
中露と、G7との対立、言い換えるとG7分断を謀る中露の戦略に揺れるG7は、どうなるのか、今、歴史の曲がり角にあるのでしょうか。
ロシアの領土拡張や中国の海洋進出など、冷戦後の国際秩序を乱す試みにどう対処するか。日米欧とカナダの主要7カ国(G7)がドイツで外相会合を開いた。
会合後の共同声明では、ロシアによるウクライナ領のクリミア半島編入を「国際法違反」として改めて非難した。政府軍と親ロシア派武装勢力の対立が続くウクライナ東部の情勢についても、ロシアが今年2月の停戦合意の完全履行に向けて影響力を行使するよう求め、そうしなければ対ロ制裁は緩和されないとクギを刺した。
東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出をめぐっては、海洋安全保障に関する外相宣言で「威嚇や強制、力によって領土や海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する」と明記。南シナ海で進める大規模な埋め立てなどに強い懸念を示した。
G7は民主主義や法の支配といった価値観を共有する。こうした主要国が結束し、国際秩序を揺るがす中ロの行動を強く戒めたのは当然だ。より重要なのは中ロの暴走にどう歯止めをかけ、国際秩序の枠組みに戻していくかだ。
これまでG7は、ロシアについては仲間に引き入れる形で自己変革を促そうとしてきた。だが昨春のクリミア編入をきっかけにG8の枠組みから除外した。中国はもともとG7に加わっていない。
今後も制裁などを軸に外から圧力をかけるのか、あるいは中ロを取り込んで関与を強めるのか。こうしたアプローチの基本認識も詰めていく必要があるだろう。
中国が創設を進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐっては、G7の足並みの乱れを指摘する声も出ている。英独仏伊の欧州勢がこぞって参加を決め、日米とカナダは見送ったからだ。
G7内にもそれぞれの国益がある。すべてに共同歩調をとる必要はないが、中ロとの向き合い方で各国にかなり温度差があるようにもみえる。国際秩序の「番人」の自覚を忘れず、6月の首脳会合でさらに議論を深めてほしい。
G7外相会合 「海洋安保宣言」採択し閉幕 中国による南シナ海での「大規模埋め立て」などの現状変更を念頭に、海洋紛争の平和的解決求める - 産経ニュース
G7で日米だけ不参加に…カナダAIIB参加へ : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
日経の社説では、カナダもAIIB不参加となっていますが、カナダは参加表明と認識していましたが??? カナダの動向で、英仏独伊の欧州勢とその他の日米加とに分断される特徴が鮮明となるのか否かになりますが。
それよりも、分断されるなかでも、メルケル首相が中国の先棒を担ぎ、日本に勧誘をしたと言うのですから、先鞭を切った英国といい、欧州勢は重症と言えます。
もっとも、GDP比で分担金をせしめ取られる制度(中国が定めるルールで、域内の日本は更に枠が多い)で、負担が軽く、損切可能なリスクであわよくば利益にあずかれるとの気軽さが、日米以外にはあるのですが。
ロシアの制裁についても、強硬な米国に対し、輸出が少なくない独仏を筆頭にした欧州勢と北方領土問題を抱える日本とでは、夫々対応が異なっていますね。
老獪な欧州勢、AIIB参加で、中国の有頂天振を観て我に返ったのか、元々中国の企みは察知していたからか、外相会議では、一転して国名は伏せたものの、南シナ海・東シナ海での中国の覇権拡大行動に釘を刺すことで牽制し、AIIB参加しても、中国に傅いたのではないとしっかり押し戻しているのですね。
儲け話には乗るが、プライド(国家の主権)はビタ一文譲らないぞと!
とは言え、武士は食わねど高楊枝とは行かなくなった台所事情を抱える欧州勢。中露にとっては、その台所事情を狙ってつけ込み易くなってきている様です。
G7の国々の、特に欧州勢をターゲットした中露の分断作戦に、G7の国々はどう連携を保っていくのか、新しい歴史の流れに変わるのか。注目ですね。
#冒頭の画像は、海洋安全保障宣言を採択した、ドイツ・リューベックで開催されていた先進7カ国(G7)外相会合

イチョウ
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