遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

NATOと極東・西太平洋の不安定な安保環境を論じるパイプが出来た

2013-04-22 23:59:05 | 日本を復活させる
 NATOのラスムセン事務総長が来日され、安倍首相と会談し「共同政治宣言」に双方署名したニュースが小さく流れていました。凡人の遊爺には「外交辞令にしても良いことだ...」程度にしか感じられず、さしたる情報も見かけることがなくそのまま忘れかけていました。
 NATOと日本は遠く離れていて、安全保障上で、ロシアを挟み撃ちにする抑止力が微かに期待できる程度の認識で、欧米の強固な繋がりのクラブとの認識で、日本との連携は儀礼に少しプラスαした付き合いが実情と考えていました。事実、中東やアフリカの紛争に関して、日本が強く連携して行動する関係は出来ていないのがこれまでの歴史です。最近では、アルジェリア人質事件で、日本の外交のつながりの薄さを思い知らされたばかりですね。
 ところが、今回の「共同政治宣言」の署名の意義は、NATOと日本の関係の深化を進めるものとして大きいもののだそうです。NATOが、本気で日本との連携強化を考えているのなら、話をしたいことはいくらでもあり、日本の国益には大きく寄与する課題が山積していますから大歓迎です。
 
日・NATO、初の「政治宣言」=安倍首相と事務総長が署名 - WSJ.com
 
朋あり、「大西洋同盟」より来る (4/22 産経 【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛)

≪ケリー氏の陰に隠れた来日≫
 北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長が来日、15日に安倍晋三首相と
日本NATO共同政治宣言に署名
した。マスコミの扱いは小さかった。無理もない。北朝鮮による核恫喝(どうかつ)の罵声の下、ケリー米国務長官の訪韓・訪日報道に明け暮れたからだ。
 が、
今回のNATO事務総長訪日の意味は深く重い
。それには前史がある。安倍首相は第1次政権当時の2007年1月にブリュッセルのNATO本部を訪問、NATO理事会(大使級)で日本「初の戦後生まれの総理大臣」として、「日本とNATO:更なる協力に向けて」と題する演説を行い、NATO側に感銘を与えた。

 今回の共同政治宣言では、日本とNATOが「個人の自由、民主主義、人権及び法の支配」といった「共通の価値」をもつことが謳(うた)われている。実はこれは6年前の安倍演説のエキスだった。双方のパートナーシップは進展かつ深化し、
駐ベルギー大使が今後は「NATO日本代表」となる
。安倍首相年来の構想の具現だろう。
 そういう理念面以外にも共同政治宣言には注目点がある。中でも目を惹(ひ)くのは「サイバー防衛をはじめとする」日本・NATO間の「更なる対話と協力」が謳われた点だ。NATO条約第5条でその加盟国はサイバー防衛で「集団的自衛」を旨とする。加盟国でない日本はサイバー防衛でも「自衛権」概念適用の方向に動きつつあるが、NATOに同調可能か。
 ラスムセン事務総長はやはり15日、共同通信のインタビューで、
北朝鮮が米国の権益を攻撃した場合、NATO条約第5条規定に基づき、それを同盟加盟国全体への攻撃と見なし、集団的自衛権を発動する可能性を示唆した。わが国では驚く人が少なくないだろうが、論理的にはまさにその通りなのだ。だからこそ、NATOの紛争抑止機能は高い
のである。
 64年前にNATO条約が結ばれたとき、この同盟は集団的自衛権行使により加盟国領域防衛に当たる機構だった。成功裏に冷戦を乗り切ると、加盟国の領域は安全になったのでNATO失業論が出た。が、新しい任務が生まれた。いわゆる領域外任務がそれで、世界各地の危機管理だ。この「ニューNATO」に旧東側諸国が殺到した。12カ国で発足した同盟は今、28カ国の大所帯である。

≪「国際公共財」たるNATO≫
 冷戦期のNATOは「史上最も成功した軍事同盟」だった。今、それは世界にとり「不可欠の国際公共財」だ。国連さえNATOの能力に頼る事例が少なくない。その点を考慮して
NATOは世界各地域にパートナーシップ関係を構築中である。ほかならぬ日本は年来、その最有力ケースなのだ。
<中略>

 
が、問題もある。

≪忌憚のない安保対話を≫
 盟主米国をはじめとして、欧州のNATO加盟国にも軒並み国防予算削減の傾向が顕著である。これはNATOの領域外任務、すなわち世界各地での危機管理能力にとりブレーキとなる。また、領域外任務疲れ傾向も目立つ。好例がリビア危機で、10年も前のNATOならその深刻事態に拱手(きょうしゅ)傍観はしなかっただろう。
 日本にも悩みがある。
欧(ユーロ)・大西洋(アトランティック)地域の安保環境が冷戦期とは一変して良好なのとは対照的に、極東、西太平洋のそれはひどく深刻化した。その点でのNATO欧州諸国の理解は十分でない。NATOではないが、欧州連合(EU)加盟諸国に対中・武器輸出衝動が今また頭をもたげている。
NATOの最重要パートナー国たる日本からすれば、無神経な話だ。いうまでもなく欧州のNATO、EU加盟国はほとんど重複している。
 近来のEUが不協和音に悩まされているのとは対照的に、
NATO内部に個別的な不平不満がどれほどあろうと、脱退-それは条約上可能である-を示唆する加盟国政府が皆無
なのは驚くべきことだ。加盟諸国の大局的価値判断が個別的、部分的な利害打算に優越していることの証しだろう。だからこそNATOに希望したい。
 今回の共同政治宣言では日本とNATOは互いに褒め合った。初の宣言文書だから、それもよかろう。が、今後はもっと忌憚(きたん)なく注文をつけ合うべきだ。その際、
NATOの最大関心は加盟国及びパートナー諸国の安保なのだから、極東・西太平洋の不安定な安保環境をもっと論じようではないか。双方に共通の価値観に立って。(させ まさもり)

 中国の尖閣やEEZ境界線近海でのガス田開発、韓国の竹島、ロシアの北方領土と日本は近隣諸国からの領海・領土への侵攻や、不法占拠の問題を抱えています。
 解決策には、抑止力の強化や交渉があり、ようやく自衛隊や海自の予算微増がなされるようになりましたが、軍事力での解決は行わない日本としては、世界世論へのPRが必要ですし、中韓は日本を上回るPR活動を先行させています。

 PR戦争の遅れをどう取り戻すかかは、国益に死活的影響を与えます。
 安倍外交は、先ず中国の覇権拡大に悩まされている国々の歴訪を積み重ね、国際世論形成を進めようとしています。
 そこへ、NATOが日本との連携強化に本腰をいれて取り組み始めたのなら、これ以上の強い見方はありません。
 ケリー長官の誕生で、米国の対アジアや対日外交政策が変わるのであれば、日本としては独り立ちして独自に連携国を増やして世界世論形成することが求められています。

 記事にも書かれている通り、フランスなどは対中部輸出の復活目指す動きがあります。
 ロシアの台所が苦しくなった天然ガス開発・販売にも、欧州の購買姿勢と日本との連携があれば、購買側の立場は大きく変わります。

 いずれにしろ、日米同盟の他に、NATOと日本の繋がりが太くなり、情報を密にし共通認識が持てるようになることは、中露韓の三国の暴挙を正しく知ってもらえることを可能にするもので、願ってもない話です。

 ただ、「集団的自衛権」での双務関係が安全保障の繋がりには不可欠です。米国との間では、実質片務の現状で米国も憲法を制定した手前片務でもお金は取りますが、同盟を保てていますが、NATOとはそうはいかないでしょう。
 太平洋の島嶼国にしても、東アジアの国々にしても、中国の覇権拡大の脅威に対抗する連携強化には、軍事面での連携が求められます。
 憲法議論も必要ですが、現行憲法下での「集団的自衛権」の行使に関する関連法整備が急がれます。



 # 冒頭の画像は、NATOのラスムセン事務総長と安倍首相






 この花の名前は、サルビアファリナセア・フェアリークイーン

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日本が中国の「自治区」になる




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