
中国の2018年の国内総生産(GDP)成長率が6.6%と、天安門事件直後の1990年以来28年ぶりとなる低水準にとどまったのだそうです。
主因は、地方政府の財政再建を本格化させていたところに米国との貿易摩擦が重なったこと。
米中貿易戦争の影響は、顕在化してきているのですね。
対中輸出依存度の高い日本企業にも当然影響が出始めています。
日米二国間交渉の本格化が予定されている日本。どんな年になるのでしょう。
中国経済の減速 成長強化へ構造改革も急務だ : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
中国政府は18年を、構造改革を断行する年と位置づけて、20兆元(約320兆円)とも40兆元ともいわれる地方政府の債務削減を進めるため、地方のインフラ(社会基盤)投資を絞り込んでいたのですね。
中国の成長率は2000年代、8~10%台の高い伸びを示していたが、10年代は下落傾向にあり、低賃金を生かした輸出・投資主導の高成長モデルは、近年の人件費の上昇で限界に近づいているのでした。
痛みを伴う構造改革に取り組み、成長基盤を強化していくことが重要になってきていて、消費主導の安定成長モデルへの転換が急務なのです。
ここまでの実態は、財政出動の牽引力で引っ張ってきた経済成長。
ここへきて、中国の企業債務残高は、GDP比がすでに日本のバブル期を上回っているのだそうで、これ以上インフラ投資や金融緩和を進めれば、地方や国の債務もさらに膨らむことになり、日本が経験したバブル崩壊が現実実を増しているのですね。
しかし、米国との貿易摩擦が本格化した18年後半から事態が急変。株価は大きく値下がりし、人民元相場も乱高下した。新車販売台数が28年ぶりに前年割れするなど、個人消費に急ブレーキがかかったのです。
中国政府は景気下支え策を続々と打ち出さざるを得ず、財務省は、18年に1.3兆元(約20兆円)の滅税を実施したが、19年はこれを上回る規模に拡大。中国人民銀行は今月15日、預金準備率を0.5%引き下げなど、3月の全国人民代表大会に向けて景気対策を出動させています。
しかし、大規模な減税も行政側に徴税と還付の仕組みなどが十分に整っておらず、中国では効果が薄いとされ、預金準備率の引き下げも、中小零細企業まで資金が行き渡らないことから、「結局は即効性が期待できる公共工事頼みになり、政府の借金を積み増す結果になりかねない」のだと。
輸出も国内消費も伸び悩む中国の影響は、輸出企業が使う部品を供給する日本企業、中国の消費市場へ輸出または中国国内で生産する日本企業にとっても伸び悩みに突入します。
米中間の覇権争いは、貿易戦争に留まらず、安全保障などあらゆる分野に広がっています。
そこへ、トランプ大統領の米国第一主義。
日本を含め世界に及ぼす影響は大きいとは衆知のことですが、何処まで拡大するのか。日本や日本国民はどう対処すべきなのか。悩ましい年になりそうですね。
# 冒頭の画像は、中国GDP成長率はわずか1.67%と唱える、人民大学国際通貨研究所理事兼副所長の向松祚(コウ ショウソ)氏
中国人民大学の学者が講演、GDP実質マイナス成長と言及 「データを見てハラハラ」

ケブカワタ

政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。







主因は、地方政府の財政再建を本格化させていたところに米国との貿易摩擦が重なったこと。
米中貿易戦争の影響は、顕在化してきているのですね。
対中輸出依存度の高い日本企業にも当然影響が出始めています。
日米二国間交渉の本格化が予定されている日本。どんな年になるのでしょう。
中国経済の減速 成長強化へ構造改革も急務だ : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
米中摩擦激化で成長減速 中国景気下支え躍起 (1/22 読売朝刊)
中国の2018年の国内総生産(GDP)成長率が6.6%と、天安門事件直後の1990年以来28年ぶりとなる低水準にとどまった。地方政府の財政再建を本格化させていたところに米国との貿易摩擦が重なり、成長鈍化の主因となった。今後は政府の景気下支え策の成否が注目される。 (北京鎌田秀男)
■生産停止
「工場閉鎖を告げられたのは2週間前。最近は残業が制限されて収入が減っていたので、予感はあった」一昨年12月31日、韓国サムスン電子の天津工場の前で、20歳代の男性工員が話した。荷物をワゴン車に積み込み、故郷に帰る支度をしていた。輸出向けのスマートフォンを製造していたこの工場は大みそかで生産をやめ、約2000人が職を失った。
サムスンは、かつて中国の携帯電話市場のシェア(占有率)で約2割を誇った。しかし近年は国内勢に押され、1%前後まで落ち込んでいた。米中貿易摩擦が追い打ちとなり、サムスンは中国からインドやベトナムに工場を移す計画の前倒しを決めた。
■マイナス成長?
中国政府は18年を、構造改革を断行する年と位置づけていた。手始めに、20兆元(約320兆円)とも40兆元ともいわれる地方政府の債務削減を進めるため、地方のインフラ(社会基盤)投資を絞り込んだ。インフラ投資の伸び率は17年の前年比19.0%増から、18年は3.8%増に急減速した。
しかし、米国との貿易摩擦が本格化した18年後半から事態が急変した。株価は大きく値下がりし、人民元相場も乱高下した。新車販売台数が28年ぶりに前年割れするなど、個人消費に急ブレーキがかかった。
「ある重要機関の内部報告によれば、18年の成長率は1.67%。さらにはマイナス成長との試算も出た」
中国の著名な経済学者の講演動画が昨年末、インターネットで拡散した。景気の実態は政府発表よりもはるかに悪い、との疑念が根強いことをうかがわせた。
GDP発表直前の18日に、国家統計局が17年の成長率を下方修正したことも、「18年の数字を押し上げるための操作だ」(エコノミスト)との疑惑孔招いた。
■効果は不透明
中国政府は景気下支え策を続々と打ち出している。
財務省は18年に1.3兆元(約20兆円)の滅税を実施したが、19年はこれを上回る規模に拡大する。中国人民銀行(中央銀行)は今月15日、預金準備率を0.5%引き下げた。人民銀が銀行から強制的に集めている預金を市中に戻す効果がある。25日にもさらに0.5%引き下げて出回るお金を増やし、消費や投資を喚起する。
自動車や家電製品の消費促進策を検討する国家発展改革委員会は15日、「第1四半期(1~3月)に経済が良いスタートを切ることを目指すと宣言した。3月には全国人民代表大会(全人代=国会)の開催も控えており、それまでに景気を立て直しておきたい意向があるからだ。だが、こうした施策の効果は不透明だ。
大規模な減税をしても、行政側に徴税と還付の仕組みなどが十分に整っておらず、中国では効果が薄いとされる。預金準備率の引き下げも、中小零細企業まで資金が行き渡らないとの指摘がある。第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミストは、「結局は即効性が期待できる公共工事頼みになり、政府の借金を積み増す結果になりかねない」と指摘する。
日本企業 影響広がる 業績予想引き下げも
中国経済の成長鈍化の影響は、日本企業にも広がっている。中国との取引が多い日本企業が、業績予想を相次いで引き下げている。
日本電産は17日、2019年3月期連結決算(国際会計基準)の業績予想を、従来の増収増益から減収減益に下方修正した。世界最大の新車市場がある中国で、18年の販売台数が28年ぶりに前年割れとなり、日本電産の主力である車載用モーターが不振だったからだ。永守重信会長は記者会見で「(昨年)11、12月に尋常ではない変化があった。月単位でこれだけ売上高が落ちたのは、46年間の経営経験で初めて」と述べた。さらに中国経済が悪化すれば、「リーマン(ショック)と同じような状態になる」と警戒感を隠さなかった。
「景気の先行指標」とされる工作機械の受注も、設備投資が減る中国向けが影を落とす。日本工作機械工業会によると、18年11月の中国向け受注額は前年同月比67%減の136億円と、9か月続けて前年実績を下回った。鉄鋼業界は、堅調だった中国国内の鉄鋼需要が落ち込むことで、「過剰生産で余った鉄が輸出に回されれば、世界の市況を押し下げる」(日本の大手鉄鋼)と懸念している。
巨大な消費市場の需要減も打撃となる。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、中国はスマートフォンなど電子機器の生産額(18年見込み)が約6800億ドル(約74兆円)と世界全体の過半を占める。ところが電子部品の生産額は2割弱にとどまり、日本などからの輸入に多くを依存している。日本の部品メーカーが深く関わる米アップルのiPhone(アイフォーン)も中国市場の販売不振が深刻だ。楽天証券経済研究所の窪田真之所長は「アイフォーン向けの部品は比較的高い値段で売れるので、日本企業に与える影響は大きい」と指摘する。 (経済部 福島達朗)
--------------------------------
*中国経済減速による日本企業への主な影響
日本電産(電子部品)
売上高予想を前期比2.6%減の1兆4500億円に下方修正(2019年3月期)
安川電機(産業ロボット)
中国での設備投資が冷え込み、19年2月期の業績見通しを下方修正
マツダ(自動車)
18年の中国新車販売台数が昨年比12%減の27万台
象印マホービン(家電)
炊飯器の販売不振などで、18年11月期の売上高が前期比0.9%減の846億円に
--------------------------------
中国の2018年の国内総生産(GDP)成長率が6.6%と、天安門事件直後の1990年以来28年ぶりとなる低水準にとどまった。地方政府の財政再建を本格化させていたところに米国との貿易摩擦が重なり、成長鈍化の主因となった。今後は政府の景気下支え策の成否が注目される。 (北京鎌田秀男)
■生産停止
「工場閉鎖を告げられたのは2週間前。最近は残業が制限されて収入が減っていたので、予感はあった」一昨年12月31日、韓国サムスン電子の天津工場の前で、20歳代の男性工員が話した。荷物をワゴン車に積み込み、故郷に帰る支度をしていた。輸出向けのスマートフォンを製造していたこの工場は大みそかで生産をやめ、約2000人が職を失った。
サムスンは、かつて中国の携帯電話市場のシェア(占有率)で約2割を誇った。しかし近年は国内勢に押され、1%前後まで落ち込んでいた。米中貿易摩擦が追い打ちとなり、サムスンは中国からインドやベトナムに工場を移す計画の前倒しを決めた。
■マイナス成長?
中国政府は18年を、構造改革を断行する年と位置づけていた。手始めに、20兆元(約320兆円)とも40兆元ともいわれる地方政府の債務削減を進めるため、地方のインフラ(社会基盤)投資を絞り込んだ。インフラ投資の伸び率は17年の前年比19.0%増から、18年は3.8%増に急減速した。
しかし、米国との貿易摩擦が本格化した18年後半から事態が急変した。株価は大きく値下がりし、人民元相場も乱高下した。新車販売台数が28年ぶりに前年割れするなど、個人消費に急ブレーキがかかった。
「ある重要機関の内部報告によれば、18年の成長率は1.67%。さらにはマイナス成長との試算も出た」
中国の著名な経済学者の講演動画が昨年末、インターネットで拡散した。景気の実態は政府発表よりもはるかに悪い、との疑念が根強いことをうかがわせた。
GDP発表直前の18日に、国家統計局が17年の成長率を下方修正したことも、「18年の数字を押し上げるための操作だ」(エコノミスト)との疑惑孔招いた。
■効果は不透明
中国政府は景気下支え策を続々と打ち出している。
財務省は18年に1.3兆元(約20兆円)の滅税を実施したが、19年はこれを上回る規模に拡大する。中国人民銀行(中央銀行)は今月15日、預金準備率を0.5%引き下げた。人民銀が銀行から強制的に集めている預金を市中に戻す効果がある。25日にもさらに0.5%引き下げて出回るお金を増やし、消費や投資を喚起する。
自動車や家電製品の消費促進策を検討する国家発展改革委員会は15日、「第1四半期(1~3月)に経済が良いスタートを切ることを目指すと宣言した。3月には全国人民代表大会(全人代=国会)の開催も控えており、それまでに景気を立て直しておきたい意向があるからだ。だが、こうした施策の効果は不透明だ。
大規模な減税をしても、行政側に徴税と還付の仕組みなどが十分に整っておらず、中国では効果が薄いとされる。預金準備率の引き下げも、中小零細企業まで資金が行き渡らないとの指摘がある。第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミストは、「結局は即効性が期待できる公共工事頼みになり、政府の借金を積み増す結果になりかねない」と指摘する。
日本企業 影響広がる 業績予想引き下げも
中国経済の成長鈍化の影響は、日本企業にも広がっている。中国との取引が多い日本企業が、業績予想を相次いで引き下げている。
日本電産は17日、2019年3月期連結決算(国際会計基準)の業績予想を、従来の増収増益から減収減益に下方修正した。世界最大の新車市場がある中国で、18年の販売台数が28年ぶりに前年割れとなり、日本電産の主力である車載用モーターが不振だったからだ。永守重信会長は記者会見で「(昨年)11、12月に尋常ではない変化があった。月単位でこれだけ売上高が落ちたのは、46年間の経営経験で初めて」と述べた。さらに中国経済が悪化すれば、「リーマン(ショック)と同じような状態になる」と警戒感を隠さなかった。
「景気の先行指標」とされる工作機械の受注も、設備投資が減る中国向けが影を落とす。日本工作機械工業会によると、18年11月の中国向け受注額は前年同月比67%減の136億円と、9か月続けて前年実績を下回った。鉄鋼業界は、堅調だった中国国内の鉄鋼需要が落ち込むことで、「過剰生産で余った鉄が輸出に回されれば、世界の市況を押し下げる」(日本の大手鉄鋼)と懸念している。
巨大な消費市場の需要減も打撃となる。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、中国はスマートフォンなど電子機器の生産額(18年見込み)が約6800億ドル(約74兆円)と世界全体の過半を占める。ところが電子部品の生産額は2割弱にとどまり、日本などからの輸入に多くを依存している。日本の部品メーカーが深く関わる米アップルのiPhone(アイフォーン)も中国市場の販売不振が深刻だ。楽天証券経済研究所の窪田真之所長は「アイフォーン向けの部品は比較的高い値段で売れるので、日本企業に与える影響は大きい」と指摘する。 (経済部 福島達朗)
--------------------------------
*中国経済減速による日本企業への主な影響
日本電産(電子部品)
売上高予想を前期比2.6%減の1兆4500億円に下方修正(2019年3月期)
安川電機(産業ロボット)
中国での設備投資が冷え込み、19年2月期の業績見通しを下方修正
マツダ(自動車)
18年の中国新車販売台数が昨年比12%減の27万台
象印マホービン(家電)
炊飯器の販売不振などで、18年11月期の売上高が前期比0.9%減の846億円に
--------------------------------
中国政府は18年を、構造改革を断行する年と位置づけて、20兆元(約320兆円)とも40兆元ともいわれる地方政府の債務削減を進めるため、地方のインフラ(社会基盤)投資を絞り込んでいたのですね。
中国の成長率は2000年代、8~10%台の高い伸びを示していたが、10年代は下落傾向にあり、低賃金を生かした輸出・投資主導の高成長モデルは、近年の人件費の上昇で限界に近づいているのでした。
痛みを伴う構造改革に取り組み、成長基盤を強化していくことが重要になってきていて、消費主導の安定成長モデルへの転換が急務なのです。
ここまでの実態は、財政出動の牽引力で引っ張ってきた経済成長。
ここへきて、中国の企業債務残高は、GDP比がすでに日本のバブル期を上回っているのだそうで、これ以上インフラ投資や金融緩和を進めれば、地方や国の債務もさらに膨らむことになり、日本が経験したバブル崩壊が現実実を増しているのですね。
しかし、米国との貿易摩擦が本格化した18年後半から事態が急変。株価は大きく値下がりし、人民元相場も乱高下した。新車販売台数が28年ぶりに前年割れするなど、個人消費に急ブレーキがかかったのです。
中国政府は景気下支え策を続々と打ち出さざるを得ず、財務省は、18年に1.3兆元(約20兆円)の滅税を実施したが、19年はこれを上回る規模に拡大。中国人民銀行は今月15日、預金準備率を0.5%引き下げなど、3月の全国人民代表大会に向けて景気対策を出動させています。
しかし、大規模な減税も行政側に徴税と還付の仕組みなどが十分に整っておらず、中国では効果が薄いとされ、預金準備率の引き下げも、中小零細企業まで資金が行き渡らないことから、「結局は即効性が期待できる公共工事頼みになり、政府の借金を積み増す結果になりかねない」のだと。
輸出も国内消費も伸び悩む中国の影響は、輸出企業が使う部品を供給する日本企業、中国の消費市場へ輸出または中国国内で生産する日本企業にとっても伸び悩みに突入します。
米中間の覇権争いは、貿易戦争に留まらず、安全保障などあらゆる分野に広がっています。
そこへ、トランプ大統領の米国第一主義。
日本を含め世界に及ぼす影響は大きいとは衆知のことですが、何処まで拡大するのか。日本や日本国民はどう対処すべきなのか。悩ましい年になりそうですね。
# 冒頭の画像は、中国GDP成長率はわずか1.67%と唱える、人民大学国際通貨研究所理事兼副所長の向松祚(コウ ショウソ)氏
中国人民大学の学者が講演、GDP実質マイナス成長と言及 「データを見てハラハラ」

ケブカワタ

政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。



