ヌルハチがそんな刺客の襲撃からようやく解放されたのは、
三年後に自分の城を持つようになってからである。
それがフィアラ(費阿拉)城だ。
万暦十一年にわずか十三人の仲間と武装蜂起してから四年後の月日が流れていた。
丸裸の何ら防備のない場所に住むことは、いつ何時敵に襲われるやわからぬみじめな状態である。
ヌルハチ本人だけでなく、手下や女子供老人らにとっても寝覚めのよい環境とはいえない。
烏合の衆だから頭目一人を殺したら、総崩れになるだろうと思われているうちは、
ヌルハチ本人だけをピンポイントで暗殺しに来て、周囲は他人事でも済む。
しかしそのうちその集団そのものに付加価値を評価されるようになれば、それだけでは済まぬ。
頭目を殺したところでその集団の危険性を取り除くことができないとなれば、
大規模な兵力を用いての襲撃が有り得る。
そうなれば、ヌルハチがいくら夜中に物音でぱちりと目が覚め、
弓刀を背負って鬼神の如き活躍をしたからと言って対応できる問題ではなくなってくる。
**************************************************************
遼寧省の撫順市新賓満族自治県永陵鎮
満州族のための民族小学校
ぽちっと、押していただけると、
励みになります!