（韓国大手新聞、朝鮮日報 10.7.5記事抜粋）
医師免許なしに整形外科を開業、あるいは整形手術をした無免許整形業者と、彼らに免許を貸した医師らが、ソウル地方警察庁広域捜査隊に一斉に摘発された。 摘発された整形外科は3カ所で、元看護助手が「名目上の院長」を置いて自ら手術を手掛けていた病院のほか、医師は仕事をせず、代わりに偽の医者に施術をさせていた病院もあった。「整形大国」韓国でなぜこのようなことが起こったのだろうか。 皮膚整形分野の隠れた実力者として通っていたシン容疑者（53）は、もともと平凡な主婦だった。02年、肌の美容について学べば大儲けできると聞き、中国・瀋陽の美容学校で1週間教育を受けたことが、同容疑者の知っているすべてだった。 シン容疑者は韓国に戻り、医療業者に変身した。「ニセモノ」だったが、手技に優れていたため、ソウル市陽川区一帯の美容室や化粧品販売員らの間で「医者よりもいい」とうわさが広まった。コラーゲンを注入し、しわを取るのを最も得意としていた。
05年、京畿道富川市の整形外科がシン容疑者を呼びよせた。無免許だったが、「業界の第一人者」という名声に引かれたものだった。病院は患者らに対し、「特別招聘医師が来る」として宣伝した。シン容疑者は、優雅に白衣を着て登場した。 病院長のパク容疑者は名門大の出身だったが、経営が思わしくなかったため、シン容疑者を迎えて施術を数回まかせた。自信を持ったシン容疑者は08年、大胆にもソウル市陽川区新月洞の自宅マンションのリビングで「開業」した。 手術用ベッドやレーザー、注射器などの道具を並べると、患者が押し寄せた。初めは同区木洞や仁川市、富川市に住む以前からなじみの客が来ていたが、口コミでうわさが広まるにつれ、ソウル・江東地区や京畿道高陽市からも患者が訪れたという。 警察の捜査の結果、シン容疑者が自分の得意とするコラーゲン施術に使用した材料は潤滑材やガラス容器の表面をコーティングする際に使用する工業用シリコンだった。一歩間違えると、肌がきれいになるどころか、腐ったり、穴が開いたりする可能性がある物質だった。
一般的にコラーゲン注射は、1回20万ウォン（約1万4500円）から30万ウォン（約2万1700円）程度だが、シン容疑者は価格を大幅に引き下げていた。1瓶50万ウォン（約3万6100円）の工業用シリコンで、100本分以上の偽コラーゲン注射を作っていたからだ。 シン容疑者の往診施術を受けた京畿道平沢市の家庭では大変なことが起きた。家族5人を対象にしわの除去施術を行ったところ、60代男性に深刻な副作用が発生した。このようなことが起きても気に留めず、シン容疑者は患者600人を相手に、無免許医療行為を行い、少なくとも5億ウォン（約3600万円）の不当利益を得たという。
一方、今年38歳のキム容疑者は、産婦人科の看護助手だった。たびたび患者に肌の手入れをしていたところ、医療事故が起きたのを機に、病院を後にした。「才能がある」といわれていたキム容疑者は、そのまま京畿道富川市の中心街に整形外科を開業した。 医師免許が必要だったため、インターネットサイトで「院長」を募集した。現役を退いたK容疑者（72）が、月700万ウォン（約50万6000円）を受け取るという条件で院長を引き受けた。手術用メスに触らなくなってから10年が過ぎていたが、「名ばかりの院長」のため、それは重要ではなかった。 すべての相談と施術はキム容疑者が行った。あごを削ったり脂肪を取ったりするような複雑な施術を要する患者は、ほかの病院に送り、染みやそばかすを取り、ほくろを除去するような患者だけを引き受けた。しかし、この「特化」戦略が大当たりだった。
「染みの除去が最高」という褒め言葉や、「気さくで親切な若い女医」という評判で、患者が押し寄せた。ほかの病院では取れない染みも、この病院では一度で取ることができるといううわさが流れた。看護師も3人まで増えた。 キム容疑者は、月給を払うのが惜しい院長を頻繁に変えた。K院長は3カ月で追い出され、P容疑者、S容疑者などを、免許を貸してくれる「名目上の院長」として新たに迎えた。P容疑者とS容疑者は、それぞれ産婦人科と泌尿器科が専門で、キム容疑者の病院で休憩していくのが主な業務だったという。 キム容疑者は09年末、開業から1年余りで病院を閉めた。患者が押し寄せると、これをねたむ人たちから「違法だ」といううわさが流れたからだという。
陽川区と仁川市、富川市で三つの病院を経営していた元看護士のソ容疑者（56）も、キム容疑者に劣らない。ソ容疑者は勤務医を雇い、整形外科専門医には2000万ウォン（約144万円）、一般の医師には1000万ウォン（約72万円）の月給を渡した。警察は「競争から押し出された医師らが、違法であることを知りながら金を受け取り、免許を貸している」と話している。
医師免許なしに整形外科を開業、あるいは整形手術をした無免許整形業者と、彼らに免許を貸した医師らが、ソウル地方警察庁広域捜査隊に一斉に摘発された。 摘発された整形外科は3カ所で、元看護助手が「名目上の院長」を置いて自ら手術を手掛けていた病院のほか、医師は仕事をせず、代わりに偽の医者に施術をさせていた病院もあった。「整形大国」韓国でなぜこのようなことが起こったのだろうか。 皮膚整形分野の隠れた実力者として通っていたシン容疑者（53）は、もともと平凡な主婦だった。02年、肌の美容について学べば大儲けできると聞き、中国・瀋陽の美容学校で1週間教育を受けたことが、同容疑者の知っているすべてだった。 シン容疑者は韓国に戻り、医療業者に変身した。「ニセモノ」だったが、手技に優れていたため、ソウル市陽川区一帯の美容室や化粧品販売員らの間で「医者よりもいい」とうわさが広まった。コラーゲンを注入し、しわを取るのを最も得意としていた。
05年、京畿道富川市の整形外科がシン容疑者を呼びよせた。無免許だったが、「業界の第一人者」という名声に引かれたものだった。病院は患者らに対し、「特別招聘医師が来る」として宣伝した。シン容疑者は、優雅に白衣を着て登場した。 病院長のパク容疑者は名門大の出身だったが、経営が思わしくなかったため、シン容疑者を迎えて施術を数回まかせた。自信を持ったシン容疑者は08年、大胆にもソウル市陽川区新月洞の自宅マンションのリビングで「開業」した。 手術用ベッドやレーザー、注射器などの道具を並べると、患者が押し寄せた。初めは同区木洞や仁川市、富川市に住む以前からなじみの客が来ていたが、口コミでうわさが広まるにつれ、ソウル・江東地区や京畿道高陽市からも患者が訪れたという。 警察の捜査の結果、シン容疑者が自分の得意とするコラーゲン施術に使用した材料は潤滑材やガラス容器の表面をコーティングする際に使用する工業用シリコンだった。一歩間違えると、肌がきれいになるどころか、腐ったり、穴が開いたりする可能性がある物質だった。
一般的にコラーゲン注射は、1回20万ウォン（約1万4500円）から30万ウォン（約2万1700円）程度だが、シン容疑者は価格を大幅に引き下げていた。1瓶50万ウォン（約3万6100円）の工業用シリコンで、100本分以上の偽コラーゲン注射を作っていたからだ。 シン容疑者の往診施術を受けた京畿道平沢市の家庭では大変なことが起きた。家族5人を対象にしわの除去施術を行ったところ、60代男性に深刻な副作用が発生した。このようなことが起きても気に留めず、シン容疑者は患者600人を相手に、無免許医療行為を行い、少なくとも5億ウォン（約3600万円）の不当利益を得たという。
一方、今年38歳のキム容疑者は、産婦人科の看護助手だった。たびたび患者に肌の手入れをしていたところ、医療事故が起きたのを機に、病院を後にした。「才能がある」といわれていたキム容疑者は、そのまま京畿道富川市の中心街に整形外科を開業した。 医師免許が必要だったため、インターネットサイトで「院長」を募集した。現役を退いたK容疑者（72）が、月700万ウォン（約50万6000円）を受け取るという条件で院長を引き受けた。手術用メスに触らなくなってから10年が過ぎていたが、「名ばかりの院長」のため、それは重要ではなかった。 すべての相談と施術はキム容疑者が行った。あごを削ったり脂肪を取ったりするような複雑な施術を要する患者は、ほかの病院に送り、染みやそばかすを取り、ほくろを除去するような患者だけを引き受けた。しかし、この「特化」戦略が大当たりだった。
「染みの除去が最高」という褒め言葉や、「気さくで親切な若い女医」という評判で、患者が押し寄せた。ほかの病院では取れない染みも、この病院では一度で取ることができるといううわさが流れた。看護師も3人まで増えた。 キム容疑者は、月給を払うのが惜しい院長を頻繁に変えた。K院長は3カ月で追い出され、P容疑者、S容疑者などを、免許を貸してくれる「名目上の院長」として新たに迎えた。P容疑者とS容疑者は、それぞれ産婦人科と泌尿器科が専門で、キム容疑者の病院で休憩していくのが主な業務だったという。 キム容疑者は09年末、開業から1年余りで病院を閉めた。患者が押し寄せると、これをねたむ人たちから「違法だ」といううわさが流れたからだという。
陽川区と仁川市、富川市で三つの病院を経営していた元看護士のソ容疑者（56）も、キム容疑者に劣らない。ソ容疑者は勤務医を雇い、整形外科専門医には2000万ウォン（約144万円）、一般の医師には1000万ウォン（約72万円）の月給を渡した。警察は「競争から押し出された医師らが、違法であることを知りながら金を受け取り、免許を貸している」と話している。
