谷沢健一のニューアマチュアリズム

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クラブチームと独立リーグ(その2)

2007-10-18 | ニューアマチュアリズム
 彼等の決意を聞いて「推測通りだ」と思った。この2人の実力ならば、昨年BCリーグに入団したYBC出身の4人よりは活躍するだろう。その4人は、残念ながら今レギュラーにさえなっていない。もっとも、うち1人は謹慎処分を下したら退部した程度の選手だし、別の2人は体が故障していて、試合に十分でられなかった選手たちである。
 それにしても、能力の評価基準は難しいもので、自己評価と第三者評価には隔たりがある。また能力は、本人の努力と練習環境と指導陣の指導力とによって大きく変化するものである。プロ野球でもドラフト下位指名者がレギュラーを掴み一流選手になることが多い。しかし、独立リーグやクラブチームから育成選手として指名されプロ入団の夢が叶った選手はまだ数名だし、その彼らも1年で整理されてしまうかもしれない。悲しいかな、ついこの間、それが現実になり、私もよく知る1人が解雇された。プロ球団はビジネスライクだ。けれども、日本野球の最高峰はプロ球団だから、それを目指す者は引きもきらない。それが大相撲とは異なるところだ。
 硬球を一度でも握ったら、軟球では物足りなくなり、体の動く限り、硬式野球をやりたくなる。ところが、その環境がほとんど整っていない。プロ球界のリーダー層の多くは、99%自分の球団のことしか考えない。2004年のスト騒動以降、「ファンを大切に」という掛け声が高まったが、まだ自分の球団のファンを増加させることに精一杯で、野球ファンそのものに目が向くまでにはなっていない。まして、実際にボールを握って野球をやりたい人間たちのことは念頭にない。せいぜい、将来、プロで活躍する可能性のある大学生・高校生に目を向けているだけだ。その高校生にプロが直接関与できないようにしてしまっている原因を作ったのも、プロ側に大きな責任がある。
 しかし、日本の野球文化を「実践」で支えているのは、プロ野球だけでなく、社会人野球・学生野球・少年野球でもあり、むしろ野球人口からいえば、プロ野球は少数派である。そして、企業経済の変化でアマ企業球団が僅少化する中で、かろうじてアマクラブ球団がそれを補っている。社会人野球・学生野球・少年野球のうち、将来のプロ野球界入りの可能性がある部分には日があたっていても、そうでない部分は事実上、無視されている。それを拾い集める役割を果たすかのように、四国次いで北信越に独立リーグが誕生した。つまり、プロ球界は、日本の野球文化を豊かにしようという志向をもっていなかったし、今もまだもっていない。日本の野球文化の豊穣化は、アマ球界が担ってきたし、今も担っているのである。