令和5年5月2日(火)
八十八夜
立春から数えて八十八日、5月の2日頃にあたる。
野菜の苗はようやく生長し、農家は忙しい時期をむかえる。
特に茶摘みが最盛期となる茶処では、新茶となる茶摘みが最も
忙しい。
小学唱歌の「茶摘み」にも歌われる、この辺りの情景は農家に
直接関わりのない人でも、「春はもう終わりで夏が近づいた事
を実感する。
気候の安定してきて霜の恐れもなくなる頃ではあるが、「八十
八夜の別れ霜」といわれるように、この頃はまた終霜の時期。
一般的には霜は八十八夜頃迄といわれるが、稀に「九十九夜の
泣き霜」という詞も在り、5月半ば過ぎに「霜害」が生じて、
甚大な被害をもたらした事もある。
小学唱歌の「茶摘み」は、1912年(明治45年)に尋常
小学校3学年用として発表された。(作詞・作曲不詳)
茶摘み切手、
茶摘み
1)夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
茜襷に菅の笠
2)日和つづきの今日此の頃を
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ
※ 茜襷(あかねたすき)とは、茶摘みの娘が肩からかけて
いる茜色の襷のこと。
襷は、和服の袖(そで)や袂(たもと)が邪魔にならぬ
ように、託し上げるための紐。
菅(すげ)笠は、カヤツリグサ科の多年草を乾したものを
笠に網いあげたもの。
※ この歌が出来ると、「手遊び歌」として、小児二人が組み
向かい合って歌う「せっせっせーのよいよいよい」で始ま
る歌に合わせて遊びを繰り返す動作が、茶摘みの手の動き
似ているといわれている。
私の実家は「茶商」をしていた。 十数年前に長兄が亡くなり
店を閉じた。 それ迄、毎年この時節になると「新茶」が届け
られた。 あの頃届いた新茶の深い香りと旨さが懐かしい。
この頃になるとカミさんが新茶を買って帰り、和菓子を撮む。
細やかな、至福の一時である、、、、、
今日の1句
手土産の八十八夜の茶を啜る ヤギ爺