おとうさんのエッセイ 盲導犬の優雅な生活 その2
今日 ニッキーのフィラリアの薬をもらいに動物クリニックへ出かけた。用が済んで 帰ろうとした時 突然 女性のしゃくりあげる声がした。
診察室から待合室に走ってきたので おかあさんは 思わず ニッキーをうしろに
やった。
「何事?」
すると 別の方が 「駄目でしたか。」と声を掛けたので
その女性のペットが 何かの原因で 域を引き取ったばかりだったのが分った。
クリニックに入ったときの雰囲気が 何となくいつもと違っていたのは これだったのか と気付いた。
その女性の叫びにも似た鳴き声で おかあさんは いかに彼女がペットを
かわいがっていたかが想像できた。
帰ってきてからも そのことが頭を離れない。
さて ここからは 昨日の続き。これを読み返していると
夫が いかにニッキーを愛していたかを読み取ることが出来る。
ここから
遅くなりましたが私はニッキーといいます。ラブラドールレッドリバーと
ゴールデンレッドリバーのハーフの女の子です。2005年12月3日生まれですから今は
4歳と9ヶ月です。色はイエローにこげ茶の毛が混じっていて、
自分が言うのも何で
すが 特に目がチャーミングで素敵な美女犬だそうです。体重は27キロです。
お父さんとお母さんが盲導犬協会神奈川訓練センターに入所したのは
2007年12月3日で、私の2歳の誕生日でした。
たった それだけの理由ですが私達は運命的な繋がりが
あるとお父さんとお母さんは考えているようです。
私はお父さんとお母さんの朝の用事の済むのを待ちます。そろそろ良いかなという
頃におもちゃ(ぬいぐるみ、ロープ、ボール、靴下など)をくわえてお母さんに押し付
けます。
お父さんは仕事があるし、何より遊び下手で駄目です。このおもちゃで引っ
張り合いや放り投げたものをエアーキャッチするなどの遊びをします。家の中を走り
回ったりもします。お蔭で家の床は傷だらけです。
昔はいつまでも遊んでとせがんだものですが、4歳になりますと随分変わりました
。いい加減なところで切り上げられるようになりました。随分大人になったねとお父
さんとお母さん は褒めてくれます。 私がお父さんとお母さんの家へ来た
のは2007年の12月25日でした。まるでクリスマスプレゼントです。最初の2
ヶ月位は家の中をうろうろすることもなく、私のベッドにしている敷物の上でじっと
していました。それを見てお父さんとお母さんは「さすが盲導犬!」と感心したもの
でした。でもそれって大きな勘違いです。私は不安と緊張で動けなかっただけなので
す。それが 今では のびのびやっているでしょう。その姿を見て お父さんとお母さんは 「うちの子になったね。」と目を細めています。
盲導犬は10歳で引退します。10歳はまだまだ働ける年齢ですが、
余生をゆっく
り送らせようという 盲導犬協会の配慮です。
老後は引退犬の世話をするボランティアさんの所でお世話になります。
私の家は1階が治療室でお父さんはそこで鍼灸の仕事をしています。私達は普段は
2階で暮らしていますが、患者さんが来ると私はおもちゃをくわえて階段をばたばたと
降りて行き、尻尾を大きく振ってお出迎えします。患者さんは皆さん喜んでくれます。
おもちゃをくわえて見せるのは、それで遊んでとせがんでいるのではありません。ただ、
見せるためです。
レッドリバーは元は水鳥の猟犬で、飼い主が打ち落とした水鳥を泳いで取ってきて
飼い主に差し出したものですから、おもちゃを見せるのは本能なのです。
治療室にもよく入ります。初めのうちは治療室には入れて貰えませんでしたが、
いつの間にか 許されるようになりました。「まあ、可愛い。」「
ニッキー、会いたかったよ。」と撫でてくれる患者さんもいらっしゃいます。そんな時は尻尾をびゅんびゅん
振って私も大サービスします。
おとうさんのエッセイの続きは 又 あした。
昨日まで秋の蝉が鳴いていたけれど 今日は聞こえない。
夜は 青マツムシがうるさく鳴いている。原産地は中国で 明治時代には既に 日本に入ってきていたとのこと。鳴き声がスゴークかんだかくて あたかも 鈴虫のようにリンリン聞こえる。が その音量タルや 鈴虫の何十倍もありそう。
草むらではなく 木の上や 電信柱の高いところで鳴いているのですぐ分る。
おかあさんがその存在に気付いてから もう 23年になる。
それ以来 日本古来の秋の虫の音は昼間聞くようになった。
お母さん達 視覚障害者は聴覚がとても 敏感なので
見える人たちより ずっと みみざわりだと感じているかも知れない。
うるさく泣いていることも気が付かないでいる人もいるので 人間の感性の在り方は面白い。
さて この青松虫の原産地が中国だというのが曲者で 中国との間に問題が発生するたびに 象徴的だなと想う虫だ。
逆に 日本から中国へ渡ったうるさい虫も もしかしているのかなあ。
昨年から 少し 青松虫の数が減って 夜 「窓を開けてもいいかなあ」と想ったけれど やっぱり うるさいなあ。
今日 ニッキーのフィラリアの薬をもらいに動物クリニックへ出かけた。用が済んで 帰ろうとした時 突然 女性のしゃくりあげる声がした。
診察室から待合室に走ってきたので おかあさんは 思わず ニッキーをうしろに
やった。
「何事?」
すると 別の方が 「駄目でしたか。」と声を掛けたので
その女性のペットが 何かの原因で 域を引き取ったばかりだったのが分った。
クリニックに入ったときの雰囲気が 何となくいつもと違っていたのは これだったのか と気付いた。
その女性の叫びにも似た鳴き声で おかあさんは いかに彼女がペットを
かわいがっていたかが想像できた。
帰ってきてからも そのことが頭を離れない。
さて ここからは 昨日の続き。これを読み返していると
夫が いかにニッキーを愛していたかを読み取ることが出来る。
ここから
遅くなりましたが私はニッキーといいます。ラブラドールレッドリバーと
ゴールデンレッドリバーのハーフの女の子です。2005年12月3日生まれですから今は
4歳と9ヶ月です。色はイエローにこげ茶の毛が混じっていて、
自分が言うのも何で
すが 特に目がチャーミングで素敵な美女犬だそうです。体重は27キロです。
お父さんとお母さんが盲導犬協会神奈川訓練センターに入所したのは
2007年12月3日で、私の2歳の誕生日でした。
たった それだけの理由ですが私達は運命的な繋がりが
あるとお父さんとお母さんは考えているようです。
私はお父さんとお母さんの朝の用事の済むのを待ちます。そろそろ良いかなという
頃におもちゃ(ぬいぐるみ、ロープ、ボール、靴下など)をくわえてお母さんに押し付
けます。
お父さんは仕事があるし、何より遊び下手で駄目です。このおもちゃで引っ
張り合いや放り投げたものをエアーキャッチするなどの遊びをします。家の中を走り
回ったりもします。お蔭で家の床は傷だらけです。
昔はいつまでも遊んでとせがんだものですが、4歳になりますと随分変わりました
。いい加減なところで切り上げられるようになりました。随分大人になったねとお父
さんとお母さん は褒めてくれます。 私がお父さんとお母さんの家へ来た
のは2007年の12月25日でした。まるでクリスマスプレゼントです。最初の2
ヶ月位は家の中をうろうろすることもなく、私のベッドにしている敷物の上でじっと
していました。それを見てお父さんとお母さんは「さすが盲導犬!」と感心したもの
でした。でもそれって大きな勘違いです。私は不安と緊張で動けなかっただけなので
す。それが 今では のびのびやっているでしょう。その姿を見て お父さんとお母さんは 「うちの子になったね。」と目を細めています。
盲導犬は10歳で引退します。10歳はまだまだ働ける年齢ですが、
余生をゆっく
り送らせようという 盲導犬協会の配慮です。
老後は引退犬の世話をするボランティアさんの所でお世話になります。
私の家は1階が治療室でお父さんはそこで鍼灸の仕事をしています。私達は普段は
2階で暮らしていますが、患者さんが来ると私はおもちゃをくわえて階段をばたばたと
降りて行き、尻尾を大きく振ってお出迎えします。患者さんは皆さん喜んでくれます。
おもちゃをくわえて見せるのは、それで遊んでとせがんでいるのではありません。ただ、
見せるためです。
レッドリバーは元は水鳥の猟犬で、飼い主が打ち落とした水鳥を泳いで取ってきて
飼い主に差し出したものですから、おもちゃを見せるのは本能なのです。
治療室にもよく入ります。初めのうちは治療室には入れて貰えませんでしたが、
いつの間にか 許されるようになりました。「まあ、可愛い。」「
ニッキー、会いたかったよ。」と撫でてくれる患者さんもいらっしゃいます。そんな時は尻尾をびゅんびゅん
振って私も大サービスします。
おとうさんのエッセイの続きは 又 あした。
昨日まで秋の蝉が鳴いていたけれど 今日は聞こえない。
夜は 青マツムシがうるさく鳴いている。原産地は中国で 明治時代には既に 日本に入ってきていたとのこと。鳴き声がスゴークかんだかくて あたかも 鈴虫のようにリンリン聞こえる。が その音量タルや 鈴虫の何十倍もありそう。
草むらではなく 木の上や 電信柱の高いところで鳴いているのですぐ分る。
おかあさんがその存在に気付いてから もう 23年になる。
それ以来 日本古来の秋の虫の音は昼間聞くようになった。
お母さん達 視覚障害者は聴覚がとても 敏感なので
見える人たちより ずっと みみざわりだと感じているかも知れない。
うるさく泣いていることも気が付かないでいる人もいるので 人間の感性の在り方は面白い。
さて この青松虫の原産地が中国だというのが曲者で 中国との間に問題が発生するたびに 象徴的だなと想う虫だ。
逆に 日本から中国へ渡ったうるさい虫も もしかしているのかなあ。
昨年から 少し 青松虫の数が減って 夜 「窓を開けてもいいかなあ」と想ったけれど やっぱり うるさいなあ。