たそがれ縁側日記

ボケ老人の独り言

WTO決裂

2008-07-30 11:57:41 | Weblog
 世界貿易機構(WTO)の新多角的貿易交渉閣僚会合が大詰めで話合いが決裂した。
 日本の農業市場の開放、ブラジル、インドなど途上国の鉱工業品関税引き下げなどで対立が解けず交渉は難航していた。輸出立国である日本にとって輸出の主要品目である鉱工業製品の輸出相手国の関税が高いのはまことに不都合だ。従ってその税率の引き下げを求める。しかし一方で日本は農産物の輸入には高い関税を課している。当然のことながら農産品を輸出する国からはこの高い関税の引き下げを求めてくる。
 今回の交渉で日本は農産品の関税引き下げ幅を例外的に抑えられる重要品目について8%を強く主張してきたが、調停案として最大6%という提案を突きつけられていた。今回交渉は決裂したが、もし合意されていたら安い輸入品の流入で農産品は大打撃を受けるはずだった。
 最近わが国の食糧自給率の低下が大問題となっているが、自給率を高めるためには、その基本として国民一人ひとりが高くても国産品を購入するという意識を先ず持たなければならない。その上に立って国の政策として農産品に対する高い関税、農業分野における生産性の向上、価格安定のための措置などの多額の税金投入による手厚い保護政策を講ずる必要がある。
 しかし、市場原理が働かないところには必ずモラルハザードが起きる。また輸入農産品に高い関税を課せば、自動車、電気機器、機械製品などわが国の主要輸出品に対し相手国は高い関税や輸入制限などの対抗措置をとることが予想される。
 グローバル化により世界は一つになったとは言え、未だ戦争侵略対する自衛、食糧に対する自衛、エネルギーに対する自衛などに腐心しなければならない情勢が延々と続く。世界各国がそれぞれその得意とする分野で特化することができるのは夢のまた夢か。