
イスラエルの攻撃は筆者見立てより若干早かった。大方の予想は「攻撃は米イラン協議失敗後」だったが、実は5月中旬に興味深い話を聞いていた。米国の事情通が「イスラエルは核施設よりもイランの政治・軍事指導者個人を狙っている」と言うのだ。当時はまさかと思ったが、結果的にこの情報は正しかったと、宮家邦彦氏。
大方の予想は「攻撃は米イラン協議失敗後」だったが、実は5月中旬に興味深い話を聞いていた。米国の事情通が「イスラエルは核施設よりもイランの政治・軍事指導者個人を狙っている」と言う。
まさかと思ったが、結果的にこの情報は正しかった。ではイスラエルのネタニヤフ首相はなぜ賭けに出たのかと、宮家氏。
理由は3つ考えられると。
第1は「米・イラン核合意潰し」だ。
最近の交渉進展でトランプ政権は核合意実現のため対イラン譲歩も辞さない可能性があった。イスラエルがこの悪夢を回避する手法は常に同じ、軍事的緊張を高め交渉を「潰す」ことであると、宮家氏。
第2の理由は「内政上の生き残り」だ。ネタニヤフ首相は強引な司法改革、汚職疑惑、ガザ戦争を巡り政治的に追い詰められている。対イラン攻撃は政治的延命にもつながると考えたのだろうと、宮家氏。
最後は「軍事的な機会の窓」だ。前回の攻撃でイランの防空システムは機能不全となっている。今なら思い通りの軍事作戦が可能、と考えた可能性は十分あるだろうと、宮家氏。
誰でも考え付く戦争目的はイランの「核開発阻止」だろうが、イスラエル単独での核施設完全破壊は恐らく無理である。
そこで考えられる次の目的が「指導者の暗殺」だ。
これは、米事情通が述べた話とも呼応する。
イラン国内のイスラエル諜報工作網は強力だから、従来対象外とされてきた「最高指導者」も例外ではなくなるかもしれない。
となれば最終的な戦争目的が「体制転換」となる恐れもある。ネタニヤフ首相もその可能性を排除していないと。
最も違和感を覚えるのは今回の戦争の本質に関する議論だと、宮家氏。
今もイラン指導層は「イスラエル」の存在を否定し、地上から抹殺すべき「悪魔」と見なしているが、長年敵対してきたアラブ諸国ですら、こんな敵対的姿勢を示す国家はもはやない。
従来ハマスやヒズボラなど代理勢力を使って戦ってきたそのイランが、今はイスラエルに直接多数のミサイルを撃ち込み、核兵器開発疑惑だってくすぶっている。
このような脅威に直面するイスラエルが必要に応じ自衛権を行使するのは当然だと、宮家氏。
今回の攻撃について、その本質を熟知する欧州、カナダ、オーストラリアなど西側諸国は一様に、イランの核開発を批判した上で、イスラエルの自衛権を認め、双方に抑制された対応を求めているのだそうです。
これが西側の最大公約数なのだろうなと思うのだが、日本はちょっと違ったと、宮家氏。
13日の外務大臣談話は自衛権には触れず、「極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難する」と述べているだけだ。
いかなる経緯でこうなったかは知る由もないが、日本も賛成したG7首脳声明では、「非難」などしていない。実に不思議な外務大臣談話であると、宮家氏。
外務省官僚時代に、中東1課長、中東アフリカ局参事官なども歴任された宮家氏。
岩屋大臣への、G7首脳声明(石破首相=参画)と反する発言との指摘は正論ですね!
石破内閣は、世界の動きと連動できているのか!
# 冒頭の画像は、イスラエル軍による攻撃を受け、黒煙を上げるイラン国営放送本部

チコリの花
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イランの終わりの始まりか、指導者個人を狙った攻撃に出たネタニヤフ首相の賭け 宮家邦彦のWorld Watch - 産経ニュース
2025/6/19 宮家 邦彦
衝撃的映像を見た。イラン国営放送のスタジオでイスラエルの爆撃による爆発の瞬間が生放送で流れたのだ。13日未明から始まったイスラエルとイランによる大規模攻撃の応酬に出口はいまだ見えない。
16日からカナダで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は米大統領早期帰国で尻すぼみ、米国軍事介入の可能性すら取り沙汰された。G7首脳外交の成果も期待されたが、米国はイラン問題に忙殺され、「関税交渉」どころではなかった。激動の1週間ではあったのだが、日本での関連報道・議論には若干「違和感」を禁じ得ない。
■予想より早く
イスラエルの攻撃は筆者見立てより若干早かった。大方の予想は「攻撃は米イラン協議失敗後」だったが、実は5月中旬に興味深い話を聞いていた。米国の事情通が「イスラエルは核施設よりもイランの政治・軍事指導者個人を狙っている」と言うのだ。当時はまさかと思ったが、結果的にこの情報は正しかった。ではイスラエルのネタニヤフ首相はなぜ賭けに出たのか。
■千載一遇のチャンス
理由は3つ考えられる。
第1は「米・イラン核合意潰し」だ。最近の交渉進展でトランプ政権は核合意実現のため対イラン譲歩も辞さない可能性があった。イスラエルがこの悪夢を回避する手法は常に同じ、軍事的緊張を高め交渉を「潰す」ことである。
第2の理由は「内政上の生き残り」だ。ネタニヤフ首相は強引な司法改革、汚職疑惑、ガザ戦争を巡り政治的に追い詰められている。対イラン攻撃は政治的延命にもつながると考えたのだろう。
最後は「軍事的な機会の窓」だ。前回の攻撃でイランの防空システムは機能不全となっている。今なら思い通りの軍事作戦が可能、と考えた可能性は十分あるだろう。
■戦争目的は何か
全ての戦争は目的が明確でなければ成功しない。今回誰でも考え付く戦争目的はイランの「核開発阻止」だろうが、イスラエル単独での核施設完全破壊は恐らく無理である。
そこで考えられる次の目的が「指導者の暗殺」だ。これは件(くだん)の米事情通が述べた話とも呼応する。イラン国内のイスラエル諜報工作網は強力だから、従来対象外とされてきた「最高指導者」も例外ではなくなるかもしれない。
となれば最終的な戦争目的が「体制転換」となる恐れもある。ネタニヤフ首相もその可能性を排除していない。
■問題の本質は何か
だが、筆者が最も違和感を覚えるのは今回の戦争の本質に関する議論だ。今もイラン指導層は「イスラエル」の存在を否定し、地上から抹殺すべき「悪魔」と見なしているが、長年敵対してきたアラブ諸国ですら、こんな敵対的姿勢を示す国家はもはやない。
従来ハマスやヒズボラなど代理勢力を使って戦ってきたそのイランが、今はイスラエルに直接多数のミサイルを撃ち込み、核兵器開発疑惑だってくすぶっている。
このような脅威に直面するイスラエルが必要に応じ自衛権を行使するのは当然だ。今回の攻撃について、その本質を熟知する欧州、カナダ、オーストラリアなど西側諸国は一様に、イランの核開発を批判した上で、イスラエルの自衛権を認め、双方に抑制された対応を求めている。
なるほど、これが西側の最大公約数なのだろうなと思うのだが、日本はちょっと違った。13日の外務大臣談話は自衛権には触れず、「極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難する」と述べているだけだ。いかなる経緯でこうなったかは知る由もないが、日本も賛成したG7首脳声明では、「非難」などしていない。実に不思議な外務大臣談話である。
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宮家邦彦
みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問。
2025/6/19 宮家 邦彦
衝撃的映像を見た。イラン国営放送のスタジオでイスラエルの爆撃による爆発の瞬間が生放送で流れたのだ。13日未明から始まったイスラエルとイランによる大規模攻撃の応酬に出口はいまだ見えない。
16日からカナダで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は米大統領早期帰国で尻すぼみ、米国軍事介入の可能性すら取り沙汰された。G7首脳外交の成果も期待されたが、米国はイラン問題に忙殺され、「関税交渉」どころではなかった。激動の1週間ではあったのだが、日本での関連報道・議論には若干「違和感」を禁じ得ない。
■予想より早く
イスラエルの攻撃は筆者見立てより若干早かった。大方の予想は「攻撃は米イラン協議失敗後」だったが、実は5月中旬に興味深い話を聞いていた。米国の事情通が「イスラエルは核施設よりもイランの政治・軍事指導者個人を狙っている」と言うのだ。当時はまさかと思ったが、結果的にこの情報は正しかった。ではイスラエルのネタニヤフ首相はなぜ賭けに出たのか。
■千載一遇のチャンス
理由は3つ考えられる。
第1は「米・イラン核合意潰し」だ。最近の交渉進展でトランプ政権は核合意実現のため対イラン譲歩も辞さない可能性があった。イスラエルがこの悪夢を回避する手法は常に同じ、軍事的緊張を高め交渉を「潰す」ことである。
第2の理由は「内政上の生き残り」だ。ネタニヤフ首相は強引な司法改革、汚職疑惑、ガザ戦争を巡り政治的に追い詰められている。対イラン攻撃は政治的延命にもつながると考えたのだろう。
最後は「軍事的な機会の窓」だ。前回の攻撃でイランの防空システムは機能不全となっている。今なら思い通りの軍事作戦が可能、と考えた可能性は十分あるだろう。
■戦争目的は何か
全ての戦争は目的が明確でなければ成功しない。今回誰でも考え付く戦争目的はイランの「核開発阻止」だろうが、イスラエル単独での核施設完全破壊は恐らく無理である。
そこで考えられる次の目的が「指導者の暗殺」だ。これは件(くだん)の米事情通が述べた話とも呼応する。イラン国内のイスラエル諜報工作網は強力だから、従来対象外とされてきた「最高指導者」も例外ではなくなるかもしれない。
となれば最終的な戦争目的が「体制転換」となる恐れもある。ネタニヤフ首相もその可能性を排除していない。
■問題の本質は何か
だが、筆者が最も違和感を覚えるのは今回の戦争の本質に関する議論だ。今もイラン指導層は「イスラエル」の存在を否定し、地上から抹殺すべき「悪魔」と見なしているが、長年敵対してきたアラブ諸国ですら、こんな敵対的姿勢を示す国家はもはやない。
従来ハマスやヒズボラなど代理勢力を使って戦ってきたそのイランが、今はイスラエルに直接多数のミサイルを撃ち込み、核兵器開発疑惑だってくすぶっている。
このような脅威に直面するイスラエルが必要に応じ自衛権を行使するのは当然だ。今回の攻撃について、その本質を熟知する欧州、カナダ、オーストラリアなど西側諸国は一様に、イランの核開発を批判した上で、イスラエルの自衛権を認め、双方に抑制された対応を求めている。
なるほど、これが西側の最大公約数なのだろうなと思うのだが、日本はちょっと違った。13日の外務大臣談話は自衛権には触れず、「極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難する」と述べているだけだ。いかなる経緯でこうなったかは知る由もないが、日本も賛成したG7首脳声明では、「非難」などしていない。実に不思議な外務大臣談話である。
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宮家邦彦
みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問。
大方の予想は「攻撃は米イラン協議失敗後」だったが、実は5月中旬に興味深い話を聞いていた。米国の事情通が「イスラエルは核施設よりもイランの政治・軍事指導者個人を狙っている」と言う。
まさかと思ったが、結果的にこの情報は正しかった。ではイスラエルのネタニヤフ首相はなぜ賭けに出たのかと、宮家氏。
理由は3つ考えられると。
第1は「米・イラン核合意潰し」だ。
最近の交渉進展でトランプ政権は核合意実現のため対イラン譲歩も辞さない可能性があった。イスラエルがこの悪夢を回避する手法は常に同じ、軍事的緊張を高め交渉を「潰す」ことであると、宮家氏。
第2の理由は「内政上の生き残り」だ。ネタニヤフ首相は強引な司法改革、汚職疑惑、ガザ戦争を巡り政治的に追い詰められている。対イラン攻撃は政治的延命にもつながると考えたのだろうと、宮家氏。
最後は「軍事的な機会の窓」だ。前回の攻撃でイランの防空システムは機能不全となっている。今なら思い通りの軍事作戦が可能、と考えた可能性は十分あるだろうと、宮家氏。
誰でも考え付く戦争目的はイランの「核開発阻止」だろうが、イスラエル単独での核施設完全破壊は恐らく無理である。
そこで考えられる次の目的が「指導者の暗殺」だ。
これは、米事情通が述べた話とも呼応する。
イラン国内のイスラエル諜報工作網は強力だから、従来対象外とされてきた「最高指導者」も例外ではなくなるかもしれない。
となれば最終的な戦争目的が「体制転換」となる恐れもある。ネタニヤフ首相もその可能性を排除していないと。
最も違和感を覚えるのは今回の戦争の本質に関する議論だと、宮家氏。
今もイラン指導層は「イスラエル」の存在を否定し、地上から抹殺すべき「悪魔」と見なしているが、長年敵対してきたアラブ諸国ですら、こんな敵対的姿勢を示す国家はもはやない。
従来ハマスやヒズボラなど代理勢力を使って戦ってきたそのイランが、今はイスラエルに直接多数のミサイルを撃ち込み、核兵器開発疑惑だってくすぶっている。
このような脅威に直面するイスラエルが必要に応じ自衛権を行使するのは当然だと、宮家氏。
今回の攻撃について、その本質を熟知する欧州、カナダ、オーストラリアなど西側諸国は一様に、イランの核開発を批判した上で、イスラエルの自衛権を認め、双方に抑制された対応を求めているのだそうです。
これが西側の最大公約数なのだろうなと思うのだが、日本はちょっと違ったと、宮家氏。
13日の外務大臣談話は自衛権には触れず、「極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難する」と述べているだけだ。
いかなる経緯でこうなったかは知る由もないが、日本も賛成したG7首脳声明では、「非難」などしていない。実に不思議な外務大臣談話であると、宮家氏。
外務省官僚時代に、中東1課長、中東アフリカ局参事官なども歴任された宮家氏。
岩屋大臣への、G7首脳声明(石破首相=参画)と反する発言との指摘は正論ですね!
石破内閣は、世界の動きと連動できているのか!
# 冒頭の画像は、イスラエル軍による攻撃を受け、黒煙を上げるイラン国営放送本部

チコリの花
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