私の思いと技術的覚え書き

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クルマにもレーダーの時代

2011-06-23 | 技術系情報
 レーダーと聞くと、それは軍事用であったり民需としてもいいところちょっと豪華な遊漁船の世界と思っていましたら、このところクルマの世界でもレーダーの装着が目立ち初めてきました。その目的は、前方の走行車との距離を計測しつつ、データ処理により衝突の恐れがある場合に、運転者に警告し、自動制動を開始するものです。また、車両の斜め後方を監視し、進路変更時に運転者に警報を発するものもあります。

 これらの内、前方衝突防止装置としては、光学的なステレオカメラによるものも実用化(スバル)されていますが、雨天や雪、夜間など、天候などの影響がどこまで性能に影響するのか把握しておりません。
 また、夜間に赤外線画像をインストルメントパネル内に表示(ナイトビジョン)できるクルマがありますが、将来的には画像認識などのデータ処理により、警報や制動までを行う様に発展するのかもしれません。

 ところで、自動車用レーダーに装備されるのは、ミリ波レーダーと呼ばれるものです。ミリ波とは、周波数30GHz~0.3THz・波長1~10mmの電磁波のことを呼びます。レーダー技術の黎明期(後述)のこと、ミリ波などの短い波長を制御できる技術がなく、極細かい波長の電波としての呼称、マイクロ波(周波数03GHz~0.3THz・ 波長0.1m~0.1mm)が先に決められた経緯があるそうです。ですから、ミリ波より1千分の2細かいのがマイクロ波ではなく、マイクロ波という分類の中で最も細かい波長がミリ波ということになります。

 一般にレーダー電波はマイクロ波が使用されますが、波長が長い程遠方まで減衰せずに届きますが分解のは低下する様です。また、波長が短い程、遠距離まで届きませんが分解能は高まり細かく目標を識別できます。好きな、航空機の世界でもアパッチ(AH-64)という米国製攻撃用ヘリがありますが、改良されたアパッチロングボウ(AH-64D、 Longbowは弓の意)という機体は、メインローター上部に非回転の円盤状のレドームを有しています。このレーダーも35GHzを使用するミリ波レーダーとのことです。

 一般にレーダーは、航空機や船舶そして飛行場の管制塔屋上などに設置され、水平棒状や垂直方向に潰れた楕円形のアンテナがクルクル回っているのをイメージされることと思います。これらは、同一アンテナから極短時間のパルス状の電波を発射し、その後は同一アンテナで反射波を捉えるという動作を、360度回転しながら空間を走査(スキャン)しているものです。そして、捉えられた反射波は、ディスプレイに輝点として表示され対象物の方向と距離などを認識できる訳です。

 レーダーの歴史は古いものではなく、第二次大戦の直前ぐらいに軍事用として実用化され、大戦中に大幅に性能が向上した様です。その後も、半導体やマイクロプロセッサーによるデータ処理技術がどんどん取り入られ、第二次大戦中のものと比べると、その性能や高寿命さで、比べものにならない様に進歩してきた様です。ちなみに、従来からの一般的なレーダーと異なる特殊なレーダーとして主要なものを以下に記してみましょう。

・ドップラーレーダー
 対象物が移動している場合、対象物が近づく場合と遠ざかる場合では、ドップラー効果により受信される周波数の変化が生じます。この変化の推移をデータ処理し、対象物の移動方向や捉えます。

・合成開口レーダー
 一般に、レーダーアンテナは開口部が大きい程分解能は高まります。しかし、光学レンズの解像度と比べると大幅に落ちるのが現状です、また、光学レンズでもレンズの開口部(径)が大きい程解像度は高まります。これらのことを利用し、移動体に搭載されたレーダー電波を、連続的に送信、受信を繰り返し、このデータ処理を行うことで、仮想的に超大口径アンテナでのスキャンと同様の効果を持つのがこの方式です。
 合成開口レーダーは、航空機や衛星に搭載され、光学カメラだと雲の影響で観測できない場合でも、対象物を高分解能で偵察もしくは観測できるといわれます。

・フェーズドアレイレーダー
 平面上に多数配置された半導体素子により、アンテナの機械的動作なしに、左右上下の一定角度までの高速スキャン(走査)ができる方式です。現在のところ、軍事用としてが主要な様で、戦闘機のノーズコーン内とか、イージス艦におけるメインレーダーとして採用されています。ちなみに。360度をカバーリングするためには、少なくとも3面が必用な様で、イージス艦では4面のフェーズドアレイ面があります。



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