図書館に予約してから5か月待ってようやく順番が回ってきた待望の本、「DIE WITH ZERO(ダイヤモンド社)」を読了しました。筆者はアメリカ人のビル・パーキンス。ヘッジファンドマネージャーをはじめ、さまざまな肩書を持つ人物です。「人生が豊かになりすぎる究極のルール」という副題にもあるように、この書籍は人間の生き方に関する啓発書です。
本書の結論は「ゼロで死ね」ということです。つまり「自分で稼いだカネを使い切って死ね」ということ。本書冒頭の「まえがき」で、筆者は「アリとキリギリスのイソップ寓話」を引用し、読者にこう問いかけます。「アリはいつ遊ぶことができるのだろうか?」と。一言で言ってしまえば、この本のテーマはこれに尽きます。さらに具体的には、以下の内容を主張しています。
- 喜びを先送りにしてはいけない。限られた時間の中で幸福を最大化するためには、人生の早いうちに良質な経験をすることが大切である。
- どんな金持ちも、あの世にお金は持っていけない。だからこそ死を意識し、「ゼロで死ぬ」を実践すべきだ。
- 人生をよりよいものにするには、お金、健康、時間という人生の3大要素のバランスを、いかに取るかが重要になる
- 物事には賞味期限がある。そのチャンスを逃さないためにも、大胆に行動すべきだ。リスクを取らないリスクを過小評価してはならない。
こんな感じですかね。過激な言葉と派手な装丁が目立つ自己啓発本ですが、よく読んでみると至極真っ当な主張をしている本です。まぁボクはそんなにお金を持っているわけでもなく、年金とバイト料をベースに生活費の不足分を貯蓄を切り崩しながら生活している小市民ですが、「あの世に行く時に最も大切なのは(よい)思い出、あの世にはお金を持っていけないので、いかにお金を使って(よい)思い出を作るかが重要」という考え方には、十分納得できました。
しかし、当たり前ですが、この筆者の主張は「使えるお金を持っている」ことが大前提なのですよね。そして、この筆者の主張を実現させていくためには、手堅く経済成長している環境も絶対に必要なのだと思いました。残念ながら今の世の中、全ての人がこれを採用できるわけはないわけです。この書の中で度々登場する若者世代に向けた言葉、「これから給料は上がっていく」「君が稼ぐ力は右肩上がりだ」なんていう言葉に対し、大いなる違和感を感じる人も少なくないことでしょう。
まぁ批判的なことも書きましたが、これからの人生を生きていくうえでの大切なヒントを、ボクに与えてくれたことは間違いのない本でした。さすがベストセラーだな。