ニッキ-通信 ~盲導犬ニッキ-のお母さんより~

盲導犬ニッキ-と私の日常。要援護者・障害者の防災について紹介します。

ニッキーの優雅な生活 その1 おとうさんの遺稿より

2012年09月16日 | 日記
おとうさんのエッセイ ニッキーの優雅な生活 その1

2年前に ニッキーのおとうさんが俳句の句誌に載せたエッセイです。
数回にわたって おかあさんのブログに登場させます。
ニッキーの日常がよく分ります。

ここからです。

盲導犬ニッキーの優雅な生活   その1

がさごそと物音がする。リビングの片隅の肘掛け椅子で丸くなって寝ていた私は、
あの音はお父さんだと思いながら片目を開けて時計を見る。まだ5時半だ。どうせ声
がかかるのだからもう少しまどろみを楽しむことにする。
 「ニッキー カム。」とお父さんの声がする。時計は6時過ぎを指している。「そ
ら 来た。」と私は肘掛け椅子を飛び降りてお父さんの所へ行く。お父さんは「シッ
ト。ウエイト。」と掛け声を掛ける。私はよだれを飲み込む。お父さんは食器を指差して
「オーケー」と食べる許可を出す。私はぺちゃぺちゃと一気呵成に朝ごはんを食べる
。この前計ったら食事の時間は4分でした。
 食事は朝晩の2回で、ドッグフード130グラムに水600ccを掛けそこにカス
ピ海ヨーグルトを少しのせたものです。お母さんは優しいのでりんごやバナナを 
ひと切れ
 おやつにくれます。
 朝ごはんが終わるとトイレタイムです。お父さんが「ニッキー カム」と声を掛け
ると、私はお父さんの前にお知りを向けて立ちます。トイレは外でしますが、
垂れ流しではありません。お父さんは、背側と腹側にフックの付いたベルトを私の腰に
回します。そして小さなレジ袋の持ち手をフックに掛けてレジ袋でお尻を包むように
しま
す。そうするとお尻の所にレジ袋の口が当たり、袋の中におしっこやうんこが落ちる
仕掛けです。上手く考えたでしょう。これを ワンツウベルトと読んでいます。
 トイレを失敗したことはほとんどありません。やりたい時は素振りで教えます。そ
うしたらお父さんかお母さんが外へ連れ出してくれます。
 トイレを済ませても絶対にそのままでは家に上がりません。上がりがまちの前で足を
拭いて貰うのを待ちます。
 お父さんとお母さんの朝食はそれからですが、私は肘掛け椅子の上で丸くなってい
ます。家でもレストランでも欲しがる素振りは絶対に見せません。じっとしています

 でも、実は、告白しますが私も欲望には弱くて、誰もいなくなった隙にテーブルの
上の物を食べたことが何回かあります。
 調理台の上のボールに入っていた挽肉300グラムをペロリと食べた時はそのあま
りの美味しさにうっとりしました。暫くの間は夢見心地でした。肉というものを初め
て食べたのですから。
でもその後がつらかったです。ひどいい下痢になってしまい、暫く
食事の量を減らされました。麻婆豆腐を食べた時は、下痢もしましたが喉が渇いて水を
たくさん飲みました。
 こうした盗み食いをしてもお父さんとお母さんは怒りません。盗み食いができる状
況に置いた自分たちが悪いということで、食事の間はリードは部屋の片隅のフックに
掛けられることになりました。
 レストランではテーブルの下で横になっていますから、帰る時に初めて私に気が付
いて、「あら、盲導犬がいたのね。」とお客さんは驚かれます。
 補助犬法というものがあって、レストランやホテルなど公共の施設は盲導犬を拒否
できません。

今日はここまでです。
 今  世界の あちらこちらで大きな問題が起こっています。しかし 私達はそれを憂えることしか出来ません。
暫くは閉塞上体が続くでしょう。
もっと 心して生きなければいけないようです。