早起き梟のひとりごと

仕事に追われる日々を少しだけ立ち止まって見つめてみると・・・

阿久津英(えい)歌集

2016-09-23 04:44:42 | 短歌

写真は、阿久津英歌集 現代短歌文庫 砂小屋書房 1500円➕税。

本の裏表紙にある阿久津英の写真。昭和54年「紫木蓮まで」によって短歌研究新人賞受賞。私は受賞作が載った雑誌短歌研究によって阿久津英を知る。私にとってのマドンナも御年(おんとし)65歳。

歌を引いてみよう。

いにしえの 王 (おおきみ)のごと前髪を吹かれてあゆむ紫木蓮まで

地の息のたちのぼりいる夕べにてこの世の外(ほか)の水溜あり

産むならば世界を産めよものの芽の湧き立つ森のさみどりのなか

唇をよせて言葉を放てどもわたしとあなたはわたしとあなた

蛇口より水はひかりて迸(ほとばし)るバケツの底のありふれた明日

風まじえ降り来る雨に敷石のついに濡れざるひとところあり

くれないの空に浮かべる雲ひとつ酩酊をしている如くに見ゆる

今でも、阿久津英は私のマドンナだ。