写真は、「我らが少女A」高村 薫 毎日新聞社 1800円 税別。
物語はひとりの男が同棲相手の女を撲殺することから始まる。その男の供述から12年前の未解決殺人事件の再捜査が動き出す。
「 」を廃し地の文とひとつながりした上で、登場人物の心理を写実して小説は進行していく。
小説は三人称多視点の体裁なのだが、心理の内へ内へ視点が進むので、さながら登場人物達の私小説を、高村が編集しているような作りになっていく。
それぞれの想いが、少女Aを巡ってチリチリと煮詰まっていき、よんでいてこちらまで、なにやら私小説めいて暗くなっていく。
最後の最後で「レディジョーカー」のような救済があるのかと読み進んだが、それもなく小説は終わった。
私は好きな作家のリストから高村 薫を外した。