私の思いと技術的覚え書き

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世界の半導体市場とその大量消費国のこと

2020-04-28 | コラム
 この分野は拙人は未知なのであるが、識者の話しを聞くと現在の半導体の世界総市場は大まかに40兆円と云ったところの様だ。その中で、日本の製造におけるシェアは4兆円すなわち10%というところの様だ。

 過去に遡れば、80年代我が国が電子立国と云われた時代には、半導体市場そのものは現在の半分程度だったのかもしれない。しかし、我が国のシェアは50%近くあったのかもしれない。つまり半導体としての我が国のシェアは低落の一途を辿って来たということの様だ。

 しかし、一概に半導体と云っても、メモリー、MPU、各種センサー、ロジック、パワーなど様々な分野がある訳だ。かつて、電子立国を謳歌した時代。我が国はメモリー分野が特に強かった訳だが、この分野はそっくり韓国に移転し、メモリー系は韓国が世界1位となっているが、その価格の下落も大きく付加価値としては小さい。

 MPUの分野は極めて付加価値が大きいが、予て米国が強くそれは今でも変わらない。そのことを意識し80年代に坂村健氏がTRONを提唱し、TRON用MPUを作り出す機運があったのだが、素早く察知した米国の意向で潰されてしまったということがある。ついでに云えば、このTRONだが、単にMPUだけのアーキテクチャー(設計思想)でなく、OSからデバイスまで、広く網羅するものであったのだ。つまりOSとしては、未だWoidows95も出ていない時代に、WindowのGUI(グラフィカルインターフェース)を導入していたり、何処でもコンピューターと云うなで、各種の端末やセンサーにMPUを組み込み、それら間をネットワークするする思想、それは今で云うところのIoT(アイオーティー:Internet of Things)に先んじる思想だったのだ。

 歴史にifはないと云われるが、もし日本が完全なる独立自尊を保てたとしてTRONが成長を続けていたら、高付加価値のMPUやOS分野で間違いなく我が国は世界最大の電子立国を揺るぎないものにし、現在の大手電機メーカーの凋落もなかっただろう。

 しかし、落ち目の我が国の半導体事業だが、今でも強みを持つ分野がある。それは画像の撮像素子などを含めたセンサー系の半導体だろう。これは、デジタルカメラに限らず、スマホの組み込みカメラや各種画像センサーでは、今でも世界最先端を走っている様だ。

 このセンサー関係の我が国強みとして、拙人が関わり深い自動車に使われるセンサーでも我が国の強みを感じさせる。そもそもガソリンエンジンの排出ガス浄化の要となった酸素センサー(O2センサー)があるが、70年代に独ボッシュ社のライセンスで導入したEFI機構だが、O2センサーフィードバックと三元触媒という今でもデファクトスタンダートとなっているシステムだ。この最初を作り上げたのはトヨタ自動車とデンソー社で、O2センサーはデンソー社開発のものだ。なお、O2センサー関係は、各種パテントをデンソーおよびNGK(日本特殊陶業)社が押さえて世界に供給している。

 さて、中国は今やファーウェイ、ZTI、ハイシリコン、レノボなど、一見半導体にも強い国と考えている者がいるかもしれないので補足しておきたい。冒頭に世界の半導体市場はおおよそ40兆円と記したが、その半分を中国は輸入しているのだ。つまり、自前では作れない国なのだ。ここで最後に最近Netで知る面白い話しを記して今回の論評を終わりたい。

 中国には今や国内各地に2億台(5億という話しもある)の監視カメラがあると云う。この監視カメラは、画像認識のアルゴリズムを組み込んだコンピューターを連携して、特定の人物を追える機能までが搭載されているという超監視社会だという。ところが、このカメラの撮像素子などはSONYを始めとした我が国製だろうと想像されるが、その他中枢部には米国製部品が組み込まれ成立しているという。この様な中、現在の病変絡みで米トランプは、その機能の無効を行う様子があるという。そうなると、2億とも5億とも云われるカメラは動作不能になり、中国国民は監視社会から逃れられることになることは喜ぶべきことだ。

※写真は拙人が80年代から90年代に使って来たPC用MPU(intel i286~pentium)のコレクション。



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