”凪良ゆう”さんの「星を編む(講談社)」を読了しました。この小説はボクが昨年の11月に読んだ、第20回本屋大賞受賞作「汝、星のごとく」のスピンオフ小説で、「春に翔ぶ」「星を編む」「波を渡る」という3つの独立した短編小説集となっています。もちろんこの3編すべてに、「星を編む」に登場したキャラクターが登場してきます。
まずは、講談社のWebサイトに掲載されていた、この小説の紹介文をどうぞ。
花火のように煌めいて、届かぬ星を見上げて、海のように見守って、いつでもそこには愛があった。
ああ、そうか。わたしたちは幸せだったのかもしれないね。『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語。
「春に翔ぶ」:瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」:才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」:花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
前作の内容を忘れないうちに読みたかったのですが、図書館の順番がなかなか回ってこなくて、ほとんど前作を忘れてしまった状態で読み始めました。でも、読んでいるうちに思い出してくるのは、作者・凪良ゆうさんの筆力なのでしょうね。
前作では、閉鎖的な島での人間関係、ネグレクト、ヤングケアラー、宗教、LGBT、SNS、鬱、酒、病気、死、不倫…と、なんかもう現代の社会問題がてんこ盛りすぎて「お腹いっぱい」という印象がありましたが、今回の「星を編む」を読んで「あぁそうだったのか!」「そういうことだったのか!」と腑に落ちることが多々ありました。
特に重要な登場人物である北原先生については、前作では良い人すぎていまひとつ信用できない印象をもった記憶がありましたが、「春に翔ぶ」を読んで「誤解していました」「申し訳ない」という気持ちになりました。北原先生と娘の結の出会い、「星を編む」での櫂と尚人に関わる仕事仲間2人のその後、そして「波を渡る」での北原先生と暁海のその後…など、本編のスピンオフとしての魅力が十分あるっていうか、この続編までを含めて1つの作品なんだろうな…という印象です。
最終話は長いエピローグのようで、本編と続編の総まとめって感じでした。まるで映画のラストの場面で、「登場人物のその後の姿」が次々と紹介される感じです。この小説を映画やドラマにするとしたら、キャストは誰がいいかな?なんて考えながら最後まで読み進めました。