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いわき市のおやじ日記

K流釣り、K馬、そして麺食いおやじのブログ。
山登り、読書、映画、陶芸、書道など、好きなことはいろいろです。

「夜に星を放つ」

2025年03月07日 | 

星にまつわる5つの短編集です。

どの話も別れがテーマですが、死別、失恋、両親の離婚による母親との別れなどいろんな別れを扱っています。

主人公も30代前半の女性、10代の少年、少女、40代の離婚した男性とさまざま。

 

星が緩く煌めいたり暗くなったりするのは、まるで人の心のようであること、人と人のつながりは星座の線のように儚いことを連想しながら読んでいました。

 

コロナ禍が扱われています。新型コロナをどう書くか、難しいところだと思いますが、日常が淡々と進んでいく、自然体の優しい描き方だと思います。

 

直木賞の選考委員の中で、宮部みゆきさんと林真理子さんが一押しでした。特に林さんは、

「強く推そうと選考会に臨んだ。」「どの短篇もひとつひとつが、非常にゆきとどいていて後味がよい。」

と絶賛しています。

 

事件が起こるわけでもないし、大きな希望が持てるような話でもなかったのですが、最後はそれぞれがたくましく生きていく、ちょっと希望が持てる内容でした。


「35年目のラブレター」

2025年03月07日 | 映画

40年近く前、私は原田知世さんと泉岳寺の「樫の木」というレストランで一緒に食事をしたことがあります。

と、いろんな人に言っていますが、妻と一緒に食事をしていたところに原田さんとマネージャーと思しき女性が入店してきて、隣のテーブルに座ったというだけです。

店には私たち二人と原田さんたち二人しかいなく、BGMもかかってなかったので、話がばっちり聞こえてしまう状況でした。当時原田さんは20歳ぐらいだったと思いますが、明るい感じでハキハキとしていて、妻と「性格の良さが伝わってくるね」なんて話をしたのを覚えています。

 

映画はたくさんの涙あり、少しの笑いありで大変良かったです。

事前に映画のモデルになった西畑保さんをテレビで拝見しており、実話をもとに作られた映画であることは知っていました。

実話でなかったら、お涙頂戴のメロドラマになっていたかもしれません。

 

戦争、貧困、いじめによって小学校の低学年から学校に通わなくなり、読み書きができなくなった保さん。

それを隠して結婚し、半年後に回覧板に名前を書けずに奥さん(皎子さん)にばれた時に、皎子さんは「今日から私があなたの手になる」って言ったあたりからじわっときます。

保さんは64歳から夜間中学に行って学び、皎子さんにラブレターを渡そうとします。その後は詳しく書きません。保さんが、最後にある手紙を泣きながら読むシーン、鶴瓶さんは本当に号泣しながら演じたそうです。

原田知世さん、ますます奇麗になりました。皎子さんの若い時を演じた上白石萌音さんは、原田さんの声色に似せて発声したらしいです。なかなかの演技力だと思いました。

この話は新作落語になっていて、創作したのは鶴瓶さんのお弟子さんの笑福亭鉄瓶さん。生で聴いてみたいです。


「石岡タロー」

2025年02月26日 | 映画

犬が主役で、実話を元にしていて、「17年間駅に通い続けた1匹の保護犬」なんてサブタイトルがあるわけだから、やばいとは思っていましたが、やはり涙腺崩壊しました。「HACHI 約束の犬」とか「ハチ公物語」でもやられましたが、年とって涙もろくなっているし、一人で観てよかったです。

時は1964年、所は茨城県石岡市。

迷い犬のタローは小学校の用務員(その頃は学校に用務員さんが住んでいました)に引き取られましたが、それから17年間、毎日朝夕、2キロ離れた石岡駅に行き、待合室で誰かを待っているのでした。

タローは駅で誰を待っていたのか、その人に会えたのか、・・・・。

 

私が子どもの頃は野良犬がウロウロしていました。

犬が苦手で、小学校1年生の頃は学校帰りに野良犬を見ると近くの家に逃げ込んだ記憶があります。

それが今は大の犬好き。犬を飼ったら可愛いのなんの。

今飼っている4匹目の犬の名前はチャッピー。タローを演じた3匹の犬のうち一番小さい犬の名前もチャッピーでした。

タローが最初に飼われていた時の名前はコロ。私が小学生の時に飼っていた2匹目の犬の名前もコロ。

映画を観ていていろいろ思い出してしまいました。

 

 

これは我が家のチャッピー。

いつか石岡のタロー像を見に行こうと思います。

 

映画「石岡タロー」公式サイト

映画「石岡タロー」公式サイト

17年駅に通い続けた一匹の保護犬の物語

映画「石岡タロー」公式サイト

 

 


小学校 ~それは小さな社会~

2025年02月24日 | 映画

世田谷区立塚戸小学校に通う1年生と6年生の生活を追ったドキュメンタリーです。

児童は日本の公立小学校の特徴である特別活動(日直、給食の配膳、掃除、学級会など)を通して、時間を守ること、責任感を持つこと、規律正しく行動することを学びます。

運動会や新入生の歓迎会の様子も出てきました。

縄跳びが苦手な小学6年生の男子が、運動会で縄跳びの集団演技をするために家に帰ってからも一生懸命練習します。

新入生歓迎のために演奏することになった1年生の女子は、自ら進んで演奏することを望んだものの、うまくいかずに先生に叱咤激励され、泣きながら練習します。

どちらも、自分がうまくいかないと他の人たちに迷惑がかかるとの意識が自然に働くのだと思います。

 

ついつい2日前に観た「夢みる小学校(完結編)」と比べてしまいます。

「小学校 ~それは小さな社会~」では先生が決めたイベント、ルールを児童がひたすら努力し、克服し、その中で成長するという内容でしたが、「夢みる小学校」では、大切なことは自分(児童)たちが決める、プロジェクト(体験学習)という授業の内容や、修学旅行の行き先、宿泊先など、学校のルールさえ、児童が積極的に関わっていくというものでした。

「小学校」の先生は上から引っ張り上げる、「夢みる小学校」は下から支える、というイメージです。
どちらが良いかというのは、簡単に決められないと思います。どちらも児童の笑顔にホッとするところもありました。

ただ強制的に実践させられ、そのレベルに達することができなかったとき、いじめや不登校の要因になるとは思いました。

映画では良い面だけが映し出され、その弊害は出てきませんでした。

 

監督の山崎エマさんはイギリス人の父を日本人の母を持ち、日本の公立小学校を出た後、インターナショナルスクール、アメリカの大学に進学。その後映画の仕事に就きました。回りの人から時間の正確さや責任感の強さを褒められ、それは自分が日本の小学校に通っていたことに由来する、と認識したらしいです。

 

諸外国、特にフィンランドでの人気が高いようです。日本の公立高校の特異性(珍しさ)もあるのかもしれません。

 

映画『小学校 〜それは小さな 社会 〜 』公式サイト

映画『小学校 〜それは小さな 社会 〜 』公式サイト

 世界が喝采!日本の小学校に驚いた !! いま、小学校を知ることは、未来の日本を考えること 。 1 2/13 ( 金 ) よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開

映画『小学校 〜それは小さな 社会 〜 』公式サイト

 

 


「野生の島のロズ」

2025年02月21日 | 映画

正直ストーリーにそんなに目新しさは感じず、おおよそ想像通りの展開ですが、わかっていても泣けます。

嵐で無人島に流れ着いたロボット「ロズ」が、島の野生動物たちと暮らす話です。

ひょんなことから雁の卵を見つけ、その卵から雛が孵り、ロズを母だと思うその雛に「食べる」「泳ぐ」「飛ぶ」ということを教えていきます。

雛が成長するに従ってロズに反抗するようになったり、自然界の様々な困難を乗り越えたりしながら、ロズと成長して大きくなった雛(キラリという名前がつきました)は信頼を深めていきます。

心のないはずのロズに愛が芽生えてきて、本当の母子のような関係になりますが、別れの日が来ることは避けられず、・・・・。

 

世界のいくつかで起きている人間同士の争いに対してもチクリと皮肉っているような所もありました。

綾瀬はるかさん(ロズの声役)の吹き替えも最初はロボットらしく固く、次第に母親のように暖かく感じられて良かったと思います。