Music Mania

No Music No Life

聴かない権利

2023年03月04日 | ギター
ライブバーで、ライブを見ずに仲間とお喋りをしている人に対し文句を言う人がたまにいる。
今はライブ中なんだからライブを見ろよ、お喋りは曲の間とかバンドの入れ替わりのときにしろよ、という。
僕は全く同意出来ない。
ライブステージに目を向けさせられない演者が悪いのであって、客にはつまらないバンドに興味を持たない権利があると思う。
ライブはいろいろな楽しみ方があっていいのだ。

中にはボブ・ディランみたいに客の多様性をいっさい認めない人もいる。
また来日の予定があるそうだが、スマホでの撮影はおろか、会場への持ち込みも絶対ダメだという。
理由はスマホがそこにあるだけで集中力が損なわれるから、らしい。
俺の歌を聴きたいなら全集中で聞け、ということなのだろう。
まあ、この人は昔から変人で有名なので、やれやれ仕方ないなと諦めるしかないのだが、僕だったらそんなライブは行きたくない。

デビュー前のビートルズがハンブルグで演奏し始めたとき、誰も彼らの演奏に耳を傾けなかったという。
最底辺といっていいクラブに来る客にとって、どこの馬の骨かわからんバンドより、今日の出来事をビール飲みながらクダを巻いてるほうがいいのである。
そんな彼らを振り向かせるため、ビートルズは日々工夫を重ね、試行錯誤し、パフォーマンスに磨きをかけていったのだ。
その結果、そっぽを向いていた客はステージに目をやるようになり、歌や演奏を聴き、また明日の夜もここへ来ようと思うに至る。
そして噂が噂を呼び、どんどん客が増えていき、出演する店もランクアップしていったのだ。
もし、客はマナーを守るべきとかいって、最初から客がステージに目を向けていたら、その後のビートルズはなかったかもしれない。

いやいや、ビートルズと比べたらアカンでしょ、という人もいるだろう。
でも、いつもの四日市の店でのことだ。
その時出ていたのはディープパープルのコピバンだったが、途中オルガンソロのタイムに入った。
そのときのオルガンソロは凄まじく、流麗でありながら、激しくワイルドで、まるでジョン・ロードが乗り移ったかのような演奏だった。
そのとき店にいた全員がステージに注目し、その圧倒的な演奏に目を耳を奪われていたのだ。
また、シンガーソングライターの坂上太一さんが歌ってたときも、雑談してる人はいなかったし、他にもそういうアーティストやバンドはあった。
ライブが見る価値のあるものなら、そこにルールなど必要ないのだ。