中学入学直後,道路の拡幅が本決まりとなり,沿道の家々が立ち退きまたは新築・改築を余儀なくされました。
その時の父の決断は凄かった。昭和7年から住んでいた家を,自分のたちの手で壊す。
小さな平屋の日本家屋とはいえ,父とTakeと弟の3人で瓦を落とし土壁を崩し柱を倒して更地にするのは大変だった。
廃材は業者さんに搬出してもらいました。
自分の住んでいた家を自分の手で壊す。発想としてはわかる。共感もできる。が,今の自分にできるかと問われたら,できない,と答えるしかない。
家が更地になった時,父がバイト代として一万円札を10枚くれました。プラスなけなしの自分の貯金で合計15万円弱。
高校2年だった自分はその日にそれを持って,今はなき石○2号店へと向かい,予算内で揃えたのがこの組み合わせでした。
あのフロアでスタッフとやりとりする緊張感。手が震えた。何度も引き返そうと思った。
オーディオフロアにたどり着くまでエスカレーターで無意味に昇降を繰り返したっけな。まさに人生の一大事。
でも,「コンポ」という3文字の魔力は緊張感よりも強かった。
今にして思えばいい時代でした。(Take)