遊爺雑記帳

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バイデン氏の幸運をうらやむ習近平氏

2024-03-02 01:33:55 | 米中新冷戦時代
 習近平国家主席は、3月に開かれる年1回の会議を控え、恐らく解決困難な一連の問題に直面している。不動産市場の落ち込み継続から生じる影響に対処を迫る圧力は、習政権に対して一段と強まっていると、WSJ・ジョセフ・スターンバーグ氏。
 習氏とバイデン大統領は、似たような政治絡みの経済問題に直面している。
 世界的な金利上昇と国内政策の失敗が、経済面での強い逆風を招いている。中国で起きた逆風は、不動産バブルの崩壊だ。米国では、愚かな財政・金融政策と民主党の過剰規制体質がインフレ圧力につながったと。
 
【オピニオン】バイデン氏の幸運をうらやむ習近平氏 - WSJ 
 AIブームに助けられる米大統領と問題山積の中国指導者 
 ジョセフ・スターンバーグ 2024年3月1日

 
中国は 1日でも米国に成り代われるのなら、何だってするだろう

 
習近平国家主席は3月に開かれる「二つの会議」、すなわち中国という国家と中国共産党それぞれの最高意思決定機関の作戦を決める年1回の会議を控え、恐らく解決困難な一連の問題に直面している。不動産市場の落ち込み継続から生じる影響に対処を迫る圧力は、習政権に対して一段と強まっている。それと同時に、不動産投資の名目で多額の借金をした多くの地方政府には、巨額の財政負担がのしかかっている

 
中国の消費者信頼感は不動産価格の暴落もあって、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期の厳格なロックダウン(都市封鎖)の影響から、まだ完全には立ち直っていない欧米との経済関係では緊張が高まりつつあり、中国が輸出に頼って自国の問題を切り抜けられるのかという疑問が生じている。外国の投資家は警戒感を強めている。

 
今のところ習氏が提示できるのは昨年導入されたキャッチフレーズ「新たな質の生産力」といった戦略だけだ。このキャッチフレーズはハイテク技術革新に重点を置くことを意味しているようで、労働力や原料資源を総動員して安価なTシャツや玩具あるいは近年では太陽光パネルや風力発電機を大量生産するという、中国の伝統的戦略とは対照を成している

 
それにもかかわらず、中国政府は米国の人工知能(AI)企業の花形であるエヌビディアの時価総額が先週、一時2兆ドル(約300兆円)を超えたことを、うらやましく思いながら眺めることしかできなかった

 
こうした事態の展開について十分に理解するためには、次のことを思い起こす必要がある。それは2000年代の知識層のくだらない発作的症状の一つに、中国の権威主義的な政権が、民主主義、特に米国の民主主義にはできない方法で大きな問題を解決し、経済成長をもたらす方法を見いだしたという認識があったことだ。この考え方が最も強く表れていたのは、ニューヨーク・タイムズのコラムニストがバラク・オバマ政権1期目の初期に行った憂鬱(ゆううつ)な想像だ。それは、もし米国が「1日だけでも中国に」なれたら、何が起こった可能性があるかについての想像だった。

 この
「1日だけでも中国に」というミームは、二つの異なる概念を融合させたものだ。膨大な資源を動員して、中国共産党の政治的および経済的目標の実現を促す同党の能力は、その目標が正しいものか否かにかかわらず発揮される。このため、もっと民主主義的な機能不全(本当に適切な表現は「内省」だ)に陥っていれば、中国に恩恵をもたらしただろう。(民主主義のように)もっと行動が制約される体制なら、地方政府を財政破綻に追い込みつつある公共事業による建設過剰ブームは、避けられた可能性がある。同様に、一人っ子政策による人為的および人口動態的な災難を避けられた可能性もある。

 
すべてはエヌビディアに対する最近の人気ぶりが、いかに中国を何倍もの屈辱を味わわせるものなのかを物語っている経済的に見ると、AI関連株(決してエヌビディア1社ではない)の高騰は、非中央集権的なイノベーションにリソースを注入する西側資本主義の比類ない能力と、それに伴う経済的見返りを浮き彫りにしている。AIがもたらした生産性革命の具体的証拠となったエヌビディアの素晴らしい決算を受け、投資家はAI関連株に競って飛びついたこれが米国流のレシピだ。民間部門のイノベーションとリスクをいとわない資本という具材を泡立て、市場というオーブンで焼き、成功による利益がおいしいリターンを株主にもたらすのを期待するのだ。

 
この再現を目指す中国のやり方では、スフレは膨らまないままの状態だ。習氏はAI分野についても、他分野である程度の成功を収めたのと同様のトップダウンによるイノベーション推進を追求しているしかし、どんな創造性も、資金を提供し、これを管理しようとする政治家や官僚の想像力によってある程度、制限されてしまう。これは生産性の拡大を刺激し、企業収益を増すことで株主ら投資家の利益を押し上げるという伝統的な手法の可能性を排除する。その代わりに彼らは時折、財政面や規制面の政策により中国株の押し上げを図ろうとする。

 
このことは「1日だけ中国になれたら」という幻想に潜む、より大きな誤りを示している

 
習氏とバイデン大統領は、似たような政治絡みの経済問題に直面している。中国でも米国でも、世界的な金利上昇と国内政策の失敗が、経済面での強い逆風を招いている中国で起きた逆風は、不動産バブルの崩壊だ。米国では、愚かな財政・金融政策と民主党の過剰規制体質がインフレ圧力につながった

 
両者の違いは、バイデン氏が少なくとも幸運を期待することができた点だ。「1日でも中国のようになれたら」という憧れが最も強かった時期にあっても、最終的にオバマ政権下の経済の救いとなったのは何だったのか。それは、保健医療やグリーンエネルギー分野の補助金を巡る彼の政策に、反対派を無理やり従わせるのに成功したことではない。それは、彼の政権が求めていたものとはほとんど無関係に到来した、水圧破砕法(フラッキング)によるシェールガス生産のブームだった有権者がバイデン政権下の米経済に恒常的に不満を抱いているにもかかわらず、バイデン氏が11月に何とか大統領再選を果たすとすれば、彼の1期目の任期と重なったAIブームによる生産性の伸びと経済成長が、政治的障害を彼が辛うじて乗り越える上での支えになった点が、その一因になるのだろう。

 
中国の計画経済下では、市場のまぐれ当たりは望めない。このため習氏は、自身の見事な経済運営手腕によって繁栄を実現するという別の道を目指さざるを得ない。これは中国にとって悪いニュースだ。AI関連の急成長と中国経済の回復は、どちらも確率の低い出来事だ。しかしそれでも、政治家が幸運に恵まれることに賭ける方が、彼が賢明であることに賭けるよりも、常に利口な対応だと言えるだろう。


――筆者のジョセフ・スターンバーグはWSJの編集委員で政治経済コラムを執筆している

 中国の消費者信頼感は不動産価格の暴落もあって、まだ完全には立ち直っていない。欧米との経済関係では緊張が高まりつつあり、中国が輸出に頼って自国の問題を切り抜けられるのかという疑問が生じている。外国の投資家は警戒感を強めている。

 今のところ習氏が提示できるのは、昨年導入されたキャッチフレーズ「新たな質の生産力」といった戦略だけだと、WSJ・ジョセフ・スターンバーグ氏。
 このキャッチフレーズはハイテク技術革新に重点を置くことを意味しているようで、中国の伝統的戦略とは対照を成していると。

 それにもかかわらず、中国政府はエヌビディアの時価総額が先週、一時2兆ドル(約300兆円)を超えたことを、うらやましく思いながら眺めることしかできなかった。

 こうした事態の展開について十分に理解するためには、次のことを思い起こす必要があると、ジョセフ・スターンバーグ氏。
 中国の権威主義的な政権が、民主主義、特に米国の民主主義にはできない方法で大きな問題を解決し、経済成長をもたらす方法を見いだしたという認識があったことだと。

 この考え方が最も強く表れていたのは、ニューヨーク・タイムズのコラムニストがバラク・オバマ政権1期目の初期に行った、もし米国が「1日だけでも中国に」なれたら、何が起こった可能性があるかについての想像だと、ジョセフ・スターンバーグ氏。
 
 すべてはエヌビディアに対する最近の人気ぶりが、いかに中国を何倍もの屈辱を味わわせるものなのかを物語っている。経済的に見ると、AI関連株の高騰は、非中央集権的なイノベーションにリソースを注入する西側資本主義の比類ない能力と、それに伴う経済的見返りを浮き彫りにしている。
 これが米国流のレシピだと、ジョセフ・スターンバーグ氏。

 この再現を目指す中国のやり方では、スフレは膨らまないままの状態だ。習氏はAI分野についても、トップダウンによるイノベーション推進を追求している。しかし、どんな創造性も、資金を提供し、これを管理しようとする政治家や官僚の想像力によってある程度、制限されてしまう。
 このことは「1日だけ中国になれたら」という幻想に潜む、より大きな誤りを示していると。

 世界的な金利上昇と国内政策の失敗が、経済面での強い逆風を招いている。中国で起きた逆風は、不動産バブルの崩壊だ。米国では、民主党の過剰規制体質がインフレ圧力につながったと、ジョセフ・スターンバーグ氏。

 両者の違いは、バイデン氏が少なくとも幸運を期待することができた点だと。
 それは、彼の政権が求めていたものとはほとんど無関係に到来した、水圧破砕法(フラッキング)によるシェールガス生産のブームだった。有権者がバイデン政権下の米経済に恒常的に不満を抱いているにもかかわらず、バイデン氏が11月に何とか大統領再選を果たすとすれば、彼の1期目の任期と重なったAIブームによる生産性の伸びと経済成長が、政治的障害を彼が辛うじて乗り越える上での支えになった点が、その一因になると。

 中国の計画経済下では、市場のまぐれ当たりは望めない。このため習氏は、自身の見事な経済運営手腕によって繁栄を実現するという別の道を目指さざるを得ない。
 これは中国にとって悪い話だと、ジョセフ・スターンバーグ氏。
 AI関連の急成長と中国経済の回復は、どちらも確率の低い出来事だ。
 それでも、政治家が幸運に恵まれることに賭ける方が、彼が賢明であることに賭けるよりも、常に利口な対応だと言えるだろうと!

 民間の総合力の自由主義と、独裁者の能力に依存する専制主義との違い。。
 鄧小平の日本の戦後の経済発展を松下氏から学んで導入した改革・解放経済政策で、日本を追い抜き、米国に迫る経済発展を遂げた、共青団派の定年制がある集団指導体制から、共青団派を追いやり習近平の定年を廃し、独裁体制にした中国。
 幹部人事のゴタゴタがつづいているのは、諸兄がご承知の通りです。



 # 冒頭の画像は、習近平中国国家主席(2月8日、北京)



  ヒメカンスゲ
 

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