遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

防衛省の中身

2006-12-17 16:21:44 | my notice
 防衛庁が来年1月に防衛省に昇格することが決まりました。
 覇権を拡大する中国、竹島を武力で不法占拠しつづける韓国、核やミサイル、拉致などのテロ行為の北朝鮮、『帝国シンドローム』状態に陥り始めているロシアといった近隣諸国に接する我が国の近況では、日米安全保障条約に頼り切る国防ではなく、自国を自分の力で衛るためには、国防の政策、軍事力の拡充は国の存亡にかかわる急務ですが、防衛省への昇格がその第一歩として不可欠であり、ようやく1月に実現の運びとなったことは、大歓迎です。
 しかし、長官から大臣になり有頂天の久間長官のテレビの画像を見ていると、防衛省の中身に不安を感じていたのですが、各紙も防衛省のもつ役割と現状について触れています。
 
「防衛省」の中身が重要だ  (12/16 日経朝刊)

<前略>
 新しい革袋に入るべき新しい酒は、政策能力と国際感覚である。単なる自衛隊管理の機能から脱皮し、国際感覚を基礎とする安全保障政策の立案機能の強化が求められる。省昇格に伴って自衛隊の国際協力活動が本来任務とされる点も重要である。文官からなる内部部局はもとより制服組にも国際感覚が要る。
<中略>

 しかし内局、制服組を含め防衛庁の主流にいる人々のなかに国際感覚のあるひとが少ないのも事実である。最大勢力である陸上自衛隊でこの傾向が最も強い。内局も彼らの意向を軽視できず、同じ傾向に陥る。省昇格を機会に体質改善を要する。

 省になる防衛庁に心配がないわけではない。自信過剰傾向である。
 失言が相次ぐ久間章生長官にもそれが当てはまる。久間氏は国会でイラク戦争への政府の対応について「政府として支持すると公式に言ったわけではない。コメントとして首相がマスコミに対して言ったということは聞いている」と答弁した。
 翌日になって「政府として閣議で談話も決めている。そういう意味では公式な見解で、私の認識不足だった」と撤回した。問題の本質は閣議決定を知らなかった点ではない。小泉純一郎首相が記者会見して発表した事実を知りながら、それを公式見解ではない、と考えた点である。

 内外に向けた記者会見の発言が公式見解でなければ何が公式なのか。政治家の言葉はそれほど軽いのか。事務次官の在任期間が4年目に入り、省昇格後も続くとされる点も、他省では最近は例がない。人材の層がそれほど薄いのだろうか。


 久間長官は、10年前に防衛庁長官に就任以来、防衛問題、国防の問題に取り組んで来たとのことで、嬉しさがひとしおなのは理解できますが、10年の間、省になったらどの様な中身にすべきか構想が出来ていなくてはいけませんが、国内の政府組織の中や、諸外国の組織と対等になったとはしゃいでいる風にしか見えません。

 省昇格のポイントは以下です。(12/15 産経朝刊)
 ・防衛庁を防衛省、防衛庁長官を防衛相に変更。
   ・国連平和維持活動(PKO)、周辺事態法に基づく後方地域支援などを自衛隊の付随的任務から本来任務に格上げ。
 ・防衛相は国の防衛に関する重要案件や法案について閣議開催を求めることができる。予算の直接要求も可能。
 ・政府の安全保障会議の諮問事項にPKO活動、周辺事態への対処を追加。
 ・防衛施設庁は平成19年度に廃止し、防衛省に統合。

それと、忘れて貰っては困るのは、従来から持っているメインの国防政策と防衛の軍事管轄です。

 防衛庁内局の文官(背広組)と、自衛隊の武官(制服組)は「水と油」の関係といわれているのだそうですが、省昇格ではしゃいでいるのは背広組で、「やっと他省と横並びになった」「米国防総省と対等に交渉ができる」と手放しで昇格を喜んでいるが、制服組からは「背広組が防衛省昇格にかまけて、予算獲得に身が入っていない」との不満の声も漏れているのだそうです。
 他省のなかでも、とりわけ外務省との軋轢は、これまでも見え隠れしていましたが、対等との気持ちがどれだけ連携を深めた国策にかなう結論を導き出せるか、不安です。
 
防衛省法成立 海外へ組織再編急務 「安保」外務省と主導権争い (12/16 産経朝刊より抜粋)

対等の立場
 北朝鮮核実験後、外務省内では、周辺事態認定を行い、北朝鮮に出入りする船舶の検査に踏み切るべきだとの声が強まった。これに対し防衛庁幹部は「外務省は船舶検査、船舶検査と騒いでいるが、言動に責任を持ってもらいたい。実施官庁はこちらなのだから」と不満を隠さなかった。

 外務省は、日米安全保障条約を所管し、戦後長く安全保障問題で前面に立ってきた。防衛庁が米国防総省との関係を強めたのは、新たな「日米防衛協力のための指針」が平成9年に策定されて以降。久間章生防衛庁長官は国会答弁で、防衛省と外務省との関係を「主従関係ではない。政策官庁として双方が対等な立場で、議論しながらやることになる」と述べた。今後、国際貢献を推進するため自衛隊の海外活動に前向きな外務省と、対等な発言権を求める「防衛省」との主導権争いが激しくなりそうだ。

≪西元徹也元統幕議長≫
 防衛庁が政策官庁の防衛省に変わることの意味は大きいが、真の政策官庁を目指すためには自衛隊の運用や訓練に詳しい自衛官トップの統合幕僚長が事務次官と対等に防衛相を補佐する仕組みを作る必要がある。そのため、文官だけが官房長、局長になれる防衛参事官制度の見直しや、首相補佐官への自衛官の登用を提言したい。

 将来、自衛隊は自衛軍にすべきだ。それには2つの理由がある。1つは給与体系で、現在は国家公務員の一直線に増える体系を採用しているため、専門的な知識、能力を持った准尉、曹長クラスの給料を上げるためには幹部にするしかない。部隊の精強性確保のため、一番能力の高い人たちを現在の階級のまま処遇できる仕組みを作るには軍隊としての給与体系を作る必要がある。もう1つは、防衛法廷のような独自の軍法会議を持つことだ。国家のために任務を遂行している者が自衛のために相手を傷つけたとき、刑事被告人になるというのは計り知れないダメージになる。

 冷戦時代、自衛隊が実際に使われるのは災害派遣など数えるほどしかなかった。だが、そういう位置づけに耐えて錬成をした隊員たちがいたからこそ、平成3年にペルシャ湾に掃海艇を派遣して以来の自衛隊の「行動する時代」に対応できたことを省昇格後も忘れてはならない。(談)


 国内外で昇格で対等になったとのはしゃぎの他には、海外活動が本来業務となることに各紙も、多くの人々の発言も話題が集中しています。
 もちろん国際協力や、グローバルなテロ撲滅に日本もお金だけではなく、行動を伴う参画がこれまで以上に必用ですし、求められます。
 しかし、冒頭に述べた様に、基本は国防です。昇格して、国防について政策のレベルアップや
西元徹也元統幕議長が語っておられるように、単なる国家公務員から、国防に相応しい体系に基づいた人材拡充が必用です。そして、国防に不可欠な軍備の拡充も急務です。
 今朝(12/17)の、読売の社説では、国際活動の「本来任務化」も書いていますが、その前に国防体制について書いてあり、16日まで基本の国防に触れない各紙や人々に暗澹としていたのですが、他社と異なり本筋を論じていて、私一人考えがおかしいのかとおもっていましたが、救われる思いがします。
 
[防衛省昇格]「安保論議の転換点にすべきだ」 (12/17 読売朝刊)

 国民の生命、財産を守る防衛担当の行政機関が、諸外国と同様に「省」となる。
 防衛庁の省昇格関連法が自民、民主、公明3党などの圧倒的多数の賛成により成立した。
 防衛庁が発足して半世紀余、ようやく当たり前のことが実現した。国の守りに従事する自衛官の士気も上がることだろう。省にふさわしい体制へ、脱皮を図らなければならない。

 中国の軍事大国化、北朝鮮の核武装など、日本を取り巻く安全保障の環境は、不透明かつ不安定だ。これにどう対処するかは、死活的に重要である。

 法案審議では、防衛政策の立案能力の強化が一つの論点となった。防衛庁は長期防衛戦略を練るための「戦略企画室」を来年度、防衛政策局に設置する。首相官邸が検討中の日本版NSC(国家安全保障会議)との関係もよく整理しておかなければならないだろう。

 防衛体制は、要員、戦車が北海道に重点配備されるなど、依然として冷戦構造を引きずっている。
 安保環境の変化や国際テロ、弾道ミサイルなど新たな脅威に備えるため、効率化、合理化をさらに進めるべきだ。

 日米同盟強化のための課題も少なくない。在日米軍の再編を着実に進め、日本有事や周辺事態を想定した共同作戦計画を整備しておく必要がある。
 ミサイル防衛(MD)システムの配備前倒しは、北朝鮮の核武装に備えるための喫緊の課題だ。


 懸念材料の多いスタートとなりますが、新たに誕生する防衛省が、国民の命と財産を護る基本活動を、先送り政策の政府の中できちんと政策を提示し、拡充して頂けるよう期待しています。

 安全保障のための、もう一つの至近に推進が必用な米軍再編・普天間移転も、解決の方向へ動き始める気配で、防衛省のおごり等で停滞することなく進むよう注視していきたいものです。
 在日米軍再編、経費70億円を計上へ…07年度予算(読売新聞) - goo ニュース
 沖縄北部振興策、復活へ 普天間協議の進展条件に(朝日新聞) - goo ニュース






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