諸行無常の一日花「沙羅双樹」、日本では「夏椿」の花
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
平家物語巻第一「祇園精舎」の文頭部分、学生時代に懸命に暗記したフレーズは未だに覚えています。
栄華を誇った平家一門の滅びゆく姿を語るこの冒頭に出てくる「沙羅双樹」の花は、朝に開いて夕方に
花弁ごと落としてしまう、はかない一日花です。
仏教の世界では、釈迦入滅の時に沙羅の木が臥床の四辺にあったといわれ、尊い花とされています。
日本では沙羅は自生できず、寺院で見かける沙羅双樹とされているのは「夏椿(ナツツバキ)」です。
平家物語の作者は、一日花の夏椿を沙羅の樹に置換え、はかなさを思ったのではないでしょうか。
今年は、梅雨の時期に咲く花を3箇所の異なる寺院で眺めました。
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奈良県大和郡山市「矢田寺」に咲く花。
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京都府福知山市「観音寺」で紫陽花やヤマボウシと同時に咲いていました。
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兵庫県神戸市「摩耶天上寺」、説明では「沙羅の木」とされていて、雨の中でしっとりと咲かせています。
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鶴が飛んでいるようなヤマボウシの木の中で、一輪だけ咲くナツツバキの花。(観音寺)