説明文1「新聞を読もう」<作者不明>(小5国語光村図書)p30~35 ~その16~
※青字は教科書の引用部分
※教材文の構成:前文/[1] 新聞をいろいろな角度から見てみよう。/[2] 報道記事のとくちょうをつかもう。/[3] 二つの記事をくらべよう。
(6) [3] 二つの記事をくらべよう。<p33~35> その2
この部分:[3]には、着目すべき点と、批判すべき点があるようです。きちんと説明するために、まず[3]の構成と内容(※一部)を紹介します。
C 批判すべき点
・比べる記事の題材・内容が軽すぎる。⇒題材を変えるべき。
[2]でも指摘しましたが、ここでも教材にする記事の選択が問題。
誤解を恐れずに言えば、この北島康介選手:オリンピックの記事は、大きく言えば「趣味・遊び」の分野。
つまり、「スポーツ業界」に関わる仕事をしている人々にとっては「生活」に関わる内容でしょうが、多くの読者:国民にとっては、知っても知らなくても何ら自分の生活には関わりのないこと・困らないことです。
《同じ【現象・事実】を対象にした場合でも、記者:新聞によって記事の内容が違ってくる》という重要なことを教えるのならば、どうでもいいような記事ではなく、ほとんどの国民にとって重要な:生活に関わる内容の記事を選ぶべきです。
現在の状況で考えてみましょう。
例えば、「消費税の増税をすべきか?」「原子力発電をどうするか?」「TPPに加入すべきか?」など、日本国民の生活を左右する重要な政治方針を審議している《国会のできごと》の記事が考えられます。
確かに、国会で論議されていることは小学5年生にとっては難しいことがらです。
しかし、、教えることは「記事の内容」ではなく「記事の書かれ方」なのですから、工夫すれば教材化は可能です。(※これで3度目ですが、そんな内容は難しすぎる、というのであれば、新聞についての学習は中学校へ移すべき。)
《同じ国会審議》や《政府方針》を取材対象にしながら、新聞社によって、まったく正反対な、あるいは大きく違った報じ方をする現象はありふれたことです。
なぜならば、その問題は、今後の日本を、国民の生活を大きく変えてしまう極めて重要な選択であり、ゆえに国論が大きく分かれている問題だからです。
■「新聞を読もう」教材研究のまとめ
○日本の子供達には、新聞・報道の本質について教えるべき。
○日本の子供達には、世の中の「どうでもいいこと」ではなく、まず「とても大事なこと」を教えるべき。
この観点であらためて教材をみれば、この教材は失格だと思います。
<おまけの推理> なぜこんな「軽い」教材が義務教育の国語教材として教科書に載せられているのでしょうか?
おそらく、「日本国民の新聞離れ」に危機感をもつ人々が、若い日本人が新聞を読むようになってほしいという願い・目的をもって、多くの5年生には難しいということを分かっていて、無理を承知で作った(作らせた)教材ではないのでしょうか?
ですから、このような「子供だましの教材」になったのではないでしょうか?
~次回、説明文2「見立てる」野口廣・「生き物は円筒形」本川達雄~
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