ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

ひとつ曲がり角 ひとつ間違えて ルート225見失ったよ。

2007-02-16 | 映画
ルート225

少年ドラマ・ティストの、不思議な味わいのファンタジー。

14歳のエリ子はママの暗黙の命令で、帰りの遅い弟ダイゴを探しに出かける。帰りが遅い日のダイゴは国道255号線の向こう、児童公園のブランコにいるのだ。案の定、上半身ランニング裸のダイゴはブランコにブラブラ乗っかっていた。ワイシャツの背中に、イジメっ子の洗礼を受けて腐っていたのだ。エリ子が広げて見せるように促したそのワイシャツには「ダイオキシン8倍!」とマジックで書きなぐられていた。

ふたり連れだって家路を急いだ。何がどうなったのか、ひとつ曲がり角を曲がると、そこに見えるはずの国道225号線がなく、波が打ち寄せる砂浜の海岸が見える。それは絶対にありえない光景のはずだった。いったい、どこをどうやったらそんなことが起こりうるのか。電柱の住所表示には門構えに@マークが書かれており、なんと読むかさえわからない。

気を取り直して、ここはという住宅街を歩く。そこでエリ子に話しかけた少女を見てダイゴは立ち尽くしてしまった。クマノイさん! 彼女は小学校5年の時に交通事故で亡くなったはずなのだ。

何とかウチにたどりついたふたり。しかし、ウチには母はいず、どこか微細なところで様子が違う。テレビで観戦した巨人戦では、ダイゴの好きな高橋由伸選手が少し太っているのだ。

Aの世界から、ありえないBの世界を通り過ぎてきたせいで、「高橋由伸選手が少し太っている」程度に違っているA’の世界にふたりは来てしまったのだ!

しかも最悪なことに、この世界の両親はなぜか行方不明。ダイゴの持つ高橋由伸選手のテレカで架ける電話だけがもとの世界に通じているけれども、その残り度数ももはやあと2度!

エリ子の友達マッチョに事の次第を話したところ、彼の口から「帰還のヒント」が出た。「神社の階段からふたりで転げ落ちる」こと。そう、それは文字通りの意味ではない。映画「転校生」のように、発端を繰り返せ、ということである……。

良質なジュブナイル映画。何も特別なエフェクトとかはなされていないが、結末までほろリと貰い泣きしそうなくすぐったさと切なさが味わえる。

お勧め作品。

*√225=15 ……わたしは15歳になった。この独白は胸に迫ったな。*

*どうもいけない。間違えて「ルート255」と打っていたよ。*