私の思いと技術的覚え書き

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国家の謀略という本を読んで

2008-05-25 | コラム

 この「国家の謀略」という本ですが、佐藤優氏という鈴木宗男国会議員の疑惑問題で共に逮捕拘留された外交官の記述された本です。私はこの鈴木宗男国会議員の問題は、マスコミ報道と失礼ながら鈴木宗男氏の人相・風体等から、さもありなんことと思っていました。しかし、この佐藤優氏の著された「国家の罠」で、その論理的記述とその思いの誠実さを感じるに付け、私の鈴木宗男国会議員への思いも相当に変化したのです。

 さて、この「国家の謀略」ですが、諜報活動(インテリジェンス)の実際を書き表した希少な書籍であると感じます。そして作者も記していますが、インテリジェンスのエッセンスは、企業人の活動にも価値があることなのが実感されます。

 作者はこの本の中で、インテリジェンスの究極的目標は「謀略」であるとしています。こちらの弱点をできるだけ隠し、有利な点を誇張することで、実力以上の成果を相手から獲得することだというのです。この謀略とは単に騙すという次元のことではなく、相手が認識しない中でこちらが掴ませた情報を基に、相手に戦略・戦術を企画させる。そして、相手が心の底から納得してこちらの意向に沿う行動に誘導するのがその極意なのだと記しています。

 ところで、インテリジェンスの用語として、ヒュミントとエリントのことを知りました。ヒュミントとは人的情報のことで、作者も含め人的な活動のことで究極目標の謀略にも関わります。そして、エリントとは電子情報のことで、衛星や通信傍受や盗聴といった活動となります。驚いたのは、CIA等、世界最大のインテリジェンス大国であるはずと思っていた米国ですが、エリントでは間違いなく世界最大最強であるが、ヒュミントでは必ずしも米国が最強ではないというのです。ヒュミントが強い国は、最高は英国であり、そしてロシアでありイスラエルだと云うのです。
 また、過去の日本はヒュミントとして大国であったと云うのです。それは「陸軍中野学校」のことを念頭においてのことなのです。謀略等と云うインテリジェンス活動というと、酒、金、セックス、スキャンダル等、汚い手ばかりが想像されますが、中野学校では「謀略とは誠」であると説いたというのです。明治の大勝利した「日露戦争」で、後方攪乱を図った明石元二郎大佐の謀略工作は、心底ロシア国民を専制政治から解放してやろうという誠としての考えからであったのであると記しています。




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