Praise the Lord!

聖書のことばを通して、生活の中で示されたことやインスピレーションが与えられたことをつらつらと書き記しています。

即位の礼と政教分離をどう考えるか

2019年10月26日 | 日記
 10月22日に新天皇の即位の礼が行われました。ある日本のキリスト教信者の方々とグループは、「大嘗祭」 を「皇室神道に基づく宗教的儀式」とみなして、これに公金を支出することは政教分離原則を空文化 し、また信仰の自由を脅かす憲法違反(憲法20条、憲法89条)として、反対の声明文を出しているそうです。以前、皇室内(秋篠宮様)からもこの件について異論が唱えられたのは、耳に新しいと思います。過去、平成の即位の礼の時、クリスチャンだけではなく、外国籍者を含めた約1700人の納税者が大阪地方裁判所に、「税金を、憲法違反の即位の礼・大嘗祭に使うべきでない」と訴訟を起こしたということもありました(即位礼・大嘗祭国費支出差止等請求事件)。

 私は、クリスチャンとしてこの議論についてもし他者から意見を求められたら、この聖書の箇所「すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。 」を引用し、自分の意見を信仰に基づき表明するつもりです。つまり、「上に立つ権威」とは全ての政府のことも含み、それらが聖書の神様によって権威が立てられているので、たとえその政治家が悪い者であっても逆らわないということです。「したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる。 」*1と続いて書かれてあります。しかし、この聖書の教えは、悪政や酷いことをする者たちを神が認可しているという意味ではありません。なぜなら、神様は正義と平和、愛の神であるからです。そして、悪い者が悔い改めない限り、いつか神がその者裁かれるので、私達が復讐をしなくても、また自身が他者により不利益を被り、悔しい思いをしようとも、全て神に委ねると聖書に書かれているからです。*2

 神であるイエス・キリストが、人となられ2千年前にイスラエルの国で宣教活動をされていた時、当時のローマ帝国の圧政下にありました。その政府に対して彼は何をしたか、またどう対応するように弟子たちに教えたか?そして、弟子たちがイエスの福音をローマ帝国内に宣教し、クリスチャンは増え、皇帝崇拝をしないと激しい迫害に会いましたが、その時、彼らは政府と戦ったでしょうか?信仰の自由を訴えて訴訟を起こし、デモ活動や武力行使をしたでしょうか?いえ、しませんでした。なぜなら、イエスの教えは「しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 」*3であり、イエスご自身も、何の罪ないのに逮捕され、不当な裁判に架けられて十字架刑に処せられましたが、一言も無罪を訴えて戦うことをされませんでした。

 一方、キリストを信じる信仰を捨てなさいという命令、また人を殺したり、盗んだリ等の教えに反する違法行為の命令を上からされたら、もちろん断ります。それが出来なければその属している組織を去るしかないでしょう。この「上に立つ権威に従う」とは、キリストを信じる信仰が大前提であるので、そのキリストの教えを破るように命令されたら拒否すべきです。ただ、自分の権利を主張して裁判に訴えたり、政治的行動にでたり、ましてや武力にはでません。イエス様は「あなたの剣をもとの所におさめなさい。剣をとる者はみな、剣で滅びる。 」と言われ、イエスを守ろうとして剣で戦おうとした弟子を止めたからです*4。もちろん、正義のために政治活動をしている人を批判するつもりはありません。「私」は聖書のことばに従い、またイエスの教えに忠実に従った初代の使徒やクリスチャンたちの態度を可能な限り踏襲していきたいと思うのです。

 もし政府から「信仰を捨てなければ殺す」と言われたら、逃げるか、隠れるか、見っかったら踏み絵を踏んでしまうかもしれない、私はそんな弱い者です。その時になったらどうなるかわかりません。しかし、神様を信じて行動したいと思います。いずれにしても、この世にいる限りキリストを信じる者は迫害されると予めイエスは言われていますし、どの時代であれ、どの国に置かれようとも、いつでも神を信じる者に対しての環境は厳しいものです。しかし、同時にイエスの力強い励ましのことばがその予告の後に続くので、それが「その時」がきたら私の恐れを取り除いてくれると信じます。「これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」。 *5 宗教的迫害だけでなく、人生のどんな困難な局面にあっても、キリストが与える平安さえ心にあれば、キリストがすでに勝利しているので、私もキリストにあって悪から守られ、「自分の敵」に対して祈れる者になれるよう、「善を持って悪に勝つこと」*6ができるよう、神様の力で助けて頂きたいと願います。


「すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。 」ローマ人への手紙13章1節


*1 ローマ人への手紙13章2節
*2 ローマ人への手紙12章18-21節 「あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい。愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。むしろ、「もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである」。悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。」
*3 マタイによる福音書5章44節
*4 マタイによる福音書26章51-52節
*5 ヨハネによる福音書16章33節
*6 ローマ人への手紙12章21節