなアジアの国々は、中国を敵視する安全保障の取り組みに参加していると見なされることには戦慄を覚えるだろう。
対照的に、非防衛分野での協力活動は大きく伸びる可能性がある。
韓国と台湾は、足し合わせれば世界の半導体生産の4割を占める一大生産拠点であり、どちらも半導体の供給を確実にしようとする米国主導の計画を支援することに前向きだ。
また、中国によるサイバー攻撃やサイバー窃盗への対抗措置にクアッドのメンバーと一緒に取り組むことにも前向きなようだ。
カーティス氏は、次世代の通信規格についても幅広く協力する余地があると強調している。
強固な構造ではなく緩やかな連合――。
これが現代のアジア外交において最も効果的な言葉遣いであることを世に示すのはクアッドの役目となる。
民主主義国4カ国による非公式の軍事連合は気概を示さねばならない。
何年もの間なかなか軌道に乗らなかった安全保障の枠組み「クアッド」が、ここ数カ月間でようやく存在意義を手に入れつつあるように見える。
なぜか。
特に目立つのは、主要7カ国(G7)のメンバーではないオーストラリアとインドが6月11~13日に英国で開催されるG7首脳会議(サミット)に招かれ、メンバーである米国、日本に加わることだ。
今年3月にジョー・バイデン米大統領の呼びかけで開かれたクアッドのオンライン首脳会議は、同大統領が最初に行った外交活動の一つだった。
これについては、対面式の初のサミットを年内に開こうという話も出ている。
その一方で、米連邦議会も自らの権威を用いて、中国に対抗するための法整備を支援している。そのなかには、軍事やテクノロジー関連の協力強化によってクアッドを支援するものも含まれている。
なぜなら、クアッドの新しい存在意義はあらゆる面で中国と関係があるからだ。
40年間にわたる関与政策にもかかわらず、中国は友好的にもなっていないし穏健化もしていないとの指摘が一部にある。
かつて米国政府高官としてインド太平洋政策に関与し、現在はワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターに籍を置くリサ・カーティス氏は、中国の競争力は「軍事、経済、外交、テクノロジーの分野において高まった」と述べている。
中国の影響をもろに受けてきた4カ国
クアッドのメンバーである4カ国は、その影響を肌で感じ取ってきた。昨年には中国とインドが国境地帯で乱闘事件を起こし、死者が出た。
また中国はオーストラリアから輸出された貨物の入港を禁じたり、日本の尖閣諸島(中国はこの島を「釣魚島」と呼んで領有権を主張している)の周辺海域に軍艦を侵入させたりした。
かつては、「自由で開かれたインド太平洋」なるものをめぐるクアッドの話には中身がないように聞こえたものだ。
だが、係争中の領土問題がある南シナ海におけるプレゼンスの増大から不透明なインフラ整備取引を通じた影響力拡大に至るまで、ますます攻撃的になる中国の行動は、アジア太平洋地域で長らく行われてきた、比較的開かれたやり方に対する挑戦となっている。
中国・北京の指導者層は、クアッドは米国の覇権恒久化を決意した反中ブロックになっていると非難している。
トランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官などが何かと大げさな表現を用いたり、米国サイドに付くようアジア諸国に促したりしていた時期なら、そのような批判は容易にできた。
元米政府高官のダニー・ラッセル氏はディプロマット誌への寄稿で、バイデン政権になって米国側の雰囲気が変わったことで、クアッドのメンバー国は今、「反撃したいことだけではなく、自分たちが成し遂げたいことに集中する」ようになっていると指摘した。
米海軍は南シナ海でのパトロール活動を拡充した。
中国の「一帯一路」構想に対抗することを目指す「ブルー・ドット」インフラネットワークという新しい取り組みは、透明性と環境面での持続可能性を促している。
そして3月のオンラインサミットで発表されたワクチン接種プログラムは、アジアの人々へのワクチン接種を目指している。
問われる真価
ラッセル氏によれば、こうした取り組みのポイントは、アジアの小さな国々に選択を強いるのではなく、現実味のある選択肢がほかにも存在することを保証することにある。
このスタンスは広く歓迎されている。アジア地域でクアッドを侮辱する国は事実上、中国だけだ。
しかし、クアッドの威力はまだ実証されていない。
クアッドには、事務局すらまだ置かれていない。アジアでのワクチン接種の約束は、インドからのワクチン供給が前提になっており、そのインドが恐ろしい第2波に飲み込まれたことで頓挫した。
クアッドのメンバー同士の安全保障面での協力にさえ限界がある。
正式な同盟に加わることをずっと嫌っているインドが、南シナ海でのパトロール活動「航行の自由」への参加に消極的なだけではない。
米国と条約を結んだ同盟国であるオーストラリアや日本もこれには消極的だ。
スタンフォード大学フーバー研究所のマイケル・オースリン氏は、必然的に「クアッドプラス」と呼ばれる非公式なパートナーの重要性が増してきていると指摘する。
ブレグジット(欧州連合=EU=からの離脱)を成し遂げた英国は、アジアでの貿易・安全保障の結びつきを強めたいと思っている。
英国の最新鋭の空母が今、軍艦数隻とともに太平洋に向かっているところだ。
先日にはフランスの潜水艦が南シナ海をパトロールした。オースリン氏は、こうした行動自体には大した効果はないかもしれないと述べている。
しかし、クアッドの中核メンバーによるパトロールやそのほかの取り組みと合わせれば、クアッドは「非常に堅固なプレゼンス」を手にし、中国に強いシグナルを送れるようになるという。
強固な構造ではなく緩やかな連合
比較的小さなアジアの国々は、中国を敵視する安全保障の取り組みに参加していると見なされることには戦慄を覚えるだろう。
対照的に、非防衛分野での協力活動は大きく伸びる可能性がある。
韓国と台湾は、足し合わせれば世界の半導体生産の4割を占める一大生産拠点であり、どちらも半導体の供給を確実にしようとする米国主導の計画を支援することに前向きだ。
また、中国によるサイバー攻撃やサイバー窃盗への対抗措置にクアッドのメンバーと一緒に取り組むことにも前向きなようだ。
カーティス氏は、次世代の通信規格についても幅広く協力する余地があると強調している。
強固な構造ではなく緩やかな連合――。
これが現代のアジア外交において最も効果的な言葉遣いであることを世に示すのはクアッドの役目となる。
トランプ政権時代の昨年10月に、第2回目の外相会議を東京で開催、今年3月にはバイデン大統領主催で、首脳会談がテレビ会議形式で開催されていたクアッド。
対中新冷戦時代に突入した米国。国境地帯で乱闘事件を起こし、死者が出たインド。中国が輸入制裁を科したオーストラリア、尖閣諸島の実行支配の攻防がエスカレートしている日本と、4か国はそれぞれが中国の覇権拡大と対峙していることは、諸兄がご承知の通りです。
3月のオンラインサミットで発表されたワクチン接種プログラムは、アジアの人々へのワクチン接種を目指していました。
元米政府高官のダニー・ラッセル氏は、中国の「一帯一路」構想に対抗することを目指す「ブルー・ドット」インフラネットワークという新しい取り組みは、透明性と環境面での持続可能性を促している。
取り組みのポイントは、アジアの小さな国々に選択を強いるのではなく、現実味のある選択肢がほかにも存在することを保証することにあると。
このスタンスは広く歓迎されている。アジア地域でクアッドを侮辱する国は事実上、中国だけだとエコノミスト誌。
ただ、クアッドには、事務局すらまだ置かれておらず、威力はまだ実証されていない。アジアでのワクチン接種の約束は、インドからのワクチン供給が前提になっており、そのインドが恐ろしい第2波に飲み込まれたことで頓挫。
クアッドのメンバー同士の安全保障面での協力にも温度差がある。
一方、ブレグジットを成し遂げた英国は、アジアでの貿易・安全保障の結びつきを強めたいと思っている。TPPへの加入も検討中。
英国の最新鋭の空母が今、軍艦数隻とともに太平洋に向かっていることや、南太平洋にフランス領があるフランスも感染を派遣し日米と合同訓練も実施しますね。
英国の最新鋭空母、インド太平洋地域向け出航 狙いは中国けん制 自衛隊と合同訓練も:東京新聞 TOKYO Web
仏、中国の攻撃的姿勢懸念 日米との訓練で「作戦関係強化」 - 産経ニュース
G7の各国の対中姿勢も、クアッドの各国の対中姿勢も、温度差は観られます。
しかし、軍事力や債務の罠での覇権拡大や、香港、ウイグル、チベットでの人権問題での対中包囲網が共通認識となってきているのも事実です。
エコノミスト誌は、強固な構造ではなく緩やかな連合――。
これが現代のアジア外交において最も効果的な言葉遣いであることを世に示すのはクアッドの役目となると。
G7もしかり!
# 冒頭の画像は、イギリス王室と面会したG7首脳
この花の名前は、アリウム・ギガンチウム
↓よろしかったら、お願いします。