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弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログです。

日弁連サテライト研修「労働者による残業代請求と使用側の対応」

2011-07-14 | 日記
7月21日(木)13:00~,クレオ及び全国の会場で,弁護士向けに,日弁連サテライト研修「労働者による残業代請求と使用側の対応」が開催されることになっています。
既に467人からの受講申込みがあったとの連絡が入っており,受講者数が相当,多くなりそうです。
当日は,私が総合司会を務めることになっているのですが,緊張することになりそうです。

弁護士 藤田 進太郎

賃金からの社宅費用の控除

2011-07-14 | 日記
Q136 賃金から社宅の費用を控除することはできますか?

 賃金は,その全額を支払わなければならないのが原則ですので(労基法24条1項本文),社宅の費用を賃金から控除することが直ちに認められるわけではありません。
 労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者(過半数組合がない場合)との間で賃金控除協定(労基法24条1項但書)を締結し,就業規則等に賃金から社宅の費用を控除し得る旨を定めて労働契約の内容とした上で,社宅の費用を賃金から控除するのが原則的な対処方法となります。

 労働者がその自由な意思に基づき,使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することに同意した場合においては,当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは,当該同意を得てした相殺は労基法24条1項本文に違反するものとはいえないとするのが日新製鋼事件最高裁第二小法廷平成2年11月26日判決ですので,かかる最高裁判決の趣旨からすれば,労働者が自由な意思に基づいて賃金控除(相殺)に同意したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することを使用者が立証できた場合には,賃金控除協定が締結されていない場合であっても,使用者が労働者に対して有する社宅費用請求権と労働者の賃金債権との相殺ないしは賃金からの社宅費用の控除が認められると考えることができるものと思われます。
 しかし,賃金控除協定が締結されている場合と比較して,使用者が立証しなければならない賃金控除(相殺)の要件が加重されるため,紛争となった場合,賃金からの社宅費用の控除(相殺)が認められないリスクが高くなりますので,事前の労務管理のあり方としては,賃金控除協定を締結した上で,個別の合意をするなり,就業規則に規定して周知させるなりして,賃金控除を労働契約の内容として対処すべきものと考えます。

 なお,賃金控除(相殺)が認められない場合は,賃金控除(相殺)した金額についての賃金請求が認められてしまいますが,一定額の社宅費用の支払義務が労働者にあることを使用者が立証できるのであれば,使用者は,労働者に対し,当該社宅費用の請求をすることができます。
 全体として考えれば,賃金控除(相殺)が認められても認められなくても,収支は変わらないはずなのですが,社宅費用回収に手間がかかるかどうか,回収不能のリスクを使用者が負うかどうかといった点で違いが生じてくることになります。 

弁護士 藤田 進太郎

労働審判期日で緊張して言いたいことが言えなくなることに対する対処

2011-07-14 | 日記
Q135 労働審判期日では緊張して,言いたいことが言えなくなりそうです。どうすればいいでしょうか?

 労働審判期日に出頭する会社関係者は,労働審判に不慣れなことが多いため,労働審判期日では,緊張して事実を正確に伝えることができなくなりがちです。
 言いたいことが言えないまま終わってしまうことがないようにするためには,事前に提出する答弁書に言いたいことをしっかり盛り込んでおいて,労働審判の期日に話さなければならないことをできるだけ減らしておくのが,最も効果的だと思います。

弁護士 藤田 進太郎

節電の手法としてのサマータイム制の導入

2011-07-14 | 日記
Q134 節電の手法としてサマータイム制の導入は有効だと思いますか?

 サマータイム制の導入は,夏季の電力需要がピークに達する月~金の昼過ぎ~夕方に節電するという目的との関係では,あまり意味がないと思います。
 1時間や2時間,始業時刻を早める程度の対応では,結局,電力需要がピークに達する平日昼過ぎから夕方にかけて仕事することになり,肝心の時間帯の節電にはなりません。
 サマータイム制の導入は,どちらかというと,通勤の混雑緩和,夕方以降の時間帯の若干の節電,夕方以降のプライベートな時間の充実等のための手段なのではないでしょうか。

弁護士 藤田 進太郎

夏の節電

2011-07-14 | 日記
Q133 夏の節電の仕方としては,どういったやり方がお勧めですか?

 去年までのデータによると,土日,お盆は,電力の使用量が大幅に下がっています。
 したがって,土日,お盆以外の電力使用を減らし,土日,お盆に仕事をするようにすればいいことになります。
 シンプルな対応の方が実施しやすいですから,まずは,
① 所定休日を土日から月~金に振り替える。
② お盆は営業を続け,夏季休暇をお盆以外の時期に取得するようにする。
といったやり方を検討してはいかがでしょうか。
 その他,年休の計画的付与や1年単位の変形労働時間性の導入等も検討に値すると思います。

弁護士 藤田 進太郎

企業経営者の自宅付近で行われる労働組合による街宣活動

2011-07-14 | 日記
Q132 企業経営者の自宅付近で行われる労働組合による街宣活動が違法と評価されるのは,どのような場合ですか?

 企業経営者の自宅付近で行われる街宣活動は,会社前路上などで行われる通常の街宣活動と比べて,大幅に制約されることになり,企業経営者の住居の平穏や地域社会における名誉・信用という具体的な法益を侵害しないものである限りにおいて,表現の自由の行使として相当性を有し,容認されることがあるにとどまることになります。
 労使関係の場で生じた問題は,労使関係の領域である職場領域で解決すべき問題であり,企業経営者も,個人として,住居の平穏や地域社会における名誉・信用が保護,尊重されるべきことから,労働組合の諸権利は企業経営者の私生活の領域までは及ばないと考えられるからです。

弁護士 藤田 進太郎

会社オフィス前における労働組合による街宣活動

2011-07-14 | 日記
Q131 会社オフィス前における労働組合による街宣活動が違法と評価されるのは,どのような場合ですか?

 労働組合は,団結権,団体交渉権が法的権利として保障されており,その目的とする組合員の労働条件の維持,改善を図るために必要かつ相当な行為は,正当な活動として,違法性を阻却されることになります。
 労働組合の組合活動としての表現行為,宣伝行動によって使用者の名誉や信用が毀損された場合,当該表現行為,宣伝行動において摘示されたり,その前提とされた事実が真実であると証明された場合はもとより,真実と信じるについて相当の理由がある場合も,それが労働組合の活動として公共性を失わない限り,違法性が阻却されることになりますし,当該表現行為,宣伝行動の必要性,相当性,動機,態様,影響など一切の事情を考慮し,その結果,当該表現行為,宣伝活動が正当な労働組合活動として社会通念上許容された範囲内のものであると判断される場合には,行為の違法性が阻却され,不法行為とならないことになります。
 もっとも,組合活動としてなされる文書活動であっても,虚偽の事実や誤解を与えかねない事実を記載して,会社の利益を不当に侵害したり,名誉,信用を毀損,失墜させたり,あるいは企業の円滑な運営に支障を来たしたりするような場合には,組合活動として正当性の範囲を逸脱し,違法と評価されることになりますが,余程酷いものでない限り,違法とは評価されない印象です。

弁護士 藤田 進太郎

唯一交渉団体条項と団体交渉拒否

2011-07-14 | 日記
Q130 当社では,社内組合との間で,当該社内組合が唯一の交渉団体である旨の規定(唯一交渉団体条項)のある労働協約を締結しています。この度,社外の合同労組から団体交渉申入れがあったのですが,唯一交渉団体条項の存在を理由に団体交渉を拒絶することはできないでしょうか?

 労働組合の団結権及び団体交渉権は等しく保障されるべき性質のものですから,社内組合と唯一交渉団体条項のある労働協約を締結したからといって,他の労働組合の団結権及び団体交渉権を侵害することはできず,唯一交渉団体条項は無効となります。
 したがって,唯一交渉団体条項の存在を理由に,社外の合同労組からの団体交渉を拒絶することはできません。
 唯一交渉団体条項の存在を理由に,社外の合同労組からの団体交渉を拒絶することは,不当労働行為となります。

弁護士 藤田 進太郎

多数組合からの脱退とユニオン・ショップ協定に基づく解雇

2011-07-14 | 日記
Q129 社員が社内の多数組合を脱退して,社外の合同労組に加入してしまいました。ユニオン・ショップ協定に基づいて,当該社員を解雇しようと思いますが,大丈夫でしょうか?

 ユニオン・ショップ協定は,労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に,使用者に当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化を図ろうとするものですが,他方,労働者には,自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があります。
 また,ユニオン・ショップ協定を締結している労働組合(締結組合)の団結権と同様,同協定を締結していない他の労働組合の団結権も等しく尊重されなければなりません。
 このため,ユニオン・ショップ協定によって,労働者に対し,解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは,それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されず,ユニオン・ショップ協定のうち,締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが,他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は,右の観点からして,民法90条の規定により,これを無効と解すべきである(憲法28条参照)とするのが,最高裁判例です(三井倉庫港運事件最高裁第一小法廷平成元年12月14日判決)。
 したがって,社員が社内の多数組合を脱退して,社外の合同労組に加入した場合,ユニオン・ショップ協定に基づいて,当該社員を解雇することはできないことになります。

弁護士 藤田 進太郎

団体交渉の打ち切り

2011-07-14 | 日記
Q128 団体交渉が行き詰まった場合でも,団体交渉を打ち切ることはできないのでしょうか?

 労使の主張が対立し,いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みがなくなったような場合は,団体交渉を打ち切ることができるものとされています(池田電機事件最高裁第二小法廷平成4年2月14日判決)。
 ただし,交渉が進展する見込みがなくなったといえるかどうかは,問題となり得ると思います。

弁護士 藤田 進太郎

誠実交渉義務

2011-07-14 | 日記
Q127 誠実交渉義務とはどういうものですか?

 労組法7条2号は,使用者が団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことを不当労働行為として禁止していますが,使用者が労働者の団体交渉権を尊重して誠意をもって団体交渉に当たったとは認められないような場合も,同規定により団体交渉の拒否として不当労働行為となると考えられています(カール・ツアイス事件東京地裁平成元年9月22日判決)。
 具体的には,使用者は,
① 労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり
② 必要な資料を提示するなどし
③ 結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても,その論拠を示して反論する
などの努力をすべき義務があるとされています。
 使用者には労働組合に譲歩する義務も,労働組合の要求に応じる義務もありませんが,上記のような誠実交渉義務はありますので,注意が必要です。

弁護士 藤田 進太郎

労基法上の労働者

2011-07-13 | 日記
Q126 「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「雇用する労働者」に該当するかどうかは,どのような基準で判断すればよいのでしょうか?

 最高裁は「雇用する労働者」に該当するかどうかの具体的判断基準を明らかにしていませんが,新国立劇場運営財団事件及びINAXメンテナンス事件において最高裁が検討した要素との類似性が見られることから,会社との業務委託(請負)の契約形式によって労務を供給する者については,ソクハイ事件中労委平成22年7月15日命令の示した以下の基準が参考になると思います。

 労働組合法第3条にいう「労働者」は、労働契約法や労働基準法上の労働契約によって労務を供給する者のみならず、労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者で、労働契約下にある者と同様に使用者との交渉上の対等性を確保するための労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められるものをも含む、と解するのが相当である。
 本件のように会社との業務委託(請負)の契約形式によって労務を供給する者にあっては、
(A)
① 当該労務供給を行う者達が、発注主の事業活動に不可欠な労働力として恒常的に労務供給を行うなど、いわば発注主の事業組織に組み込まれているといえるか
② 当該労務供給契約の全部又は重要部分が、実際上、対等な立場で個別的に合意されるのではなく、発注主により一方的・定型的・集団的に決定しているといえるか
③ 当該労務供給者ヘの報酬が当該労務供給に対する対価ないしは同対価に類似するものとみることができるか
という判断要素に照らして、団体交渉の保護を及ぼすべき必要性と適切性が認められれば、労働組合法上の労働者に該当するとみるべきである。
 他方、
(B)
当該労務供給者が、相応の設備、資金等を保有しており、他人を使用しているなどにより、その業務につき自己の才覚で利得する機会を恒常的に有するなど、事業者性が顕著である場合には、労働組合法上の労働者性は否定されることになる。

 本件メッセンジャーの労働者性を検討すると、
① メッセンジャーは会社の企業組織から独立した立場で本件書類等配送業務の依頼を受けているのではなく、会社の事業の遂行に不可欠な労働力を恒常的に供給する者として会社の事業組織に強く組み込まれており
② メッセンジャーの報酬等の契約内容は会社が一方的・定型的・集団的に決定しているといえ
③ メッセンジャーの収入は、本件書類等配送業務に係る労務供給に対する対価である
とみるのが相当である。
 他方、メッセンジャーは、配送業務の手段の一部を所有し、経費を一部負担しているが、それらは事業者性を基礎づけるものとはいえず、むしろ自己の才覚で利得する機会は全くない点で、事業者性は認め難い。
 以上からすれば、メッセンジャーは、労働契約又は労働契約に類する契約によって労務を供給して収入を得る者として、使用者との対等な交渉を確保するための労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切であると認められ、労働組合法上の労働者に当たる。

弁護士 藤田 進太郎

労基法上の使用者

2011-07-13 | 日記
Q125 「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「使用者」とは雇用主のみを指すのですか?

 「使用者」の判断基準としては,朝日放送事件における最高裁第三小法廷平成7年2月28日判決が,「雇用主以外の事業主であっても,雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ,その労働者の基本的な労働条件等について,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合」には,その限りにおいて,右事業主は同条の「使用者」に当たるものと判示しています。
 つまり,雇用主でなくても,基本的な労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合には,当該労働条件等との関係に限っては,「使用者」に該当することになります。

弁護士 藤田 進太郎

「あっせん開始通知書」が会社に届いた場合の対応

2011-07-12 | 日記
Q124 紛争調整委員会から,「あっせん開始通知書」が会社に届きました。どのように対応すればいいでしょうか?

 労働者の請求に全く理由がないため,会社側は1円も解決金を支払う意思がないなど,全く譲歩の余地がない場合は,あっせんに参加しない旨記載した連絡票を紛争調整委員会宛,郵送又はFAXすることになります。
 あっせんに参加しない理由が客観的にもっともな内容で,労働者の納得を得ることができる可能性がある場合は,その理由を会社意見欄に記入した上で,「会社意見等について申請人(労働者)に知らせることについて」欄の「可」を○で囲んで提出してもいいとは思いますが,万が一にも後日の訴訟等で不利な結果になることがないよう,弁護士に相談した上で記載すべきでしょう。

 労働者の請求にそれなりの理由があり,あっせんで解決しておかないと,後日,労働審判を申し立てられたり,訴訟を提起されたりするリスクがあるため,ある程度の解決金を支払ってでも早期解決するメリットがあるような場合は,あっせんへの参加を検討すべきでしょう。
 その場合,あっせんに参加する旨記載した連絡票を紛争調整委員会宛,郵送又はFAXすることになりますが,会社の主張を事前に提出する必要があります。
 労働者の請求にそれなりの理由がある事案は,後日,訴訟等になる可能性が比較的高いので,主張内容,証拠の収集選定について,弁護士と協議して決めることがより重要となります。
 しっかりとした書面さえ提出できれば,あっせん実施日当日は,代理人弁護士が同行する必要はないケースも多いものと思われますが,不安なようでしたら,弁護士に代理人として同行するよう相談してもいいかもしれません。
 ただ,弁護士費用を支払ってでも代理人弁護士に同行してもらわなければならないような事案は,そもそも,簡易迅速な紛争解決手続であるあっせん手続にはなじまない可能性もあると思います。
 落としどころが微妙な事案については,一定金額以上の解決金は支払わないことを弁護士相談して事前に決めてからあっせん実施日に臨み,その金額以下であれば合意を成立させ,その金額を超えなければ合意が成立しないようであれば合意不成立のまま,あっせん手続を打ち切ってもらえばいいのではないでしょうか。

弁護士 藤田 進太郎

「あっせん開始通知書」が会社に届いた場合の対応

2011-07-12 | 日記
Q124 紛争調整委員会から,「あっせん開始通知書」が会社に届きました。どのように対応すればいいでしょうか?

 労働者の請求に全く理由がないため,会社側は1円も解決金を支払う意思がないなど,全く譲歩の余地がない場合は,あっせんに参加しない旨記載した連絡票を紛争調整委員会宛,郵送又はFAXすることになります。
 あっせんに参加しない理由が客観的にもっともな内容で,労働者の納得を得ることができる可能性がある場合は,その理由を会社意見欄に記入した上で,「会社意見等について申請人(労働者)に知らせることについて」欄の「可」を○で囲んで提出してもいいとは思いますが,万が一にも後日の訴訟等で不利な結果になることがないよう,弁護士に相談した上で記載すべきでしょう。

 労働者の請求にそれなりの理由があり,あっせんで解決しておかないと,後日,労働審判を申し立てられたり,訴訟を提起されたりするリスクがあるため,ある程度の解決金を支払ってでも早期解決するメリットがあるような場合は,あっせんへの参加を検討すべきでしょう。
 その場合,あっせんに参加する旨記載した連絡票を紛争調整委員会宛,郵送又はFAXすることになりますが,会社の主張を事前に提出する必要があります。
 労働者の請求にそれなりの理由がある事案は,後日,訴訟等になる可能性が比較的高いので,主張内容,証拠の収集選定について,弁護士と協議して決めることがより重要となります。
 しっかりとした書面さえ提出できれば,あっせん実施日当日は,代理人弁護士が同行する必要はないケースも多いものと思われますが,不安なようでしたら,弁護士に代理人として同行するよう相談してもいいかもしれません。
 ただ,弁護士費用を支払ってでも代理人弁護士に同行してもらわなければならないような事案は,そもそも,簡易迅速な紛争解決手続であるあっせん手続にはなじまない可能性もあると思います。
 落としどころが微妙な事案については,一定金額以上の解決金は支払わないことを弁護士相談して事前に決めてからあっせん実施日に臨み,その金額以下であれば合意を成立させ,その金額を超えなければ合意が成立しないようであれば合意不成立のまま,あっせん手続を打ち切ってもらえばいいのではないでしょうか。

弁護士 藤田 進太郎