中国の官制株価バブル崩壊と、人民元下落騒動は、とりあえずは小康状態を保っています。一重に、政府の介入によるコントロールによるものです。
世界同時株安が懸念され、危惧していましたが大事にいたらずなによりでした。
とはいえ、現状で、中国経済の安定化と長期的な持続的成長をもたらすかは、疑問だと指摘する記事がありました。政府の介入の強引さをご存知の方々も、これで従来通りの中国経済の隆盛が戻ると考える方はまれなのではないでしょうか。
記事は、今の中国経済は著しい減速場面にあるとの認識です。その対策として、通常は金融緩和と通貨切り下げが採られるが、習近平政権は、通貨価値の維持・向上政策に拘って通貨の切り下げを放棄することにしたと指摘しています。
確かに、中国は今、人民元のSDR入りを目指していますね。それは、小平時代からの悲願でもあり、達成すれば習近平は中国史上に名を残すことになります。IMFは、今年8月にSDR入りの判断をするところを、来年の9月末まで現状維持とし、元のSDR入りについては、年内に結論を出すと判断を延期しています。SDR入りには、自由相場制に移行が条件と日米は主張していますが、仏、独、英は、「人民元の取引自由化を加速させるためにも、早く採用した方がいい」と主張しているのだそうです。
IMF、人民元のSDR採用の是非について年内にも結論 - 産経ニュース
国際金融のトリレンマに対し、中国当局は、資本取引規制による人民元価格維持と言う政策選択をし、弾力的為替相場とは対極にある反改革と言うべき政策を採ったと、記事は指摘しています。
人民元の価値維持を優先すれば、国内経済に一段と下押し圧力を強めることになり、財政出動への必要性が一段と大きく強まる。金融規制強化と財政支出の増加は資源配分を歪め、経済体質を弱め、過度の通貨高は国内産業の競争力を弱体化させる。通貨価値の維持と財政支出の増大という組み合わせは、悪手と言えると、記事は断言しています。
本来、経済政策は李克強首相が担当のはずでしたが、近年疎外感が強まっています。
習近平主導の経済政策は、失政が多いとの声がよく聞かれる様になりました。記事で、人民元の価値を維持する政策は国際金融にとってはプラスであっても、中国経済にとってはプラスにはならないと指摘しています。SDR入りの為に、元の完全自由相場以降をすれば、党による統制はとれなくなり、党が支配する中国モデルの経済は崩壊することになる可能性は高いとされます。(月刊WILL 11月号 「打つ手が全部裏目 自壊の機は熟した 田村秀夫」)
失速し転換機にさしかかった中国経済。今後も財政出動で高成長率を維持出るのか。自由経済を長所も短所も受け入れて、国際化に移行できるのか。注目の時がきている様ですね。
IMFで、唯一拒否権を持つ米国の姿勢も揺れている様ですが。。
【お金は知っている】習政権が決してあきらめない「人民元国際化」 でもやっていることは真逆… - 産経ニュース
クロスボーダー人民元決済システムが始動 第1期--人民網日本語版--人民日報
この花の名前は、ポピーマロウ・ワインカップ
↓よろしかったら、お願いします。
世界同時株安が懸念され、危惧していましたが大事にいたらずなによりでした。
とはいえ、現状で、中国経済の安定化と長期的な持続的成長をもたらすかは、疑問だと指摘する記事がありました。政府の介入の強引さをご存知の方々も、これで従来通りの中国経済の隆盛が戻ると考える方はまれなのではないでしょうか。
人民元不安鎮静化が年末のリリーフ・ラリーをもたらすか | JBpress(日本ビジネスプレス)
世界経済のアキレス腱が中国であり、中国のアキレス腱が外貨事情と為替動向にあることは、9月以降のレポートで論述した。とすれば、直近の人民元の安定化は、中国と世界経済にとって、一安心できる事柄と言えるだろう。
<中略>
リマで開催されたG20において中国は、人民元下落は中国のファンダメンタルズに合致しない、と主張した。また10月8日、中央銀行は人民元のクロスボーダー決済システム(第一期)を始動させた。同時に急減してきた外貨準備高の減少ペースが鈍化した(外貨準備高減少額は、7月424億ドル、8月939億ドル、9月433億ドルへと縮小している)。
これらは市場に混乱を与えた人民元問題が小康状態の局面に差し掛かったことを示している。当面、中国の外貨事情の悪化から人民元の暴落、世界金融危機に至る悪連鎖は遮断されたと言えるだろう。
これは国際金融市場においてはグッドニュースである。第一に、懸念されていた中国発デフレの輸出が大きく抑制されることになる。著しい過剰能力に悩む中国が輸出価格をダンピングする可能性が小さくなった。第二に、中国からの一気の資本流出、通貨と資産価格下落が国際金融不安を高める可能性もなくなった。
■時間買った中国、資本取引規制で人民元価値を維持
とはいえ、それが中国経済の安定化と長期的な持続的成長をもたらすかは、疑問であろう。
中国経済は著しい減速場面にあり、(1)需要のてこ入れ、(2)資産価格・特に不動産価格の下落回避、(3)輸出競争力回復(通貨安または賃下げによる)、は喫緊の課題である。そのためには、金融緩和と通貨切り下げが通常採用される対策となる。しかし、人民元切り下げが政策オプションから外れたことが一連の政策で明らかになったのである。国家威信に重点を置く習近平政権は、通貨価値の毀損は容認できないのであろう。
人民元の価値を維持する政策は国際金融にとってはプラスであっても、中国経済にとっては、グッドニュースであるとは限らない。それは国際金融のトリレンマ、つまり(1)自由な金融政策、(2)自由な資本移動、(3)為替相場の安定、の3つを同時に満たすことはできない、という仮説によって整理できる。
かつてジョージ・ソロスが英ポンド売りを仕掛け、ポンドのEMS(欧州通貨制度)からの離脱、大幅切り下げを余儀なくさせた(1992年)のも、このトリレンマという仮説に基づく投機であった。自由な資本移動が墨守されている環境下で、イギリスは景気対策の大幅な金融緩和をとるか、通貨価値維持(EMS加盟維持)を取るかの二者択一を迫られ、(ソロスの読み通り)前者を取り、後者を捨てたのである。
■国際金融のトリレンマの縛りは残る
これに対して今の中国は、自由な金融政策(大幅な金融緩和)と自由な為替水準(強い人民元の維持)を取り、かつてイギリスが墨守した資本取引の自由を一段と規制し始めたと読める。それは米国やIMFが求める自由な資本取引に依拠する弾力的為替相場とは対極にある反改革と言うべき政策である。
中国政府と中央銀行は、改革による市場信認回復ではなく、統制強化による市場畏怖の道を選択したと言える。
人民元の価値維持を優先するとすれば、(1)(アジア新興国の中で最高の高賃金国となった)中国の対外競争力は抑制される。(2)また不動産価格維持に必須の金融緩和が、資本流出圧力により相殺される。人民元価値維持の政策は国内経済に一段と下押し圧力を強めるものとなるだろう。
■2016年、中国財政政策の効果が焦点に
かくして中国では財政出動への必要性が一段と大きく強まる。中国経済が財政出動により底割れが回避され、金融緩和への過重の負担が軽減されれば、人民元価値の維持という政策は当面持続し得る。それが困難なら、一段の金融緩和と人民元安圧力が強まることとなる。2016年の最大の焦点の1つは中国の新ポリシーミックスがどう機能するか、にシフトするだろう。
このように、中国当局は、資本取引規制による人民元価格維持という時間を買う政策を打ち出した。この政策が中国経済の安定化と持続的成長をもたらすかどうかは直ちに否定はできないが、疑問である。
論理的には、金融規制強化と財政支出の増加は資源配分を歪め、経済体質を弱める。また、過度の通貨高は国内産業の競争力を弱体化させる。今輪郭を現わしつつある中国の緊急避難策、通貨価値の維持と財政支出の増大という組み合わせは、悪手と言える。
しかし、それは当面の世界の株式市場にとってはグッドニュースと言えるだろう。
世界経済のアキレス腱が中国であり、中国のアキレス腱が外貨事情と為替動向にあることは、9月以降のレポートで論述した。とすれば、直近の人民元の安定化は、中国と世界経済にとって、一安心できる事柄と言えるだろう。
<中略>
リマで開催されたG20において中国は、人民元下落は中国のファンダメンタルズに合致しない、と主張した。また10月8日、中央銀行は人民元のクロスボーダー決済システム(第一期)を始動させた。同時に急減してきた外貨準備高の減少ペースが鈍化した(外貨準備高減少額は、7月424億ドル、8月939億ドル、9月433億ドルへと縮小している)。
これらは市場に混乱を与えた人民元問題が小康状態の局面に差し掛かったことを示している。当面、中国の外貨事情の悪化から人民元の暴落、世界金融危機に至る悪連鎖は遮断されたと言えるだろう。
これは国際金融市場においてはグッドニュースである。第一に、懸念されていた中国発デフレの輸出が大きく抑制されることになる。著しい過剰能力に悩む中国が輸出価格をダンピングする可能性が小さくなった。第二に、中国からの一気の資本流出、通貨と資産価格下落が国際金融不安を高める可能性もなくなった。
■時間買った中国、資本取引規制で人民元価値を維持
とはいえ、それが中国経済の安定化と長期的な持続的成長をもたらすかは、疑問であろう。
中国経済は著しい減速場面にあり、(1)需要のてこ入れ、(2)資産価格・特に不動産価格の下落回避、(3)輸出競争力回復(通貨安または賃下げによる)、は喫緊の課題である。そのためには、金融緩和と通貨切り下げが通常採用される対策となる。しかし、人民元切り下げが政策オプションから外れたことが一連の政策で明らかになったのである。国家威信に重点を置く習近平政権は、通貨価値の毀損は容認できないのであろう。
人民元の価値を維持する政策は国際金融にとってはプラスであっても、中国経済にとっては、グッドニュースであるとは限らない。それは国際金融のトリレンマ、つまり(1)自由な金融政策、(2)自由な資本移動、(3)為替相場の安定、の3つを同時に満たすことはできない、という仮説によって整理できる。
かつてジョージ・ソロスが英ポンド売りを仕掛け、ポンドのEMS(欧州通貨制度)からの離脱、大幅切り下げを余儀なくさせた(1992年)のも、このトリレンマという仮説に基づく投機であった。自由な資本移動が墨守されている環境下で、イギリスは景気対策の大幅な金融緩和をとるか、通貨価値維持(EMS加盟維持)を取るかの二者択一を迫られ、(ソロスの読み通り)前者を取り、後者を捨てたのである。
■国際金融のトリレンマの縛りは残る
これに対して今の中国は、自由な金融政策(大幅な金融緩和)と自由な為替水準(強い人民元の維持)を取り、かつてイギリスが墨守した資本取引の自由を一段と規制し始めたと読める。それは米国やIMFが求める自由な資本取引に依拠する弾力的為替相場とは対極にある反改革と言うべき政策である。
中国政府と中央銀行は、改革による市場信認回復ではなく、統制強化による市場畏怖の道を選択したと言える。
人民元の価値維持を優先するとすれば、(1)(アジア新興国の中で最高の高賃金国となった)中国の対外競争力は抑制される。(2)また不動産価格維持に必須の金融緩和が、資本流出圧力により相殺される。人民元価値維持の政策は国内経済に一段と下押し圧力を強めるものとなるだろう。
■2016年、中国財政政策の効果が焦点に
かくして中国では財政出動への必要性が一段と大きく強まる。中国経済が財政出動により底割れが回避され、金融緩和への過重の負担が軽減されれば、人民元価値の維持という政策は当面持続し得る。それが困難なら、一段の金融緩和と人民元安圧力が強まることとなる。2016年の最大の焦点の1つは中国の新ポリシーミックスがどう機能するか、にシフトするだろう。
このように、中国当局は、資本取引規制による人民元価格維持という時間を買う政策を打ち出した。この政策が中国経済の安定化と持続的成長をもたらすかどうかは直ちに否定はできないが、疑問である。
論理的には、金融規制強化と財政支出の増加は資源配分を歪め、経済体質を弱める。また、過度の通貨高は国内産業の競争力を弱体化させる。今輪郭を現わしつつある中国の緊急避難策、通貨価値の維持と財政支出の増大という組み合わせは、悪手と言える。
しかし、それは当面の世界の株式市場にとってはグッドニュースと言えるだろう。
記事は、今の中国経済は著しい減速場面にあるとの認識です。その対策として、通常は金融緩和と通貨切り下げが採られるが、習近平政権は、通貨価値の維持・向上政策に拘って通貨の切り下げを放棄することにしたと指摘しています。
確かに、中国は今、人民元のSDR入りを目指していますね。それは、小平時代からの悲願でもあり、達成すれば習近平は中国史上に名を残すことになります。IMFは、今年8月にSDR入りの判断をするところを、来年の9月末まで現状維持とし、元のSDR入りについては、年内に結論を出すと判断を延期しています。SDR入りには、自由相場制に移行が条件と日米は主張していますが、仏、独、英は、「人民元の取引自由化を加速させるためにも、早く採用した方がいい」と主張しているのだそうです。
IMF、人民元のSDR採用の是非について年内にも結論 - 産経ニュース
国際金融のトリレンマに対し、中国当局は、資本取引規制による人民元価格維持と言う政策選択をし、弾力的為替相場とは対極にある反改革と言うべき政策を採ったと、記事は指摘しています。
人民元の価値維持を優先すれば、国内経済に一段と下押し圧力を強めることになり、財政出動への必要性が一段と大きく強まる。金融規制強化と財政支出の増加は資源配分を歪め、経済体質を弱め、過度の通貨高は国内産業の競争力を弱体化させる。通貨価値の維持と財政支出の増大という組み合わせは、悪手と言えると、記事は断言しています。
本来、経済政策は李克強首相が担当のはずでしたが、近年疎外感が強まっています。
習近平主導の経済政策は、失政が多いとの声がよく聞かれる様になりました。記事で、人民元の価値を維持する政策は国際金融にとってはプラスであっても、中国経済にとってはプラスにはならないと指摘しています。SDR入りの為に、元の完全自由相場以降をすれば、党による統制はとれなくなり、党が支配する中国モデルの経済は崩壊することになる可能性は高いとされます。(月刊WILL 11月号 「打つ手が全部裏目 自壊の機は熟した 田村秀夫」)
失速し転換機にさしかかった中国経済。今後も財政出動で高成長率を維持出るのか。自由経済を長所も短所も受け入れて、国際化に移行できるのか。注目の時がきている様ですね。
IMFで、唯一拒否権を持つ米国の姿勢も揺れている様ですが。。
【お金は知っている】習政権が決してあきらめない「人民元国際化」 でもやっていることは真逆… - 産経ニュース
クロスボーダー人民元決済システムが始動 第1期--人民網日本語版--人民日報
この花の名前は、ポピーマロウ・ワインカップ
↓よろしかったら、お願いします。