谷沢健一のニューアマチュアリズム

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FAと大リーグ

2005-07-21 | プロ野球への独白
 ドラフト制度の改革案がほぼ確定した。各スポーツ紙には、いろいろな方のコメントが掲載されている。そして、同じ紙面に野茂投手と高津投手の戦力外通告の記事が2日続けて掲載された。この二つが私の頭の中で不意に結びついた。FA制度の改正も即座に行うべきであると。
 FAの期間については、短くするとせっかく育てた選手が大リーグへ流出してしまうという懸念が強い。それを防ぐ一つの方策として、ホークスの孫オーナーは年俸を高くすることなどを提唱している。だが、それでは経営が圧迫されるという球団の反対論も強い。
 私は、個人的心情から言えば、高津選手をはじめ、とくに才能ある投手たちを気の毒に思う。もしFAの期間が短くて、もっと早くアメリカに渡っていたらと思う。これは、小宮山投手のメッツ入りが決まって、その壮行会を親しい知人たち(ラグビーの清宮氏、日テレの船越アナら)と催したときに強く感じたことだ。
 野茂投手とイチロー選手はその特別な才能と努力はもちろんだが、それぞれ特殊な条件の下で日本球界を早く離れることができた、ということを忘れてはならない。そして、彼らは投打のパイオニアになり、大きな成功を収めた。佐々木、吉井、伊良部といった投手たちも、数年早く渡米していたら、その期間がそのまま活躍期間になったろう。
 ある野球通のアメリカ人が言っていた、「日本から大リーグに来るのは半数以上がポンコツではないか。日本人は不要になるのがわかっている選手しか渡そうとしない」。別のアメリカ人はこうも言った。「日本の野球選手はノモとイチロー以外はたいしたことがない。2・3年しかアメリカでは通用しない」。
 たしかにそう言われても仕方がない。このままでは、日本のプロ野球はいつまでも米国から見下げられ続けるだろう。その端的な例は、3月に開催するという「ワールドクラシック」という名の「世界大会」である。
 力の衰えはじめた選手をアメリカに送るだけにするか、アメリカで最高の力を発揮できる選手を送るか、二者択一である。松井(秀喜)選手がヤンキース入りしたときの、あの悲痛なこわばった表情を私は二度と見たくない。

前半戦最後のヤクルト-巨人戦

2005-07-21 | プロ野球への独白
 神宮球場でのスワローズ対ジャイアンツ戦のTV中継解説をつとめた。いつものように、塩原アナのバランスのいいリードに乗せられて、大矢、加藤、齋藤(明夫)の3氏ともども、前半戦最後の試合ということで、喋りにも一段と熱がこもった。もっとも、私は風邪をこじらせていてほんとうに熱がこもっていたが。
 二転三転した試合は、最終回にローズ選手の一発で決まったが、それにつけても思ったことがある。もしも、ジャイアンツが大方の予想通りに好成績でトップを走っていたら、今日の試合はどうだったろうか。おそらく堀内監督や山本ヘッドや弘田コーチらは、ローズ選手に代えて、矢野選手か亀井選手をスターティングメンバーに起用していたのではないだろうか。
 なぜなら、後半戦に向けて、ローズ選手の疲労を回復させ、若い選手たちに実戦のチャンスを与え、より強固なチーム作りを実現しようとするためである。
 しかしながら、現実は違っている。わずか2割4分前後の不調なローズ選手を使い続けなければならない首脳陣の苦しみは、たぶんオールスター戦以後も続くだろう。今日のような試合を決めるホームランを打つ限りはやむをえないのだ。だが、ほんとうは、堀内監督もコーチ陣もそんな野球はやりたくないはずなのだが。
 その実例と思える場面が、今日の試合にもあった。5回表、2対2の同点で、無死1・2塁だった。打者は1番バッター清水選手、堀内監督は初球にバントを指示、が、ファウル。やむなくヒッティングに作戦を切り替えた。結果は左飛。2番の鈴木選手は1ゴロで併殺でチェンジ。監督の心情は察するに余りある。そして選手の心情も。