「心のバリアフリー化」を図るための研究報告書が発行された。
次のタイトル書である。
心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業企画実行委員会 委員長 坂巻 熙(さかまき ひろむ)編「平成22年度心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業」平成24(2012)年2月29日刊(社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会)
本誌の「第2章 座談会 心のバリアフリーに関するアンケート調査をめぐって」(p.63~p.107)から興味深い発言を引用する。
その第4回目。
細川瑞子氏(全日本手をつなぐ育成会中央相談室長)は、知的障がい者を取り巻く問題として次のようなことがあると指摘する。
地域移行の難しさ、身近な人たちの理解不足、虐待の問題といった現実が多いことを、以下のように発言(p.75~p.76)している。
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【引用始め】(p.75~p.76)
細川:
知的障害者の場合、地域生活への移行と言われて随分年月が経つ。
いまだにグループホームを作ろうというとご近所から反対される。
これが、今の一般社会の現実。
また問題になるのは、警察とか医師、交通機関とか、障害者に触れる機会の多いはずの人たちの意識がまだまだ。
もっと残念に思ったのは、障害者に身近な人たちの無理解が少なくないことです。
福祉施設の職員や学校の教員の方たちです。
障害者虐待防止法が成立しました。
法では施設、職場、家庭での虐待が対象になっています。
虐待する人とされる人には上下関係がある。
力の差がある。
一方には保護する責任がある。
責任ある人たちが障害者を虐待することが多い現実がある。
そういう人たちの意識をまず変えていかなければならない。
それ以外には、社会にはまだまだ残っている、上から目線だとか、視線が痛いとか、心ない言葉に傷つく例も多い。
【引用終わり】
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心のバリアフリー化を進めるにあたって、地域社会には問題が山積している。
グループホームをつくるにも、住民の反対にあったりする。
何か迷惑な施設ができるみたいといった感覚なのだろう。
今までほとんど接することがなかった知的障がい者に対する誤解と偏見からくるものである。
障がい者の地域移行を推進してゆくには、この壁をなんとしてでも乗りこえる必要がある。
成功事例も多いはずだから、それを共有して対応してゆく。
どこにでも当たり前にグループホームがあるようにしていかねばならない。
(ケー)