遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国は米国の裏庭に進出 インドはASEANに進出

2018-01-27 23:58:58 | 米国 全般
 トランプ政権が誕生して 1年。アメリカファーストを唱える政策はいまだ腰が定まらず、オバマ政権時代に産んだ脱世界の警察での空白は広まるばかりですが、そこで生じている隙に、中国が着実に進出してきています。
 一期目にはアジア回帰を掲げたオバマ政権は、二期目はスーザン・ライス大統領補佐官を筆頭とするパンダハガー主導の政策に転換。その隙に南シナ海では仲裁裁判所が違法と裁定した人口島を建設し、領海化と軍事基地化を許しました。終盤、ようやく太平洋軍が提案した「航行の自由」作戦を採用に踏み切りましたが、時すでに遅し。
 トランプ政権に変わっても、アメリカファーストを唱える政策で、対中貿易赤字解消を公約としていたにもかかわらず、北朝鮮制裁を依存するせいもあるのか、キッシンジャーの影響を受ける娘婿・クシュナーの主導のせいなのか、対中姿勢は揺れ動いています。
 そんなトランプの米国の揺れる姿勢に、世界各国も戸惑ってばかりはおられず、動きはじめているのですね。

 日本は、安倍首相が「インド太平洋戦略」を唱え、日米豪印を主軸とした、対中連携を提唱。
 中国と国境を接するインドは、インド洋では「真珠の首飾り」作戦で包囲され「一帯一路」戦略の体系化で強い圧力を受けることとなり、対中抑止力強化に迫られて、ASEAN諸国との連携強化による作戦展開を開始しています。
 トランプ政権誕生で、世界の警察の米国任せではなく、各国が、独自ででも、国際連携で
でも対中抑止力強化に取り組む行動を始める様になったのですね。
 

インドがASEAN10カ国集め首脳会議、連携探る 中国覇権に対抗 (1/27 産経)

 【ニューデリー=森浩】インドと東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国首脳との首脳会議が25日夜、ニューデリーで開催された。会議では海洋分野での連携強化で一致。モディ政権は日米豪と「自由で開かれたインド太平洋戦略」を進めており、ASEAN諸国との協力関係を深化させることで、海洋進出を強める中国を強く牽制
(けんせい)する狙いがある。
 首脳会議はインド憲法の制定を記念する26日の「共和国記念日」を前に開催され、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相や、フィリピンのドゥテルテ大統領ら10カ国の首脳が出席した。
 共和国記念日には伝統的に海外の要人が招待されるが、10カ国首脳が一度に集まるのは異例。
「アクト・イースト」(東方に動く)を掲げるモディ政権の東南アジア重視の姿勢
が透けてみえる。

 会議冒頭にモディ首相は「インドはASEANとビジョンを共有している。ASEAN諸国と海洋分野における協力を一層推進する」とした上で、「アジアの安定には法に基づく海洋秩序が重要だ」とも話し、名指しは避けつつも中国を念頭に置いて批判した。

 
会議後に発表された「デリー宣言」では、各国が海洋の安全と航行の自由など海洋分野で協力していくことや、貿易・経済関係をより密接にすること
などが盛り込まれた。

 中国は南シナ海の軍事拠点化を進めるほか、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に基づく資本投下で東南アジアでの影響力を増大させている。インド洋でもパキスタン南西部グワダルやスリランカ南部ハンバントタで港湾開発を進めており、
インドとASEAN諸国の協力強化は「安全保障上の観点から双方の地域の未来を見据えた重要な一手
」(インド紙記者)といえそうだ。

 ただ、カンボジアなど中国と関係が深い国もあり、インドとASEAN間で全面的な協力態勢がすんなり構築できるかは未知数だ。今回の首脳会議ではインドからタイに至る高速道路構想などの協議にも時間が割かれており、モディ政権としては経済面での連携もより深めたい考えだ。


 陸の国境でも中国とのせめぎあいを続けているインド。
 「インド太平洋戦略」で、日米豪との連携による抑止力強化に参画しましたが、更に独自にも、ASEAN諸国との連携強化も進めようというのですね。
 ASEANの国々には、中国の札束外交で完全に属国化したカンボジア、スーチーさんに変わったミヤンマーのような国もありますが、中国の札束外交に飲まれそうになりながらも、あるいはそれゆえに抑止力となる対抗勢力を求めている国は多く、国内回帰の米国以外の勢力による抑止力を求めるASEAN諸国の期待に応える、インド・モディ政権の「アクト・イースト」(東方に動く)政策。米国の国内回帰で動く世界勢力変動が始まっている今、新しい勢力図の構築となりますね。
 新しい勢力図にいそしみ、「中華の夢」を追い求める習近平。新シルクロード構築で出発した「一帯一路」政策をアフリカにも拡大していますが、遂に米国の裏庭、中南米への進出も顕在化させてきましたね。
 これまでも、習近平も歴訪し下地造りを進めてきましたが、「中国・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)フォーラム」閣僚級会議に王毅外相が出席し、「一帯一路に関する特別声明」が発表され、「一帯一路を通じて共同発展を実現する」ことを確認したのだそうです。
 

中国、米の“裏庭”に触手 延びる一帯一路、次は中南米 (1/27 産経)

 【昆明=藤本欣也、北京=西見由章】中国の王毅外相は21~25日、南米地域を舞台に現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を推進する積極外交を展開した。習近平政権は当初、米国との衝突を避けるため、東方ではなく西方へ延びる古代シルクロード沿線国を中心にインフラ投資を行ってきた。今後、米国の“裏庭”である中南米にも進出、文字通り地球規模で影響圏拡大を図る

 アフリカ4カ国を今月中旬に訪問したばかりの王氏は22日、チリの首都サンティアゴで
「中国・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)フォーラム」閣僚級会議に出席。習国家主席も会議開幕に際し、文書で「中国と中南米は一帯一路の共同建設という青写真を描き、太平洋を越えた協力の道をつくろう」と呼びかけた。会議では「一帯一路に関する特別声明」が発表され、「一帯一路を通じて共同発展を実現する」ことを確認
した。

 王氏は24日、次の訪問国ウルグアイの首都モンテビデオでバスケス大統領と会談。同氏が「ウルグアイは南大西洋へと延びる一帯一路の重要な結節点になりたい」と積極的な参画姿勢を示すと、王氏は「一帯一路に参加することでウルグアイ自身が発展への強い動力を得られるだろう」と応じた。

 習氏が提唱した
一帯一路はもともと、中国と欧州を結ぶ古代シルクロードの沿線国への投資を想定していた。今では“脱シルクロード化”が進み、参加国はアフリカやオセアニアにも拡大している。中国が米国の“裏庭”である中南米にも一帯一路を延伸したのは、「ウィンウィン(共栄)を掲げる一帯一路への自信の表れ米国企業の参加を促す意味合いもある
」(外交筋)。

 「米国第一」の
トランプ外交によって“力の空白”が生じた地域に、中国が影響力を浸透させるやり方
は東南アジアや欧州、アフリカでも顕著だ。

 一方の中南米諸国にとっても、国内のインフラ整備はもちろん、域内発展のために各国を連結する鉄道建設が急務となっている。

 中米パナマは昨年、台湾と断交し中国と外交関係を樹立した。中国が中南米諸国との関係強化に動く背景には、域内の一部の国と外交関係を維持する台湾に圧力をかける狙いもある。


 ASEAN諸国同様、札束外交で中南米諸国に覇権を拡大し、経済だけでなく安全保障≒軍事力の進出も当然予測されます。
 北朝鮮の核を搭載するICBMによる本土攻撃の脅威実現が迫る米国。裏からは、中国の札束外交による経済侵略が現実のものとなりました。
 かつて、ハワイの真珠湾は、日本軍の攻撃を許しましたが、大陸本土の武力攻撃を受けたことはなかった米国。
 北朝鮮の核ミサイル(元々、中国やロシアの核ミサイルは攻撃される射程に入っていますが。)の脅威と、中国の経済と安全保障の覇権拡大とに挟み撃ちされる状況≒目に見える自国本土の脅威が産まれようとしているのですね。

 トランプ政権、共和党、民主党、そして国民の方々は、どう解釈して、どのような対策を打ち出すのでしょう。
 トランプ政権の中でも台頭の兆がある、キッシンジャーの影響を受けるパンダハガー勢力の対応が注目されます。



 # 冒頭の画像は、インド、ASEAN首脳会議でのモディ首相と、スーチーさん




  チャイブの花と蝶




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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交





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