ミャンマー・日本語学校ブログ

ミャンマーでの生活、教育、ビジネスなど
ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

ミャンマー人とプライド

2007年10月29日 | ミャンマーでの生活
こちらに10年住んだ経験からいうと、ミャンマー人(ビルマ族だけでなく諸民族も含む)の特徴を語るキーワードの一つは「プライド」だと思う。
まあ、プライドの高い人たちである。
ミャンマー人の「プライド」は「誇り」「自尊心」という価値の高いものより、
むしろ「面子」「面目」「世間体」「体裁」「見栄」「虚栄心」に近いのではあるまいか。

「自分を格好よく見せたい。自分は他の人よりずっといい立場にいる。
自分を高く見せたい。」という気持ちがいつも思考や行動を支配しているように見える。

例えば、学生たちに
「今は美容がブームだから、美容師を目指してみたら。」と勧めても、
「美容師やメイクの仕事はオカマがやる仕事だからいや!」

「じゃ、レストランのコックなんかどう?」と言うと
「料理を作るのは格好悪いからいや!」

「学校や塾の先生になるのはどう?」と言うと
「教師は給料が少ないからいや!」(オイオイ、先生の前でそんなこと言うの?)

それじゃ、一体何になりたいのと聞くと
「もちろん、社長です。」
あ~あ。だめだ、こりゃ。

うちの妻も同じで、未だに職のない妻の兄と弟に、
「屋台でも出してコロッケとかタコ焼きでも売ってみさせては?」と提案しても、
「屋台なんかとんでもない。そんな格好悪いことはさせたくない。世間体があるでしょ。」
と見事に却下された。
「物事には順序があって日本人もみんな最初は下積みで苦労しているのだよ。
屋台だって立派な仕事だと思うけど」と諭しても全く理解できないのだ。
ミャンマーには「下積み」という言葉がないし、そのような概念がない。

私が10年前にミャンマーに来て日本語学校を始めた当初の1年半は、教室の屋根裏部屋に住んでネズミやゴキブリと同居していた。
(他の日本人だったら、誰も住めないだろう。)
1日の生活費は100円程度。朝食はパン(といっても2口で食べられるほど小さい)と水だけだった。
アパートを借りようという発想などぜんぜんなかった。
(黒字になるまで絶対にアパートを借りないぞと決心していた。)
もちろん、洗濯は自分が手でやっていたし、掃除もアイロンがけも自分でやっていた。
そんな下積みの苦労があったからこそ、今の成功があるということを生徒たちにも教えているのだが、ぜんぜん理解できていないようだ。

ミャンマーでは一生懸命働くことは尊いことだ思う人はたぶん一人もいないのだろう。
汗水垂らして働くのは格好悪いし貧乏人がやること。金持ちは働かなくていいし、楽して儲けるのが格好いいのだと信じている。
残念ながら、この国が発展しないのはここに大きな原因があると思う。

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