私の思いと技術的覚え書き

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バスの電装トラブル(ストップランプ消灯せず)

2017-04-04 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 今回のバストラブル(20年近くの車齢)は、ストップランプが点灯しっぱなしで消えないというもの。どのクルマでも稀に起こる現象だが、大概ストップランプスイッチの接点溶着(溶着)が多いのだろう。ということで、まずは現車のストップランプ点灯状態と、スモール点灯で変化ないことを確認し、ストップランプのヒューズを抜いてみる。当然ストップランプは消灯する。この時、耳を澄ませてリレーの作動音がしないか確認するが聞き取れず。

 ということで、まずはストップランプスイッチ系統の点検に取り掛かる。乗用車だと、ブレーキペダル上部にある訳だが、エアオーバーブレーキで、ブレーキペダル(バルブ)はオルガン式で、床下にエア配管が接続されているが、ブレーキスイッチらしき電気配線は一切なし。配管を辿ると、エアタンクから入力される2系統の配管と、エアマスターに接続される2系統の配管があり、辿るとエアマスターがあるが、スペアタイヤの上部である。なんていう整備性の悪いクルマなんだと呪いつつ、車両付属のクランクでスペアタイヤを下ろす。そして、着地したスペアタイヤを移動させようとするが、100kg近くあるスペアはビクともしない。止むなく、スペアはそのままで、車両を約1m程後退移動させ、エアマスターのスイッチおよびセンサー関係のコネクタを抜いていく。2系統のエアマスターだとばかり思っていたが、エアマスターは合計3個が使用されており、それぞれにストップランプスイッチおよびABS関係のものだと想像されるセンサーが2ヶ所づつ付いている。これら全てのコネクタを抜いても、ストップランプは消灯しないのだ。

 こうなると、やっぱりリレーがあるはずだと、インストルメントパネルのヒューズボックス付近を再点検することになった。そもそもストップランプのワイヤリングハーネスの色はGY(グリーン・イエロー)だから、それらしい配線色のリレーを発見し、試しにコネクタを抜いてみる。やはりストップランプは消灯する。これが間違いなく、ストップランプ用リレーだと判った。

 このリレー、単純な電磁コイルと接点だけのリレーではなく、ICこそ使っていないが、トランジスタとダイオードや抵抗、コンデンサーが使用された電気回路となっている。想像だが、球切れ警告用ランプ電流検出回路なのだろう。そんな基板とリレー本体の電圧計測をしている中で、当初リレー接点の端子間で同電位だったのが、リレーカバーをめくったりしている内に、短絡状態(接点閉じ)が解消してしまったのだ。当然、テールランプは消灯したのだ。

 ということで、今回のトラブルは、ストップランプリレーの接点溶着による短絡によるものと判断されたのだ。なお、当面は再溶着までは正常に作動するだろうが、接点はそれなりのアーク荒れが生じているはずであり、早晩再発の可能性は高いことから、近日の部品交換を手配した。

追記
 大型バスのワイヤリングハーネス廻りを観察していて思うが、なんて杜撰でいいかんげんな作り方をしているのだろうと感じることは数多いのだ。例えば、今回のストップランプセンサー関係のハーネスも、長過ぎるハーネスを、折りたたんでタイラップで止めていたり、後方のバッテリー近くの電装ハーネスは、長大な冗長ハーネスがグルグルと巻かれて固定されていたりという光景を見るからだ。これは、生産量が小数で、半ば手作りに近い生産工程であったり、12mのロングボデーと9mのショートボデーで、ワイヤリングを共用したりしていることからなのだろう。しかし、余分なハーネス長や、如何にも配慮に欠けた中間コネクタの使用など、電気配線としての信頼度は間違いなく低下するばかりであろう。これが、単なる接触不良で済めば故障の問題であろうが、接触不良による抵抗増大や断続的な短絡など、発熱から発火、つまり車両火災になる要因となっている事例も多いのだろう。




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