遊爺雑記帳

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EV革命頓挫、6カ月で何が起こったのか

2024-02-23 01:08:08 | 新エネルギー
 ほんの1年前まで、自動車メーカーは電気自動車(EV)需要の高まりに対応するのに苦労していた。ところが、数カ月の間に状況は一変し、多くの自動車メーカーが全速力で推し進めてきたEVシフトにブレーキがかかったと、WSJ。
 
EV革命頓挫、6カ月で何が起こったのか - WSJ By Mike Colias, Nora Eckert and Sean McLain (WSJと表示) 2024年2月21日

 米フォード・モーターの電動ピックアップトラック「F150ライトニング」を生産するミシガン州の工場は、かつて熱気に包まれていた

 2021年にはジョー・バイデン大統領が来訪し、驚異的なスピードを誇る同車に試乗した。
22年春に第1号車が完成する前から、フォードは同工場を拡張して生産可能台数を4倍にすると発表した。

 
そうした熱気は急速に失われつつある。フォードは同工場の生産台数を半減し、従業員は他の工場に異動しているその多くはガソリンエンジンのピックアップトラックやスポーツタイプ多目的車(SUV)を生産している工場だ。

 デトロイト郊外のフォード工場でピックアップトラックの検査を担当しているマシュー・シュルテさんは、突然の変化に「少し驚いた」と話す。「現実が見えてきた」

 
ほんの1年前まで、自動車メーカーは電気自動車(EV)需要の高まりに対応するのに苦労していたところが、数カ月の間に状況は一変し、多くの自動車メーカーが全速力で推し進めてきたEVシフトにブレーキがかかった

 さまざまな要因が重なり、
社会がEVに劇的にシフトする可能性を見いだした自動車メーカー幹部は多かった。そうした要因には、政府の規制、企業の気候変動目標、中国のEVメーカーの台頭、米EV大手テスラの時価総額(約6000億ドル=約90兆円で、従来の自動車メーカーをいまだに圧倒している)などがある。

 
だが、EVシフトを推進する動きは、消費者という重要な層を見落としていた

 
昨年夏には販売業者が、EVの売れ残りが駐車場にあふれていると警鐘を鳴らし始めた。フォード、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン(VW)などは、EVへの猛烈な投資から、一部プロジェクトの延期や縮小へと転じた。EVの出荷を早めるよう自動車メーカーに懇願していた販売業者は、今ではEVの入荷を拒んでいる

 テスラの
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)ですら、同社の2024年の納車台数の伸びが「著しく低下する」との見通しを示している

 フォードのジム・ファーリーCEOは2月上旬の決算説明会で、「これは昨年後半の6カ月間に起きた劇的な変化であり、自動車業界の勝者と敗者が急速に選別されるだろう」と述べた。EVの販売台数は伸び続けており、自動車メーカーの幹部からもEVを推進する方針に変わりはないとの声が上がる。しかし、その多くは計画を見直しつつある。

 
フォードはEVへの投資を先送りした。また、一部車両の発売を延期する一方、ガソリンと電気の両方で走るハイブリッド車(HV)の生産を増やす方針だ。同社は昨年、バッテリー駆動車事業で47億ドルという多額の損失を出した。今年はさらに損失が拡大し、50億~55億ドル程度になると見込んでいる

 自動車メーカー幹部の中には、行き過ぎた需要予測で市場を先取りしたことを認めている者もいる。新型コロナウイルスが流行し、サプライチェーン(供給網)の混乱とそれに伴う車両不足に見舞われると、EVの納車待ちリストが長くなり、当初はEVが話題を呼んだ。その結果、自動車業界は楽観的になりすぎてしまった。

 その後、
新型EVが続々と市場に出回るようになって初めて、業界幹部らは自動車購入者の目が予想以上に肥えていることに気づいたさまざまな妥協を伴う車両に割高な料金を支払うのをためらった人は多かった

 ファーリー氏など自動車業界のCEOらは、当初の想定よりもペースは遅いとはいえ、いずれはEVが普及すると今も確信している。ただ今のところは、この大誤算によって業界は窮地に立たされている。EVが大量に出回り、工場が半分空になる可能性がある一方で、世界的に厳しくなる環境規制をクリアしなければならないのだ。

 
「最終的には顧客に従う」。GMのメアリー・バーラCEOは今月のアナリスト会見でそう語った

 バーラ氏は業界内でEVシフトの重要性を当初から強く訴えていた一人だった。
GMは2035年までにほぼ全てのガソリン車を廃止するという目標を掲げた

 同氏は2023年1月の決算説明会で「今年は飛躍の年だ」と語っていた。
GMはついにバッテリーの自社生産に動き出した。また、EVの量産を開始し、「キャデラック」のSUVと「ハマー」のピックアップトラックの新型電動車に対する繰り越し需要を満たす準備が整ったと発表した。

 
フォードはF150ライトニングの注文が膨らんでいることに自信を得て、店頭価格を当初の水準から2万ドルも引き上げた。また他の自動車メーカーの幹部らも、EV工場の稼働を加速させる計画を明らかにした

前途多難
その後、不穏な兆候が現れ始めた昨年1月中旬にテスラが一部モデルの価格を20%余り引き下げると、連鎖反応が起きた

 中古車販売業者が抱えていたテスラの小型車「モデル3」とSUV「モデルY」の在庫は、その価値が数千ドルも急落した。高値でテスラを購入した客は激怒した。

 
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジョン・マーフィー氏は「EVの需要が供給を上回っているのに値下げする理由が分からない」と述べた

 マスク氏は需要に問題はないと強調した。同氏はアナリスト会見で、(値下げは)より手頃な価格にして訴求力を拡大することが狙いだと語った。

 フォード社内では、テスラの値下げが自社のEV販売に及ぼす影響についての分析が行われた。その約2週間後、フォードは電動SUV「マスタング・マッハE」の一部モデルを9%近く値下げした。

 
ファーリー氏は昨年5月のアナリスト会見で、EV全体の関心(低下)を反映したものではないとして、値下げ圧力の存在をおおむね否定した。また、ライトニングの生産台数を拡大する計画を重ねて表明し、同社の今後について楽観姿勢を崩さなかった

 
その頃、自動車販売業を手掛けるミッキー・アンダーソンさんは、カンザス、ネブラスカ、コロラド各州に所有する駐車場にEVの在庫が積み上がっていることに気づき始めた

 アンダーソンさんなどの小売業者は当初、販売鈍化は単なる偶然だと考えていた。彼らは春の終わりから夏にかけて行われたメーカーとの会合で情報交換を行った。

 
「われわれは不安だった」とアンダーソンさんは振り返る。「入荷待ちの状態から、ほんの数週間で在庫が6カ月分に膨れ上がった」

 自動車メーカーが夏商戦に突入する中、他にも不安な兆候があった。2023年上半期の米EV販売台数は前年同期比50%増となり、伸びが前年同期の71%を下回った。

 
EVに早く乗れるなら多額の支払いもいとわない人の波が一巡し、次の潜在顧客層が二の足を踏んでいることが明らかになったのだ。こうした層は、1回の充電でどれだけの距離を走れるのか、バッテリーの寿命はどれくらいなのかを、より気にした充電時間や修理費、充電施設の不足が懸念されたことが、販売業者の話や調査で明らかになっている

 
金利の上昇がEV購入による月々の支払い額を押し上げた。調査会社JDパワーによると、EVは元々、ガソリンエンジン車よりも1台当たり平均で約1万4000ドル高く販売されていた。

計画の見直し
 JDパワーのタイソン・ジョミニー副社長(データ・分析担当)によると、EVの購入(資金の調達)にかかる平均金利が昨年秋の1カ月間で4.9%から7%に跳ね上がり、一部の客は月々の支払いに対する負担感がさらに増した。

 
EVの購入待ちをしていた人の数が急に減り、予約を取り消す動きが広がった

 
昨年10月の10日間で、デトロイト内外の自動車メーカーのトーンは一段と暗くなったGMは「EV需要の変化」を理由に、新型電動ピックアップトラックの生産用に40億ドルかけてデトロイト郊外の工場を改修する計画を1年延期すると発表した。

 
マスク氏はその翌日、金利が上昇し経済状況も厳しさを増していることから、テスラ車を購入できる人はそれほど多くないと述べた。同氏は7-9月期(第3四半期)の決算説明会で、値頃感が薄れていることが需要を抑えていると述べた

 その1週間後、
バーラ氏はGMの決算説明会で、EVへの移行は「困難な」道のりだとし、2024年半ばまでの2年間で40万台のEVを生産するという自主目標は達成できないと述べた

 さらに
その2日後には、フォードがEVへの120億ドルの投資を延期すると発表した。さらに、需要に見合った生産が必要だとして、ハイブリッド車の増産に注力するとした

 同年末には、
(一部の自動車メーカーが中途半端で無用な対策として否定していた)ハイブリッド車の販売が軌道に乗り、同年中にEVを上回ることが明らかになりつつあった

 トヨタ自動車の
豊田章男会長は「ようやく人々は現実を見るようになった」と語った。EVに慎重なトヨタなどの自動車メーカーは何年もの間、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための消費者に優しい方法としてハイブリッド車をアピールしてきた

 
昨年11月には米国内の数千の販売業者が、バッテリー駆動車の販売を促進する規制案の緩和をバイデン氏に求める書簡に署名した。同書簡には「昨年はEVに関して多くの期待と盛り上がりがあった。(中略)しかし、その熱気は衰えている」と記されていた

 
自動車小売業者の中には、不要な在庫を一掃するためにEVを赤字で販売しているところもあるという。

 F150ライトニングの生産工場から車で25分の場所に
自動車販売店を構えるエド・ジョリフさんは、何が起きたのか理解に苦しんでいる。最近の平日、彼は店の窓から8台のライトニングと4台のマッハEを見に来る客の様子を眺めていた

 
ドアを開けて車内を確認する人が誰もいない、とジョリフさんは言う。「このためらいが大きな打撃となっているようだ」


 社会がEVに劇的にシフトする可能性を見いだした自動車メーカー幹部は多かった。
 だが、EVシフトを推進する動きは、消費者という重要な層を見落としていたと、WSJ。

 昨年夏には販売業者が、EVの売れ残りが駐車場にあふれていると警鐘を鳴らし始めた。
 フォード、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン(VW)などは、EVへの猛烈な投資から、一部プロジェクトの延期や縮小へと転じた。EVの出荷を早めるよう自動車メーカーに懇願していた販売業者は、今ではEVの入荷を拒んでいるのだそうです。

 イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)ですら、同社の2024年の納車台数の伸びが「著しく低下する」との見通しを示していると、WSJ。

 フォードはEVへの投資を先送りし、ハイブリッド車(HV)の生産を増やす方針なのだそうです。
 同社は昨年、バッテリー駆動車事業で47億ドルという多額の損失を出した。今年はさらに損失が拡大し、50億~55億ドル程度になると見込んでいると、WSJ。

 新型EVが続々と市場に出回るようになって初めて、業界幹部らは自動車購入者の目が予想以上に肥えていることに気づいた。さまざまな妥協を伴う車両に割高な料金を支払うのをためらった人は多かった。

 「最終的には顧客に従う」。GMのメアリー・バーラCEOは今月のアナリスト会見でそう語った。
 バーラ氏は業界内でEVシフトの重要性を当初から強く訴えていた一人だった。GMは2035年までにほぼ全てのガソリン車を廃止するという目標を掲げた。

 フォードはF150ライトニングの注文が膨らんでいることに自信を得て、店頭価格を当初の水準から2万ドルも引き上げた。また他の自動車メーカーの幹部らも、EV工場の稼働を加速させる計画を明らかにした。

 その後、不穏な兆候が現れ始めた。昨年1月中旬にテスラが一部モデルの価格を20%余り引き下げると、連鎖反応が起きた。
 フォードのファーリー氏は昨年5月のアナリスト会見で、EV全体の関心(低下)を反映したものではないとして、値下げ圧力の存在をおおむね否定。楽観姿勢を崩さなかったのだそうです。
 
 しかし、自動車販売業を手掛けるミッキー・アンダーソンさんは、カンザス、ネブラスカ、コロラド各州に所有する駐車場にEVの在庫が積み上がっていることに気づき始めた。
 「われわれは不安だった」とアンダーソンさんは振り返る。「入荷待ちの状態から、ほんの数週間で在庫が6カ月分に膨れ上がった」と。

 EVに早く乗れるなら多額の支払いもいとわない人の波が一巡し、次の潜在顧客層が二の足を踏んでいることが明らかになったと、WSJ。
 こうした層は、1回の充電でどれだけの距離を走れるのか、バッテリーの寿命はどれくらいなのかを、より気にした。充電時間や修理費、充電施設の不足が懸念されたことが、販売業者の話や調査で明らかになっているのだそうです。

 また、金利の上昇がEV購入による月々の支払い額を押し上げた。調査会社JDパワーによると、EVは元々、ガソリンエンジン車よりも1台当たり平均で約1万4000ドル高く販売されていた。

 EVの購入待ちをしていた人の数が急に減り、予約を取り消す動きが広がったと、WSJ。

 昨年10月の10日間で、デトロイト内外の自動車メーカーのトーンは一段と暗くなった。GMは「EV需要の変化」を理由に、デトロイト郊外の工場を改修する計画を1年延期すると発表。

 マスク氏はその翌日、金利が上昇し経済状況も厳しさを増していることから、テスラ車を購入できる人はそれほど多くない。値頃感が薄れていることが需要を抑えていると述べたのだそうです。

 その1週間後、バーラ氏はGMの決算説明会で、EVへの移行は「困難な」道のりだとし、2024年半ばまでの2年間で40万台のEVを生産するという自主目標は達成できないと述べた。

 さらにその2日後には、フォードがEVへの120億ドルの投資を延期すると発表。さらに、需要に見合った生産が必要だとして、ハイブリッド車の増産に注力するとしたのだそうです。

 (一部の自動車メーカーが中途半端で無用な対策として否定していた)ハイブリッド車の販売が軌道に乗り、同年中にEVを上回ることが明らかになりつつあったと、WSJ。

 トヨタ自動車の豊田章男会長は「ようやく人々は現実を見るようになった」と語った。EVに慎重なトヨタなどの自動車メーカーは何年もの間、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための消費者に優しい方法としてハイブリッド車をアピールしてきたと、WSJ。
  
 自動車小売業者の中には、不要な在庫を一掃するためにEVを赤字で販売しているところもあるのだそうです。
 自動車販売店を構えるエド・ジョリフさんは、何が起きたのか理解に苦しんでいる。最近の平日、彼は店の窓から8台のライトニングと4台のマッハEを見に来る客の様子を眺めていた。
 ところが、ドアを開けて車内を確認する人が誰もいない、「このためらいが大きな打撃となっているようだ」とジョリフさん。

 流行を先取りした次の本格需要層の顧客。
 一歩踏みとどまって、EV車のメリット、デメリットを見定めているようですね。
 EV車の電気は、火力や原子力で発電されているので必ずしもクリーンとは言い切れない。
 個人的には、雪道で長時間の渋滞に巻き込まれた経験から、ガソリンの補給と、電気の補給ではどちらが対応しやすいのかが、日本では毎年繰り返される大渋滞で、気がかりなところですが、ハイブリットなら両方のエネルギー源が利用できるメリットがあるような。 (^_^;

 EVでは先行していたのに遅れに回っている日本。ハイブリットでの先行を活かせるのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、米国のエネルギー車種別売上価格推移



  この花の名前は、ウンナンロウバイ


竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube




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