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トヨタマイクロバスの系譜のことなど

2018-10-22 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 台湾で特急列車の大きな脱線転覆事故が生じている様です。車体は日本製らしいとのことですが、原因が気がかりになります。鉄道車両を総合的に製造できるとしたら、日立、川重、日車辺りでしょうが、何れにしてもこのところの日本は病にかかったの如く、かつての信頼感を失うべき不正事件が続いていますから、原因究明に関心が向いてしまいます。

 さて、俗称マイクロバス(海外ではミニバスと呼ぶことが多いらしい)ですが、過去から作り続けられており、現在でも、コースター、ローザ、シビリアンの3種は継続生産されています。統計的な値は知りませんが、街を走るマイクロバスの多くは、コースターが7、80%程と圧倒的なシェアを占めている様に見受けられます。何故に、ここまでトヨタ(+同型の日野リエッセⅡ)のシェアがダントツになったのか、商品力&販売力の差と云ってしまえばそれまででしょうが、もしかすると過去の咎めを受けているという話しを含めて記してみます。

 ご存じの通り、マイクロバス以上の中、大型バスが、車両の構造をスケルトンボデーと称するスペースフレーム構成に変わってしまいました。しかしマイクロバスは、2、3トンロングベースのトラックシャシフレームを小改良して、その上にセミモノコックのバスボデーを乗せるという構成は、生まれた時から変わりません。

 現代マイクロバスの断トツのシェアを占めるトヨタコースターですが、昨年20数年ぶりにフルモデルチェンジして4代目にFMCしていますが、初代コースター(B10)以前の1960年代に生まれたライトバスと呼ばれた類似車種がルーツとなる様です。

 このライトバスも年々改良は進められた様ですが、登場当時の代表的な仕様としては、ガソリン1800cc、26名乗り、最終モデル近くでサブエンジンでのクーラー付き車も存在した様です。

 この時代、おそらくトヨタと拮抗するかむしろ販売量では上回っていたかもしれぬ日産は、エコーという名称でマイクロバスを販売していました。時あたかも名神高速道路が開通し、日本も高速時代に突入した時期です。そして、エコーで続けざまに高速走行中の横転転覆事故が2件生じ、死者1名、重軽傷者30名を超す事件が行ったのでした。その原因は、高速走行中のプロペラシャフトがたわんで回転することで、実質的なペラ全長が短くなることで、トランスミッション後部のアウトプットスプラインからスリーブヨークが抜け落ち、垂れ下がったペラシャフト前端が路面に突き刺さり、車体を転覆させたという驚くべき欠陥だったのです。この欠陥は、日産にて対策部品として2分割プロペラシャフトの回収作業が行われると共に、現在のリコール制度が制定される切っ掛けとなった事故となったのです。

 最後に、先にも記した様にマイクロバス市場では、他メーカーを寄せ付けないトップシェアを誇るトヨタコースターですが、その訳たる私見を記してみます。
・サブエンジン付きクーラーなど早くから快適装備を取り入れた。
・騒音面とか燃費面で不利なサブエンジンを止め、直動式クーラーを真っ先に取り入れた。(これなど100%子会社のデンソーを擁していたが故でしょう。)
・乗り心地向上に大きな影響を与えるフロントサスペンションの独立懸架式サスペンションへの移行は、他メーカーにい先駆け2代目より採用と先行した。
・乗降口扉も、従来の折り戸式だけでなく、既に大型観光バスなどで使用され、高速走行でも風騒音の少ないスイング式ドアが、2代目以降真っ先に採用された。ただ、マイクロバスの場合、ドアエンジン機構が中、大型みたいな圧縮エアーを使用しない純機械式のため、特に閉時の動作が急過ぎて、危なっかしいものを感じる。私見だが、現在1BOX者で電動スライドドアが普及しているが、類似の機構でソフトに閉じる機構に改善すべきであろう。

追記
 トヨタライトバスの時代、ベアシャシまではトヨタ自動車で作りアッパーボデーは荒川車体(後のアラコ、現在はトヨタ車体に吸収合併)で行われていたとのことです。写真の運転席内装の写真を見て思うのですが、シフトはコラムのマニュアル式です。乗用車から2トンクラストラックまで、70年前後まではコラム式が多かったと思えます。ライトやワイパーのスイッチも、2段の引き出しノブ式。ヘッドライトの上下は床のディマースイッチ(クラッチペダル左横)を踏みつける足動式。ターンシグナルは、コラム右に1本レバーがあるか、ホーンリングを回転させる式(コロナT40など)があったと思います。なお、アクセルベダルのオルガン式は、今でもありますが、ブレーキやクラッチのオルガン式は、エアブレーキ(エアオーバー式含む)以外では、フォークリフトやレーシングカーしか見られなくなりました。また、インストルメントパネルの全鋼板製も、その後の保安基準改正で、衝突時の安全を考慮した軟質のものとして許されなくなっています。



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