ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

忘れ得ぬ作品・12~『橋』

2020年09月01日 | 1950年代映画(外国)
いつの頃か、多分二十歳頃かそれ以前、テレビで観て強烈な印象を受けたまま記憶から離れない作品がある。
それをもう一度、確認してみたいとDVDを購入した。
題名は『橋』(ベルンハルト・ヴィッキ 監督、1959年)、西ドイツ作品である。

第二次世界大戦末期のドイツのある村。

戦況が悪化していたナチス・ドイツは、人員を確保するために今まで徴兵条件に入れていなかった子供も召集する。
学校に通うハンス、ヴァルター、ジギ、カール、ユルゲン、アルバート、クラウスの7人の少年たちは、
兵士に憧れを抱きながら徴兵されるのを心待ちに、いつも通りの授業を受けていた。

ハンスが音読しているとき、窓から校舎の外を見たヴァルターは、地区長の父親が自分に内緒で母親を疎開させようとするのを見、追いかける。
しかし、母親の乗った列車は発車し、母親とは離ればなれになる。

昼食休みになり、生徒たちは学校から家に帰る。
息子が徴兵されないか心配するジギの母親は、食糧や物資節約のために彼を伯母の元に預けようとするが、ジギはここに残りたいと言う。

父親が床屋を経営しているカールは、使用人のバルバラに好意を抱いている。

名家に生まれたユルゲンは軍人の父を誇りに思い、いつか自分も父のようになりたいと考えている。

ハンスは父親が戦場に行っているためにアルバートの家に同居している。
アルバートは、前線から音信不通の父を心配する母に励ましの言葉をかける。

カールと共に空爆された川を眺めていたクラウスとフランツィスカは、カールが家に帰った後、二人で散歩する。
フランツィスカが好きなクラウスは、時計を病気の母のために売ったという彼女に自分の時計を渡す。

帰宅したカールは、父とバルバラがいい仲なのを見てショックを受ける。

ハンスとアルバートは待ち合わせ場所に向かい、ヴァルターとジギに会う。
そこでジギが川に沈められた酒を発見し、4人だけの秘密として土管に隠す。

昼休みが終わった学校では、女性不信になったカールがクラウスに対してフランツィスカのことを中傷し、クラウスに殴られる。

ボート造りの授業をしているときにユルゲンが遅れて到着し、召集令状が届いたと他の生徒に報告する。
彼はハンスたちにも届いているはずだと言い、やっと戦場に行けると、みんなで喜び合う。

一方、生徒たちが召集されたということに言葉を失った先生は、授業を打ち切り彼らを家に帰す。

召集令状が届いたことに嘆き悲しむジギの母は、彼を匿おうとするがジギは行く気満々だった。
父とバルバラを憎んでいたカールは、二人を罵り急いで荷造りして家を出て、軍の施設に泊まる。
召集前の最後の夕食を母と取っていたユルゲンは、母から父の拳銃を贈られる。
アルバートと二人で荷造りをしていたハンスは、アルバートの母に今までの礼をし、彼女からはアルバートのことを頼まれる。
駅舎で、付き添いのフランツィスカと一緒に空爆の影響で到着が大幅に遅れている汽車を待っていたクラウスは、彼女に作戦で使うかもしれないので時計を返してほしいと頼む。
ヴァルターは、地区長という立場にも関わらず逃げようとしている父を非難するが、肉体関係を持っていたアンニが父とも寝たことを知り愕然とする。

翌日出頭した7人は、早速訓練を受ける。

その頃、生徒たちの身を案じた先生は、隊を率いるフレリヒ大尉と交渉し、この戦争には先がないと話して彼らを後方に置くよう頼むが、大尉からは上の命令には逆らえないと返される。
そして米軍の攻撃が激しさを増すなか、緊急呼集された兵士たちは、中佐から戦場に行くことを命じられる。
だが部下から戦力にならない新米のハンスたちがいることを知らされた中佐は、もう使用価値がなく破壊予定している村はずれの橋を7人に守らせることを許可する・・・
(Wikipediaを修正)

橋を守ることを命令されたハイルマン伍長と、7人の少年兵。
だか、みんなのために早朝、コーヒーを調達に行った伍長は他連隊の兵士からスパイ容疑で射殺されてしまう。
万一の時の指揮官に命じられていたハンス。
ジギが歩哨に立ち、少年たちは橋を防衛するために高揚している。
住民の老人が来て、こんな所で何している、家に帰れと言われたりする。
しかし少年たちは、兵士としての気概があり銃で老人を追い払う。

ちっぽけな橋を守る一行に一機の敵方戦闘機が飛来する。
そして、機銃射撃を受けたジギが死ぬ。

そうこうするうちに、敵方の戦車隊が橋に向かって現れる。
このようにして前線でない場所で、祖国を死守しようとする少年たちに戦争の現実が覆い被さってくる。
必死になって橋を守ろうとする少年たち。
遊び慣れた木から射撃するユルゲンが銃撃され、対戦車砲を持って村の建物に移動するヴァルターもやられる。
カールも死に、一緒にいたクラウスはカールを殴ったことに気がふれたように許しを乞いながら撃たれてしまう。

残ったのは右腕を負傷したアルバートとハンス。
そこへ、橋を爆破するために兵士がやってくる。
無用な橋を必死になって守ってきた少年たち。
それはなんだったのか。
ハンスは銃を突きつけ問い詰め、逆に兵士から撃たれそうになるのをアルバートが背後から撃つ。
しかし逃げる他の兵士からハンスは撃たれてしまう。
「ハンス、家に帰ろう」と、橋の上を引きずるアルバート。
死んでしまったハンスを橋の上に残し、フラフラと歩いていくアルバート。

戦争の狂気の沙汰。
ラストの、1945年4月27日、余りにも些細な事件で軍の記録にも残っていない、という字幕が余りにもむなしい。
コメント
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