遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

朧 おぼろ

2023-03-11 11:07:39 | 鶴舞公園へ行って来ました
令和5年3月11日

朧 : おぼろ

春は水蒸気が多く、春の月もぼんやり霞んでいる。

南方から暖かい空気がやって来て、夜に地面付近の空気は冷え
上空、それより高い温度など気温逆転層が出来、其のにに霧が
現れて「おぼろ」にかすむ。









おぼろは語源的には「おぼ」で、もともとぼんやりして不明瞭
な状態をいう。 その形容詞形の「おぼほし」は、もとは自然
現象で、雲、靄、霧、朧月等に多く用い、うちふさいだぼんや
りした気分に転用した。
その用例は平安時代になり現れだした。詩歌では情緒的に用い
様々な感宮に訴え、春の夜の情感を味わう。
「岩朧」は静かな波に洗われる朧夜の海の岩、また「草朧」は
萌え出た若葉の香漂いそうな情景をいう。
「鐘朧」は、何処からともなく辺りに響く鐘の音をいう。
「朧雲」は、高層雲のことで縞や筋のある灰色の雲のヴェール
である。
「朧月」は、空中に水蒸気が多くなって朧朧とした趣になる。
そこに薄ぼんやりとした月がかかるのが「朧月」である。
更に、川や山の景全体を含めると「朧月夜」となる。

童謡の「おぼろ月夜」について、シンガーソングライターの
合田道人さんが、著書:童謡の風景で解説されている。

童謡「おぼろ月夜」
作詞 : 高野 辰之、作曲 : 岡野 眞一


菜の花畠に 入日薄れ
見渡す山の端 かすみ深し
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し

里わの火影も 森の色も
田中の小道を 辿るひとも
蛙の鳴く音も 鐘の音も
さながら霞める おぼろ月夜

おぼろ月夜 「ぼんやりと、匂い淡く」
1914年(大正3年)、尋常小学唱歌の六年生の教科書に
初めて載った「おぼろ月夜」は、現在も六年生が習う歌とし
て健在だ。先年には人気歌手の中島美嘉がレコーデイングし
て、大晦日の紅白歌合戦で歌ったことも在ってか、更に人気
を高めている。
よく講演先などで、「匂い淡し、、ってどんな匂いですか?」
と尋ねられる。他にも「入日」「霞」「火影」「さながら」
など、歌の背景よりで言葉の意味を訪ねてくる傾向が強い歌
である。
さてこの匂いだが、臭覚上でいう匂いではない。「いい匂い」
などの匂いではない。匂うとは、視覚上の色合いや美しさを
表すときに使われるのが本来の用法なのだ。
だから、「夕月かかりて、匂い淡し、、」とは、月の光りの
色合いが薄く弱いことをさしている。お月様が澄んでいると
いうこと。つまり、匂いの淡い月が出ている夜の事こそが、
「おぼろ月夜」だったのである。
(合田道人著:童謡の風景、春の歌より引用した。)

今日の1句

入日来て朧広ごる里の道   ヤギ爺


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