プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

原因究明から程遠い「政府事故調」報告書

2012-07-24 14:41:22 | 日記
 菅総理が、自らを「被告」とまで言って設置された「政府事故調査・検証委員会」の最終報告書は、「フクシマ原発人災事故」の原因究明どころか、当初から言われていた通り、事故の責任の所在を曖昧にしたまま、時間と労力と国家の予算を無駄にしただけで終わった感があります。勿論、一番大切な現場検証ができない以上、実質的に推測するしかないというのが、原発事故の現実ではありますが、せめて「再現実験」だけはするべきでした。しかし同報告書では、「時間的、陣容的にできなかった」とのコメントを残して再現実験を放棄してしまっています。では何故、最初から同実験を行なうだけの人選し、(十分にあった)時間を要して、現場検証に代わる、次善の手段である再現実験に注力しなかったのでしょうか?・・・

 元々、同「事故調」には何の期待も持っていませんでしたので(愚痴はこのぐらいにしておきまして)、せめて報告書から分かったことを挙げておきたいと思います。

 第1に「報告書」は、公表すべき資料やデータがまだ残されていると指摘しています。それを出させなければ、解明できる部分も依然として闇の中ですから、(国勢調査のある)国会事故調も同様、東電を国有化した政府が、東電から殆どなんら新しいデータや資料を引き出せないという事実が、全てを物語っているということです。

 第2に、外部被曝の(しかも内部被曝を防ぐ為にも重要だった)スクリーニングに関して、基準値である1万3千cpmが、事故から2日後に約8倍の10万cpmに引き上げられたのは、「福井大や広島大、放射線医学総合研究所の専門家から、基準を10万cpmに引き上げるべきだという意見が出された」からだそうです。まさに、避難のドサクサに紛れて、住民の被曝を拡大させる「犯罪的」行為です。また報告書は、住民が被曝の真っ只中にいるなか、「厚生労働省の職員が、3月21日まで現地対策本部に参集しなかった問題」を指摘していますが、これもまた、被曝を恐れて現地に意図的に遅れて入っていったという、住民の被曝を防ぐという「職務」を放棄したとも取れるサボタージュです。(参照・引用は『朝日新聞』)

 第3に、原発での作業員の被曝線量限度が、100mSvから250mSvに(やはり犯罪的に)引き上げられた(3月14日の)3日後、さらに被曝限度を2倍の500mSvに上げるよう(当時の)細野首相補佐官が検討していたが、防衛大臣、国家公安委員長らの反対で見送られたそうです。これは、原発作業員の為というよりも(むしろ、500mSvに上げて、原発労働者を使いたかったのでしょが)、ヘリからの散水等に従事していた自衛隊員や或いは警察官の健康と生命に鑑み、取り止めたと思われます。勿論、自衛隊員や警察官の健康と生命は何物よりも大切です。しかし、そこに、原発労働者に対しては感じられない、非常に恣意的な、差別的なものを感じるのです。正直、自衛隊や警察が行かないならば、被曝限度は500mSvに上がっていたと思われるのです。

 また被曝管理に関しては、実は「事故直後から、東電柏崎刈葉原発や四国電力から、(ポケット線量計の)APD約1,000台が届いていた」というのです。しかし東電は、この1,000台のAPDを配ることなく、法令で義務付けされているAPD装着をさせませんでした。APDがない、足らないというのは嘘だったのです。これもまた、意図的な被曝線量を改竄する為の手口だったということです。

 最後に、(これまでも報道されてはいましたが)避難の搬送、及び搬送直後、或いは搬送の遅れから、19人の方が亡くなったことです。(詳細は新聞等をお読み下さい)ご高齢の方や、重病人の方が、搬送により15人、搬送を待つまでに4人、計19名亡くなられたのです。また昨年の3月末までで、亡くなった患者さん40名、施設への入所者で10名、合計50名の方がお亡くなりになっています。こうした緊急時の搬送や連絡のあり方を含めた、避難の検証が必要だと思います。原発事故がなければ、殆どの方がご存命だったと思います。今は只、ご冥福をお祈りするばかりです・・・

P.S. 政府事故調報告書は、「揺れで0.3平方cm以下の小さな破断ができ、その後、原子炉が高温高圧になって穴を広げ、放射性物質が漏れた可能性は否定できない」としていますが、重要機器の地震による損傷を否定しました。データ分析から、そう結論付けたのでしょうが、全てのデータが出てきておらず、また現場検証も、再現実験もない今、重要機器の地震による損傷を否定する「根拠」こそ何もない、と思うのです・・・

P.S.2 北海道では、宗派を超えた「宗教者の会」が、昨年に続いて避難家族、子どもたちを1週間ほど受け入れて、滞在してもらうそうです。「短期間でも遠隔地で保養することは、子どもの体から放射性物質を減らし、親子の精神的な負担を和らげる効果がある」との思いから支援をされているそうです。また、私も随分とお世話になっているMさんが、今日から2週間、福島から県外に親子で避難されている方を受け入れられます。今日は交流会があり、私も参加させて頂くことになりました。私にできるのは、お話を聞ききすることぐらいのことですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年7月24日)