写真は、「定価のない本」 門井慶喜 東京創元社 1700円 税別。
戦後、GHQによる「ダストクリーニング」なる計画が実際に存在したのか興味深いところだ。
何も、小さな穴を開けて、人が2人死んで、ミステリー仕立てにする必要がなかった。
例えば、語り部を孫娘とかに設定。その孫娘は大学で国文学を専攻していて、ある日祖父の蔵書の中に、付箋のように挟まれた、注文書を見つける。そこには望月不月なる名が書かれていた。
そこから孫娘の調査が始まり、小説が進展していく。
何もひとふたり、殺さずとも、門井の技量なら素材だけで充分読ませたと思う。