ちょっとばかり古い話となるが、中学に入ったばかりの頃、一人のクラスメートが転校することになった。転校と言っても外国、それもドミニカというカリブ海の島国への移動である。おそらく中学校も卒業ということになるのだろう。ドミニカへ移民する一家のひとりだった。別れのあいさつをする彼の姿が忘れられない。海外への移民はおそらく彼の希望ではないはず。名残惜しそうに別れを告げ、寂しさを体いっぱいに表現していた。その後、ドミニカ移民の悲惨な現実を聞いた。あの友が今どうしているか、まったく分からない。すごく嫌であるが「棄民」という言葉が頭をよぎる。 . . . 本文を読む