大判カメラ日記。

ワイズクリエイト オフィス・木戸嘉一のブログです。

フジノンT400mm用ヘリコイド調整。

2010年12月23日 | カメラ機材
皆様よくカメラの「無限遠撮影」と聞くことがあると思いますが、この無限とはカメラからどの位離れたところを無限(∞マークで表示)と思いますか?コンパクトカメラや一眼レフ等では10~30m先に∞マークが表示されているから「50~100m位」、「いや300mと聞いた」など幾つかの答えが返ってきますが、大判カメラではもっとシビアな数字が要求されるのです。実はこのブログでも何回か紹介している航空写真を撮影されているお客さんから「300mに無限調整して航空撮影しても近い場所と遠い場所が被写界深度に入っていない場合がある」と聞いています。特に望遠タイプのレンズで撮影した場合それが如実に現れます。航空写真家の芥川善行さんのオリジナル航空カメラ・エアロアクタスは標準に近いレンズでもヘリコイドに「100m 200m 300m ∞」の表示がされ、空を飛びながらこれを調整しながら撮影します。今回ワイズではフジノン400mm用のヘリコイドマウントを1個作りし、この調整にかかりました。通常撮影ならばピントガラス上でピント確認をすれば問題はないのですが、ピントガラスの確認の出来ない航空撮影は目測によるヘリコイドピント調整になります。まず比較的遠くを見渡せる場所を東大構内に想定し、グーグルで地図をダウンロード、「∞ 500m 300m 200m」等の目標となる建築物が確認できそうな場所を探した結果、東大御殿下の高台に決定。ヘリコイド付きT400mmをセットしたリンホフを構える。遠く見える東京スカイツリーに無限遠を合わせレンズを固定。ヘリコイドを回しながら次に池之端に建つ高層マンションを500mに設定。東大病院の奥の建物を300m設定と言う様な具合に次々とヘリコイド指標調整。完成したのが写真のヘリコイド付きフジノンT400mmです。無限遠から100mまでにこれだけヘリコイドの動きが必要です。航空写真撮影は勿論大判カメラ撮影はとても奥が深いのです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿