
米中対決に対して、「新たな冷戦」の始まりだとする見方が一部でなされている。特に朝日新聞が「新冷戦」という呼び方が好きなようである。新しい呼び名を付けると何か分析でもしたように錯覚してしまうのだろうか。
冷戦というのは、単に大きな国の対決ということではない。「冷戦」には、対抗すべき権威や魅力ある旗印が必要だが、今の中国にも社会主義国にもそれがない。これがかつての冷戦との決定的な相違であると指摘するのは、元共産党参議院議員の 筆坂秀世氏。
米中の対立は、今や貿易戦争に留まらず世界の覇権を懸けた全面戦争の様相を呈してきています。
筆坂氏は、昨年(2017年)12月、米トランプ政権は「国家安全保障戦略」をまとめ、中国やロシアを名指しして、批判したことを境に米中の対立は長期化したと指摘しています。
一方、今年1月下旬に公表された「国防戦略 2018(NDS-2018)」で、「大国間角逐」こそがアメリカ国防にとって最大の脅威であるという、国際軍事環境に対する現状認識が示され、具体的には「中国の軍事力、そしてやがてはロシアの軍事力、との熾烈な競合」があげられたことが、米中の貿易戦争に留まらない、全面戦争の始まりとの見方もあります。
3月の全人代での憲法改定で、国家主席の任期の撤廃が決定し、習近平の終身独裁支配者の道が開かれたことで、歴代政権が保ってきた対中関与政策が失敗だったという超党派の認識が持たれるようになったとも。
そして、筆坂氏が指摘されるように、10月4日のペンス副大統領の講演での、対中批判に繋がっているのですね。これは単なる講演というより、トランプ政権の対中全面戦争への決意表明と言えるものです。
中国に対する米国の幻滅と怒りを伝えています。
歴代の米国政権は、中国が「改革・解放」路線のもとで、経済の自由化、政治の民主化という方向に進むと期待して、さまざまな支援を行ってきた。にもかかわらず中国はそれを裏切り続けてきた。これを改めるまで、もう容赦はしないと。
ただ、今の米中対決に対して、「新たな冷戦」の始まりだとする見方があるがそれは違うと筆坂氏。
特に朝日新聞が「新冷戦」という呼び方が好きなようであるが、なぜ「新たな冷戦」なのか、記事を読んでも何も解明はされていないと。
新しい呼び名を付けると何か分析でもしたように錯覚してしまうのだろうかと散々。
冷戦というのは、単に大きな国の対決ということではない。米ソの冷戦には、資本主義体制と社会主義体制のどちらが優位か、明確なイデオロギーの対決と体制選択の対決があった。政治も、経済も画然と分断されていた。どちらの体制も相手を凌駕することを目指して対決していたのだ。これが冷戦であると。そして、当時は社会主義思想が世界の少なくない人々を魅了する力を持っていたとも。
しかし今は、中国に世界の人々を魅了する力などない。
「冷戦」には、対抗すべき権威や魅力ある旗印が必要だが、今の中国にも社会主義国にもそれがない。これがかつての冷戦との決定的な相違であると筆坂氏。
もう1つの大きな相違点は、ペンス副大統領の補佐官トム・ローズ氏も日本での会合で語った「冷戦時代の米ソは経済や文化での交流がほとんどなかったが、(現在)米中は結びつきが強い」と言う点。
アメリカが中国に現在の路線の軌道修正をさせるのは、簡単なことではない。今大事なことは、簡単に「新冷戦」と名付けて分かったつもりになるのではなく、対決の行方や日本の取るべき行動を冷徹に分析することだと筆坂氏。
一党独裁の中国共産党。
その上に、毛沢東の独裁政権が迷走した結果の天安門事件と混乱。その反省を基に鄧小平が打ち立てた、集団指導体制と改革開放経済。それが低賃金、低固定費の優位性を活かし世界の工場として経済発展し、日本を追い越して、世界第二位のGDPを誇る国に成長。
そして、習近平政権となった今は、経済でも軍事力でも米国に追いつき追い越そうという「中国の夢」を追い求める、生涯国家主席の座を憲法で保障させた独裁体制に逆戻りの体制。
ようやくその罠が露呈し始めたとはいえ「一帯一路」での沿線諸国の札束での併呑推進。
筆坂氏の言われる冷戦条件で、「軍事対決という熱い戦争ではないが、どちらの体制も相手を凌駕することを目指して対決」という条件に、少なくとも習近平側は適合していて、その習近平の野望に気づいた米国が、2017年12月の「国家安全保障戦略」や、今年1月下旬に公表された「国防戦略 2018(NDS-2018)」で応戦し始めていると言う事になり、冷戦条件のひとつの条件は満たしているともいえます。
ただ、グローバル化の進展で、人、物、金、情報の行き交いでの米中の結びつきは、米ソり冷戦ではなかったこと。
拡大を続ける米中の新たな対抗は今後どう進展するのでしょうか。。
そして、日本はどう対応すべきなのか。
安倍政権の「中国接近」に米国で痛烈な非難の声 「トランプ大統領は安倍首相の友人ではなくなる」と威嚇(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)
# 冒頭の画像は、対中方針演説をしたペンス副大統領

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冷戦というのは、単に大きな国の対決ということではない。「冷戦」には、対抗すべき権威や魅力ある旗印が必要だが、今の中国にも社会主義国にもそれがない。これがかつての冷戦との決定的な相違であると指摘するのは、元共産党参議院議員の 筆坂秀世氏。
米中対決を「新冷戦」と呼ぶのは正しくない理由 かつての冷戦とは大きく異なる対決の構図 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.11.20(火) 筆坂 秀世
米中の激しい貿易戦争が続いている。この対立が長期化することは間違いなさそうである。
昨年(2017年)12月、米トランプ政権は「国家安全保障戦略」をまとめた。ここでは、中国やロシアを名指しして、「技術、宣伝および強制力を用い、米国の国益や価値観と対極にある世界を形成しようとする修正主義勢力」と批判し、「我々は、米国の知的財産を盗用し自由な社会の技術を不当に利用する者から、自国の安全保障の基盤技術を守る」と宣言していた。中国を盗人呼ばわりする程の強烈なものである。トランプ政権が中国に仕掛けている強硬姿勢は、この新たな戦略に基づいている。
■強烈だった副大統領の対中批判
この戦略を詳細に語ったのが、2018年10月4日、マイク・ペンス米副大統領がハドソン研究所で行った講演である。ペンス氏は、「ソ連の崩壊後、我々は中国の自由化が避けられないものと想定した。21世紀に入り、楽観主義によって中国に米国経済への自由なアクセスを与えることに合意し、世界貿易機関に加盟させた」「これまでの政権は、中国での自由が経済的だけでなく政治的にも、自由主義の原則、私有財産、個人の自由、宗教の自由、全家族に関する人権を新たに尊重する形が拡大することを期待してこの選択を行ってきた。だがその希望は達成されなかった」と述べ、以下の通りほとんど全分野にわたって中国を厳しく批判したのだ。
・そもそも中国の経済的成功の大部分は、アメリカの中国への投資によってもたらされた。過去25年間にわたって「我々は中国を再建した」。
・中国の安全保障機関が、最先端の軍事計画を含む米国の技術の大規模な窃盗の黒幕である。中国共産党は盗んだ技術を使って大規模に民間技術を軍事技術に転用している。
・中国は、米国を西太平洋から追い出し、米国が同盟国の援助を受けることを阻止しようとしている。だが彼らは失敗する。
・中国のキリスト教徒、仏教徒、イスラム教徒に対する新たな迫害の波が押し寄せている。
・中国は「一帯一路」構想のもとで「借金漬け外交」を行い、影響力の拡大を図っている。
・中国共産党は、米国企業、映画会社、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方、州、連邦当局者に見返りの報酬を与え、支配している。中国はアメリカの世論、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙にも影響を与えようとしている。
・我々は、米国の知的財産の窃盗が完全に終了するまで、中国政府に対して行動を続ける。中国政府が強制的な技術移転という略奪的な慣行を止めるまで、引き続き断固とした態度をとる。
この他にも、日本の尖閣諸島や南シナ海での中国の軍事行動、ウイグルでの人権侵害などにも言及している。
この講演全体を貫いているのは、中国に対する米国の幻滅と怒りである。歴代の米国政権は、中国が「改革・解放」路線のもとで、経済の自由化、政治の民主化という方向に進むことは避けられないだろうと期待して、さまざまな支援を行ってきた。にもかかわらず中国はそれを裏切り続けてきた。これを改めるまで、もう容赦はしない、というわけだ。
■間抜けだった? 米国の対中外交
アメリカが中国にだまされ続けてきたということは、3年前に発行された『China2049――秘密裏に遂行「世界覇権100年戦略』でも詳細に明らかにされている。著者は米国防総省で中国関連の要職を歴任し、2004年からはハドソン研究所・中国戦略センター所長を務めているマイケル・ピルズベリーである。この本を読んだ際の率直な感想は、これは本当なのか、本当だとすればアメリカはなんて間抜けなのか、ということだった。
同書でも詳述されているが、アメリカは中国に対して、軍事技術をも含む技術支援、資金援助など、大規模な支援を行ってきた。だが、それによって自由化、民主化は進まなかった。
しかし、こんなことは不思議でも何でもない。共産党一党独裁の国が簡単に自由化、民主化などできるわけがないからだ。こんな自明なことが分からなかった米国国務省の方がどうかしている、と思ったものである。
ソ連が崩壊したのは、ソ連共産党が解体に追い込まれたからである。憲法に中国共産党の一党支配を明記し、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論など特定の思想を絶対化するような国が、自由化、民主化されるのは、共産党の一党独裁体制打ち壊された時だけである。
■「新冷戦」などと呼ぶのは間違っている
こうした米中対決に対して、「新たな冷戦」の始まりだとする見方が一部でなされている。だがこれはあまりにも皮相な見方である。特に朝日新聞が「新冷戦」という呼び方が好きなようである。10月、7年ぶりに安倍晋三首相が訪中し、習近平国家主席と会談した際も、2面トップの見出しは「『新たな冷戦』日中接近」というものだった。なぜ「新たな冷戦」なのか、記事を読んでも何も解明はされていない。「米中が『新たな冷戦』と言われるほど対立を深め」とあるだけだ。
11月18日に閉幕しアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議でも、米中の対立によって首脳宣言をまとめることができなかった。19日付の朝日新聞は、ただ米中が対立しているというだけのことを理由に、「『新冷戦』の始まりを印象づけた」と報じている。新聞記事というのは、この程度のものなのかもしれないが、ある事象に対して、新しい呼び名を付けると何か分析でもしたように錯覚してしまうのだろうか。
冷戦というのは、単に大きな国の対決ということではない。第2次世界大戦後、東欧では、ソ連の介入によって社会主義国が次々と誕生していった。アジアでも中国革命が迫っていた。社会主義勢力の台頭に脅威を感じた資本主義陣営は、社会主義勢力の伸張を阻止するため1947年3月に、トルーマン米大統領が「トルーマン・ドクトリン」を宣言。ヨーロッパを共産主義から防衛するための大規模な経済援助政策「マーシャル・プラン」を開始した。これに対抗してソ連のスターリンは、東欧社会主義国や世界の共産党を結集したコミンフォルム(共産党・労働者党情報局)を結成した。
ここには、資本主義体制と社会主義体制のどちらが優位か、明確なイデオロギーの対決と体制選択の対決があった。政治も、経済も画然と分断されていた。米中には国交もなかった。軍事対決という熱い戦争ではないが、どちらの体制も相手を凌駕することを目指して対決していたのだ。これが冷戦である。今では信じられないことだが、当時は社会主義思想が世界の少なくない人々を魅了する力を持っていたのだ。
だが現在はどうか。中国に世界の人々を魅了する力などない。社会主義体制は、完全に魅力を喪失しており、体制選択の対象から外れてしまっている。「冷戦」には、対抗すべき権威や魅力ある旗印が必要だが、今の中国にも社会主義国にもそれがない。これがかつての冷戦との決定的な相違である。
もう1つの大きな相違点は、ペンス副大統領の補佐官トム・ローズ氏も日本での会合で語ったことである。ローズ氏は、「米中関係が『新冷戦』であるというのは、『正しい見方ではない』」と語っている。その理由として、「冷戦時代の米ソは経済や文化での交流がほとんどなかったが、(現在)米中は結びつきが強い」と指摘している。グローバル化の進展で、人、物、金、情報の行き交いは猛烈なものとなっている。これもかつての冷戦との大きな違いである。
アメリカが中国に現在の路線の軌道修正をさせるのは、簡単なことではない。それだけに間違いなく長期の対決となる。今大事なことは、簡単に「新冷戦」と名付けて分かったつもりになるのではなく、対決の行方や日本の取るべき行動を冷徹に分析することである。
米中の激しい貿易戦争が続いている。この対立が長期化することは間違いなさそうである。
昨年(2017年)12月、米トランプ政権は「国家安全保障戦略」をまとめた。ここでは、中国やロシアを名指しして、「技術、宣伝および強制力を用い、米国の国益や価値観と対極にある世界を形成しようとする修正主義勢力」と批判し、「我々は、米国の知的財産を盗用し自由な社会の技術を不当に利用する者から、自国の安全保障の基盤技術を守る」と宣言していた。中国を盗人呼ばわりする程の強烈なものである。トランプ政権が中国に仕掛けている強硬姿勢は、この新たな戦略に基づいている。
■強烈だった副大統領の対中批判
この戦略を詳細に語ったのが、2018年10月4日、マイク・ペンス米副大統領がハドソン研究所で行った講演である。ペンス氏は、「ソ連の崩壊後、我々は中国の自由化が避けられないものと想定した。21世紀に入り、楽観主義によって中国に米国経済への自由なアクセスを与えることに合意し、世界貿易機関に加盟させた」「これまでの政権は、中国での自由が経済的だけでなく政治的にも、自由主義の原則、私有財産、個人の自由、宗教の自由、全家族に関する人権を新たに尊重する形が拡大することを期待してこの選択を行ってきた。だがその希望は達成されなかった」と述べ、以下の通りほとんど全分野にわたって中国を厳しく批判したのだ。
・そもそも中国の経済的成功の大部分は、アメリカの中国への投資によってもたらされた。過去25年間にわたって「我々は中国を再建した」。
・中国の安全保障機関が、最先端の軍事計画を含む米国の技術の大規模な窃盗の黒幕である。中国共産党は盗んだ技術を使って大規模に民間技術を軍事技術に転用している。
・中国は、米国を西太平洋から追い出し、米国が同盟国の援助を受けることを阻止しようとしている。だが彼らは失敗する。
・中国のキリスト教徒、仏教徒、イスラム教徒に対する新たな迫害の波が押し寄せている。
・中国は「一帯一路」構想のもとで「借金漬け外交」を行い、影響力の拡大を図っている。
・中国共産党は、米国企業、映画会社、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方、州、連邦当局者に見返りの報酬を与え、支配している。中国はアメリカの世論、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙にも影響を与えようとしている。
・我々は、米国の知的財産の窃盗が完全に終了するまで、中国政府に対して行動を続ける。中国政府が強制的な技術移転という略奪的な慣行を止めるまで、引き続き断固とした態度をとる。
この他にも、日本の尖閣諸島や南シナ海での中国の軍事行動、ウイグルでの人権侵害などにも言及している。
この講演全体を貫いているのは、中国に対する米国の幻滅と怒りである。歴代の米国政権は、中国が「改革・解放」路線のもとで、経済の自由化、政治の民主化という方向に進むことは避けられないだろうと期待して、さまざまな支援を行ってきた。にもかかわらず中国はそれを裏切り続けてきた。これを改めるまで、もう容赦はしない、というわけだ。
■間抜けだった? 米国の対中外交
アメリカが中国にだまされ続けてきたということは、3年前に発行された『China2049――秘密裏に遂行「世界覇権100年戦略』でも詳細に明らかにされている。著者は米国防総省で中国関連の要職を歴任し、2004年からはハドソン研究所・中国戦略センター所長を務めているマイケル・ピルズベリーである。この本を読んだ際の率直な感想は、これは本当なのか、本当だとすればアメリカはなんて間抜けなのか、ということだった。
同書でも詳述されているが、アメリカは中国に対して、軍事技術をも含む技術支援、資金援助など、大規模な支援を行ってきた。だが、それによって自由化、民主化は進まなかった。
しかし、こんなことは不思議でも何でもない。共産党一党独裁の国が簡単に自由化、民主化などできるわけがないからだ。こんな自明なことが分からなかった米国国務省の方がどうかしている、と思ったものである。
ソ連が崩壊したのは、ソ連共産党が解体に追い込まれたからである。憲法に中国共産党の一党支配を明記し、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論など特定の思想を絶対化するような国が、自由化、民主化されるのは、共産党の一党独裁体制打ち壊された時だけである。
■「新冷戦」などと呼ぶのは間違っている
こうした米中対決に対して、「新たな冷戦」の始まりだとする見方が一部でなされている。だがこれはあまりにも皮相な見方である。特に朝日新聞が「新冷戦」という呼び方が好きなようである。10月、7年ぶりに安倍晋三首相が訪中し、習近平国家主席と会談した際も、2面トップの見出しは「『新たな冷戦』日中接近」というものだった。なぜ「新たな冷戦」なのか、記事を読んでも何も解明はされていない。「米中が『新たな冷戦』と言われるほど対立を深め」とあるだけだ。
11月18日に閉幕しアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議でも、米中の対立によって首脳宣言をまとめることができなかった。19日付の朝日新聞は、ただ米中が対立しているというだけのことを理由に、「『新冷戦』の始まりを印象づけた」と報じている。新聞記事というのは、この程度のものなのかもしれないが、ある事象に対して、新しい呼び名を付けると何か分析でもしたように錯覚してしまうのだろうか。
冷戦というのは、単に大きな国の対決ということではない。第2次世界大戦後、東欧では、ソ連の介入によって社会主義国が次々と誕生していった。アジアでも中国革命が迫っていた。社会主義勢力の台頭に脅威を感じた資本主義陣営は、社会主義勢力の伸張を阻止するため1947年3月に、トルーマン米大統領が「トルーマン・ドクトリン」を宣言。ヨーロッパを共産主義から防衛するための大規模な経済援助政策「マーシャル・プラン」を開始した。これに対抗してソ連のスターリンは、東欧社会主義国や世界の共産党を結集したコミンフォルム(共産党・労働者党情報局)を結成した。
ここには、資本主義体制と社会主義体制のどちらが優位か、明確なイデオロギーの対決と体制選択の対決があった。政治も、経済も画然と分断されていた。米中には国交もなかった。軍事対決という熱い戦争ではないが、どちらの体制も相手を凌駕することを目指して対決していたのだ。これが冷戦である。今では信じられないことだが、当時は社会主義思想が世界の少なくない人々を魅了する力を持っていたのだ。
だが現在はどうか。中国に世界の人々を魅了する力などない。社会主義体制は、完全に魅力を喪失しており、体制選択の対象から外れてしまっている。「冷戦」には、対抗すべき権威や魅力ある旗印が必要だが、今の中国にも社会主義国にもそれがない。これがかつての冷戦との決定的な相違である。
もう1つの大きな相違点は、ペンス副大統領の補佐官トム・ローズ氏も日本での会合で語ったことである。ローズ氏は、「米中関係が『新冷戦』であるというのは、『正しい見方ではない』」と語っている。その理由として、「冷戦時代の米ソは経済や文化での交流がほとんどなかったが、(現在)米中は結びつきが強い」と指摘している。グローバル化の進展で、人、物、金、情報の行き交いは猛烈なものとなっている。これもかつての冷戦との大きな違いである。
アメリカが中国に現在の路線の軌道修正をさせるのは、簡単なことではない。それだけに間違いなく長期の対決となる。今大事なことは、簡単に「新冷戦」と名付けて分かったつもりになるのではなく、対決の行方や日本の取るべき行動を冷徹に分析することである。
米中の対立は、今や貿易戦争に留まらず世界の覇権を懸けた全面戦争の様相を呈してきています。
筆坂氏は、昨年(2017年)12月、米トランプ政権は「国家安全保障戦略」をまとめ、中国やロシアを名指しして、批判したことを境に米中の対立は長期化したと指摘しています。
一方、今年1月下旬に公表された「国防戦略 2018(NDS-2018)」で、「大国間角逐」こそがアメリカ国防にとって最大の脅威であるという、国際軍事環境に対する現状認識が示され、具体的には「中国の軍事力、そしてやがてはロシアの軍事力、との熾烈な競合」があげられたことが、米中の貿易戦争に留まらない、全面戦争の始まりとの見方もあります。
3月の全人代での憲法改定で、国家主席の任期の撤廃が決定し、習近平の終身独裁支配者の道が開かれたことで、歴代政権が保ってきた対中関与政策が失敗だったという超党派の認識が持たれるようになったとも。
そして、筆坂氏が指摘されるように、10月4日のペンス副大統領の講演での、対中批判に繋がっているのですね。これは単なる講演というより、トランプ政権の対中全面戦争への決意表明と言えるものです。
中国に対する米国の幻滅と怒りを伝えています。
歴代の米国政権は、中国が「改革・解放」路線のもとで、経済の自由化、政治の民主化という方向に進むと期待して、さまざまな支援を行ってきた。にもかかわらず中国はそれを裏切り続けてきた。これを改めるまで、もう容赦はしないと。
ただ、今の米中対決に対して、「新たな冷戦」の始まりだとする見方があるがそれは違うと筆坂氏。
特に朝日新聞が「新冷戦」という呼び方が好きなようであるが、なぜ「新たな冷戦」なのか、記事を読んでも何も解明はされていないと。
新しい呼び名を付けると何か分析でもしたように錯覚してしまうのだろうかと散々。
冷戦というのは、単に大きな国の対決ということではない。米ソの冷戦には、資本主義体制と社会主義体制のどちらが優位か、明確なイデオロギーの対決と体制選択の対決があった。政治も、経済も画然と分断されていた。どちらの体制も相手を凌駕することを目指して対決していたのだ。これが冷戦であると。そして、当時は社会主義思想が世界の少なくない人々を魅了する力を持っていたとも。
しかし今は、中国に世界の人々を魅了する力などない。
「冷戦」には、対抗すべき権威や魅力ある旗印が必要だが、今の中国にも社会主義国にもそれがない。これがかつての冷戦との決定的な相違であると筆坂氏。
もう1つの大きな相違点は、ペンス副大統領の補佐官トム・ローズ氏も日本での会合で語った「冷戦時代の米ソは経済や文化での交流がほとんどなかったが、(現在)米中は結びつきが強い」と言う点。
アメリカが中国に現在の路線の軌道修正をさせるのは、簡単なことではない。今大事なことは、簡単に「新冷戦」と名付けて分かったつもりになるのではなく、対決の行方や日本の取るべき行動を冷徹に分析することだと筆坂氏。
一党独裁の中国共産党。
その上に、毛沢東の独裁政権が迷走した結果の天安門事件と混乱。その反省を基に鄧小平が打ち立てた、集団指導体制と改革開放経済。それが低賃金、低固定費の優位性を活かし世界の工場として経済発展し、日本を追い越して、世界第二位のGDPを誇る国に成長。
そして、習近平政権となった今は、経済でも軍事力でも米国に追いつき追い越そうという「中国の夢」を追い求める、生涯国家主席の座を憲法で保障させた独裁体制に逆戻りの体制。
ようやくその罠が露呈し始めたとはいえ「一帯一路」での沿線諸国の札束での併呑推進。
筆坂氏の言われる冷戦条件で、「軍事対決という熱い戦争ではないが、どちらの体制も相手を凌駕することを目指して対決」という条件に、少なくとも習近平側は適合していて、その習近平の野望に気づいた米国が、2017年12月の「国家安全保障戦略」や、今年1月下旬に公表された「国防戦略 2018(NDS-2018)」で応戦し始めていると言う事になり、冷戦条件のひとつの条件は満たしているともいえます。
ただ、グローバル化の進展で、人、物、金、情報の行き交いでの米中の結びつきは、米ソり冷戦ではなかったこと。
拡大を続ける米中の新たな対抗は今後どう進展するのでしょうか。。
そして、日本はどう対応すべきなのか。
安倍政権の「中国接近」に米国で痛烈な非難の声 「トランプ大統領は安倍首相の友人ではなくなる」と威嚇(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)
# 冒頭の画像は、対中方針演説をしたペンス副大統領

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